米5月雇用統計
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
米5月の雇用統計では、就業者数が前月比33.9万人増と、市場予想(19.0万人増)を大幅に上回ったほか、3月と4月の就業者数も、合わせて9.3万人上方修正されました。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
ADP(Automatic Data Processing) 雇用統計では、米国内の約40万の顧客の給与計算データから算出されているのに対し、労働省が発表する雇用統計は、約12.2万の企業や政府系機関のほか、約66.6万の個人事業主(自営業主)を対象にしており、業種別の集計に大きな差が見られます。
また、失業率は3.7%と前月(3.4%)から悪化したものの、1)失業率は「家計調査」に基づいており、これは就業者数のベースとなる「事業所調査」よりサンプル数が少ないこと 2)「家計調査」は「事業所調査」が集計しない個人事業主(自営業主)なども対象としていることから就労関連の数字が変動し易いこと 3)「家計調査」に基づく個人事業主を含めた就業者数は前月比31.0万人減となるものの、これを除くと39.4万人増となります。そのため、失業率の悪化が労働市場の減速を示唆しているとは考えにくいとの見方が高まる結果となりました。
事業所調査から1)非農業部門雇用者数、2)平均時給 3)平均労働時間を算出
家計調査からは1)失業率 2)労働参加率を算出
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
今回の雇用統計では、3月に起きた米シリコンバレー銀行やシグネチャー銀行に続き、5月にはファースト・リパブリック・バンクが経営破綻するなど銀行セクターの混乱にもかかわらず、労働市場に大きな打撃を与えていないことが窺える結果となりました。
一方、失業率の悪化に影響したと思われる自営業主数の減少は、ベンチャー企業などの起業にあたり、銀行からの融資獲得が難しくなっていることを示唆していると見られるものの、既存の雇用主は緊縮ムードではないことも確認。さらに、政府債務上限を巡る懸念が払拭されたことで、銀行セクターの混乱が経済を損なうリスクが大きく後退したと言えるかもしれません。
そのため、米経済がハードランディングを回避するとの期待が高まったこともNY株式市場でNYダウが今年最大の上げ幅を記録したことにつながった一因となったほか、ナスダックも昨年4月以来の高値まで上昇する堅調な値動きとなりました。
6月FOMCでは利上げ停止の可能性の一方、7月に利上げが再開されるかが焦点
今回の失業率の上昇を受けて、FRB雇用情勢に対する警戒心もあり、6月13‐14のFOMCでは政策金利を据え置く公算が大きいと見込まれます。一方、今後の焦点は、依然として高すぎるインフレ率や、FRBが望むよりもはるかに力強い労働市場を考慮しつつ、今後のデータ次第では7月に利上げを再開する可能性があるかもしれません。
先週1日に発表された米1‐3月期単位労働コスト(改定値)が前期比+4.2%と速報値(+6.3%)から大幅に下方修正されたほか、米5月ISM製造業の価格指数も44.2と4月(53.2)から大幅に低下するなど、インフレ圧力の低下が示唆される結果となりました。そのため、昨日5日に発表されたISM非製造業景気指数の価格指数が注目されます。製造業におけるインフレ低下が示唆されたほか、先週末の雇用統計でも時間給賃金の鈍化を確認しており、サービス価格でもインフレの鈍化が示されるか来週13日の米5月消費者物価指数のコア指数を占う観点からも注目されます。
さらに、5月の就業者の発表を前に、大手米系証券からは、労働市場が逼迫し、学校の夏季休暇入りを前に、夏に人手を増やす企業は採用難になると予想。しかし、実際には市場予想を14万人近く上回ったほか、直近2ヵ月分も合わせて9.1万人上方修正されたことに加え、4月の求人件数も予想を上回り、1,000万件を回復したことから6月の就業者数も極めて強い数値になる可能性があると指摘。こうした中で、来週のFOMCでインフレ見通しや米経済の先行きについてどのような見解を示すのか注目されます。
また、本日6日発表される本邦4月の毎月勤労統計で、現金給与総額が大幅な上昇になると見込まれており、結果を受けて来週15-16の日銀政策決定会合における緩和政策修正に向けた足掛かりの一つとなるか、先週の本邦当局によるいわゆる「三者会合」に続く、神田財務官による円安牽制発言もある中、ドル円は140円台を定着し、5月30日の140円93銭を上回る場面が見られるか注目されます。また、6月1日に発表された5月第3週の海外投資家による日本株買い越し額は7,476.76億円と第2週(5,658.8億円)から増加し、3月第5週から8週連続で買い越しており、円キャリートレードがドル円の下値支援になると見込まれるだけに、来週の日米金融政策会合に向けて昨年11月22日の戻り高値である142円24銭を試す素地を作る週となるか注目されます。
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