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7月7日発表の米6月雇用統計

2023/7/4
提供:SBIリクイディティ・マーケット社

米6月雇用統計を控えて

先週末6月30日の東京市場の朝方には一時145円07銭まで上昇したドル円ですが、心理的節目とされる145円00銭を上抜けたことで日本の通貨当局による円買い介入への警戒が高まり伸び悩む値動きとなりました。その後、NY市場では米5月個人消費支出(PCE)デフレーターは4月の+0.4%に対し+0.1%、前年比でも2021年4月以来最低の+3.8%と4月(+4.3%)から大きく鈍化。さらに、コアPCEデフレーターも前月比+0.3% 前年比+4.6%といずれも4月から0.1%鈍化する結果となりました。さらに、ミシガン大が発表した6月消費者信頼感指数(確報値)は、64.4と速報値(63.9)から上方修正され、前月比+5.2Ptsとなったものの、消費者が予想する1年先の期待インフレ率は速報値から変わらず、2021年3月以来最低の3.3%で確定しました。

パウエルFRB議長は先週28日のECBフォーラムの日欧英の中銀総裁とのパネルディスカッションの場で「7月と9月のFOMCで連続利上げの可能性を選択肢から排除しない」と発言。しかし、先週末の指標を受けてFRBの年内利上げ幅が0.50%に届かない可能性を想定する動きからドル円は144円台前半へ下落しました。米債券市場では金融引き締め長期化観測の後退を受けて、10年債利回りは小幅に低下した一方、2年債利回りは2日連続で上昇し4.90%で取引を終えています。

また、7月1日にはイエレン財務長官が日本の通貨当局による円買い介入について協議しているとの報道もある中、昨日発表された米6月IMS製造業景気指数、さらに今週末7日に発表される米6月雇用統計を受けてパウエルFRB議長の発言に沿った年内2回(7月、9月を想定)の利上げ観測が高まるか、結果次第でドル円は再び145円台を試すものと思われ、イエレン財務長官と日本の当局との協議の行方がどのような影響を及ぼすのかも含め、米雇用統計に対する反応が注目されます。

  • ※出所:SBIリクイディティ・マーケット

前月5月雇用統計の振り返り

就業者数は市場予想(19.5万人増)を大幅に上回る33.9万人増となった一方で、失業率は4月(3.4%)から3.7%へ悪化。失業者の内訳を見ると、一時解雇者が前月から5.8万人増の76.7万人、恒常的失業者は14.3万人増の158.8万人となりました。4月JOLTS雇用動態調査の求人件数は1,010万件と1月以来3ヵ月ぶりに1,000万件台を回復しており、4月の失業者は565.7万人でしたので、2022年12月から減少し続けてきた失業者1人当たりの求人件数が1.79件と4カ月ぶりに上昇。2022年3月のピーク(約2.0件)を下回っているものの、5月の就業者数の予想以上の増加と合わせると、人手不足は依然として続いており、米労働市場の逼迫が確認される結果となりました。

一方、時間給賃金上昇率は前月比(0.4%⇒0.3%)、前年比(4.4%⇒4.3%)といずれも4月から鈍化。さらに、労働参加率は3月から3ヵ月連続で62.6%と横ばいとなりましたが、25〜54歳の女性を対象にした結果は77.6%と、統計上遡ることができる1948年以降、最高を記録。コロナ感染への影響を理由にベビーシッターなどに子供を預けることが出来なかったなどの理由で一時的に仕事を辞めた女性が、労働市場に戻ってきている可能性もあることから、労働需給逼迫の緩和を通じた賃金上昇圧力の抑制につながると思われます。6月の雇用統計でも女性を中心に労働参加率の上昇による労働市場逼迫の緩和期待が継続するか注目されます。一方、FRBが利上げを見送った6月に、ECBが0.25%、英中銀は0.50%の利上げに動くなどインフレ抑制を最優先しただけに、極端に悪化する結果とならなければFRBも0.25%の利上げ再開に動くと思われます。

7月25‐26日のFOMCはライブ

政策金利を11会合ぶりに据え置くことを決めた6月13‐14日のFOMC後の会見でパウエル議長は「7月のFOMCはライブになると予想」と述べ、それまでのデータ次第であるとの考えを示しました。さらに、 「6月の据え置きを1回見送りと呼ぶべきではない」とした一方、 「ほぼすべての当局者が年内のさらなる利上げは適切だと判断」、「インフレリスクは依然として上向きである」と述べ、「利下げについては2年ほど先の話」との考えを明らかにしました。

さらに、6月21日の下院サービス委員会で証言したパウエル議長は
1)金利の水準と利上げのペースは別問題
2)より緩やかなペースでの利上げが理にかなう
3)インフレ率は目標の達成からは依然程遠い状況にあり、2.0%の回帰に注力
さらに、労働市場に関し、データは緩やかな軟化を示唆しているものの、依然として労働需要が供給を大幅に上回る状況が続いているとの認識を明らかにしただけに、仮に6月雇用統計で労働市場の逼迫緩和が確認されたとしても、単月での結果では判断できないとして0.25%の利上げ再開に動くと見られます。

そのため、今回の雇用統計が極端に悪い数値とならない限り、ドル円は6月30日の高値(145円07銭)を上回り、一段高となる可能性もあるだけに注目されます。

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