豪中銀に続いたカナダ中銀
先週6日の豪中銀政策員会では5月に続き、2会合連続で0.25%の利上げを決定。さらに7日のカナダ中銀政策委員会でも現状維持との市場予想に反し、0.25%の利上げを決定。今年1月の会合で主要中銀の中で真っ先に利上げ停止を決めたカナダ中銀が、個人消費の予想以上の好調とともに、インフレ高止まりへの懸念が強まっているとして、3会合ぶりに利上げ再開に動いたことは、FRBやECBをはじめ各国中銀の今後の金融政策にインフレ抑制を強く促すとともに政策決定に影響を及ぼすと見られます。また、カナダ中銀は、財のインフレ上昇はエネルギー価格の下落と矛盾していると言及するなど、コアインフレの高止まりに対する警戒を示しており、今後のデータ次第では7月の追加利上げを示唆したといえるかもしれません。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
メキシコ5月消費者物価指数
メキシコ中銀は2月9日の政策委員会で0.25%の利上げ予想に対し、0.50%の利上げを決めたのに続き、3月30日の政策委員会でも0.25%の利上げを決定し、11.25%へ引き上げました。しかし、前回5月18日の政策委員会では、3月の利上げ決定以降、インフレ率の低下が確認されたとして全会一致で現状維持を決め、2021年6月から15回続いた金融引き締めを停止。しかし、インフレを中期的に見通すのは難しく、上振れへのリスクもあるため、現状の金利水準を当面の間、維持する必要があるとして今後の金利引き下げについては慎重な見解を示す中、メキシコではコアインフレの高止まりが顕著な状況が続いています。
メキシコ中銀は、前回の会合で年内のインフレ見通しを小幅に下方修正したものの、インフレ目標(2.0〜4.0%)の範囲内に収まるのは来年4‐6月期とし、年末時点のインフレ率見通しも4.70%としています。また、メキシコ中銀はFRBとの金利差を保つことでペソ安を抑制しているため、FRBが来週のFOMCで政策金利の現状維持を決めた場合でも、7月以降の金融引き締めの可能性を示唆することにも対応する必要があると見られています。
豪中銀に続きカナダ中銀が利上げを決定したものの、9日に発表されたカナダ5月雇用統計では失業率が5.2%と4月(5.0%)や市場予想(+5.1%)を上回って悪化したほか、就業者数も2.32万人増の市場予想に対し1.73万人の減少と昨年8月以来の減少となり、フルタイム雇用も大幅に減少しました。そのため、カナダは7月12日の次回政策委員会で現状維持に留めるかもしれません。また、8日に発表されたメキシコ5月消費者物価指数は前年比+5.84%と2021年8月以来、1年9カ月ぶりに6.0%を下回るなど、インフレの減速が続いており、メキシコ中銀は6月23日の政策委員会でも利上げ停止を継続するとみられています。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
しかし、カナダ、メキシコの両国はいずれも米経済の影響を強く受けており、13日の米5月消費者物価指数を受けて、政策金利の停止が見込まれている13‐14日のFOMCで示される政策金利見通し(ドットチャート)が3月時点から変更があるのか、金融市場への影響が大きくなると見込まれます。
米5月消費者物価指数
- ※出所:米労働省
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
カナダ中銀政策委員会では、財のインフレ上昇はエネルギー価格の下落と矛盾しているとし、コアインフレの高止まりに対する警戒を示したことも、利上げを決めた一因となりました。米消費者物価指数もメキシコ同様(昨年10月以降)にコア指数が今年3月以降、全体の指数を上回る状況が続いていることから、コアインフレの結果次第では、FRBのインフレ抑制に向けた意欲を高めることにつながるかもしれません。
さらに、豪4月の消費者物価指数では食品価格の上昇率(前年比+7.9%)を上回り住宅価格が前年比+8.9%と高止まりしていることが明らかになったほか、賃貸価格の上昇も顕著となりました。また、米国でもコア指数から住宅価格を除いたスーパーコア指数が今年2月以降、全体の指数を上回る状況が続いており、こうしたことからコア指数が予想を上回る可能性にも注意が必要かもしれません。
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