先週末26日のNY市場では市場予想を上回った米経済指標が相次いだこと(以下参照)を受けて、6月13‐14日のFOMCで0.25%の追加利上げを決定するとの見方が70%弱に上昇し、米2年/10年国債利回りは4.63%台/3.85%台とともに3月10日以来の水準まで上昇。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
加えて、米債務上限問題について、バイデ ン大統領と共和党のマッカーシー下院議長が2年程度の引き上げを軸に26日にも妥結する可能性があるとの楽観的な見方が報じられ140円73銭まで上昇。さらに、28 日には、バイデ ン大統領とマッカーシー下院議長が原則合意したと報じられ、下院議長は31日の議会採決を見込むと発言、議会での承認といった課題が残るものの、債務不履行(デフォルト)の可能性が著しく低下したことから、週明け29日の日経平均株価は午前9時8分に644円12銭高の31,560円43銭まで上昇、リスク選好の円売りにドル円は140円91銭まで上昇しています。(29日午前11時00分現在)
米5月雇用統計
- ※出所:米労働省
6月2日に発表される米5月雇用統計では、就業者数が19.0万人増と4月(25.3万人増)から6.3万人減少見込まれています。さらに、ここのところ、前月/前々月の就業者数が下方修正される傾向が続いており、5月も3月分/4月分が下方修正されるか、労働需給の逼迫が徐々に緩和されている傾向を確認するか注目されます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
また、雇用統計より前に発表される民間部門のADP雇用統計は、1月の数値(ADP:11.9万人増に対し雇用統計:47.2万人増)は大幅に乖離したものの、1月を除くと雇用統計と比べ大きな差が見られないこともあり、前日1日に発表されるADP雇用統計も参考になるかもしれません。
そのほか、市場予想では失業率が3.5%と4月(3.4%)から小幅に悪化すると見込まれるほか、時間給賃金も前月比+0.3%と4月(+0.5%)から鈍化すると見込まれており、雇用統計の結果次第では、6月FOMCで0.25%の追加利上げ観測を維持しても、7月以降の利上げ打ち止め観測につながればドル円の上昇に一服感が見られる材料になる可能性もあるだけに注目されます。
6月15‐16日の日銀政策会合に向けて
6月6日に厚生労働省から公表される毎月勤労統計では、今年の春闘を反映した賃金データが公表されます。そのため、仮に強めの賃金データとなれば、6月15‐16日の日銀金融政策会合に向けて、政策修正の期待が高まり、円買いが意識される展開になるかもしれません。5月19日に経団連が、2023年春闘の回答・妥結状況の第1回集計(大手企業92社)を発表しましたが、ベースアップと定期昇給を合わせた平均賃上げ率は3.91%と前年同期の2.35%から上昇しており、およそ30年ぶりの賃上げ率が現実的になっています。6月6日までに円安が一段と進行し、物価高による生活への悪影響があらためて意識され、「悪い円安論」が再燃することになれば、緩和政策を継続するとしている日銀としても、政策修正の可能性を意識せざるを得なくなる可能性もあるかもしれません。
先週25日に報道各社とのインタビューに応じた植田日銀総裁は物価上昇の基調を重視し、インフレ目標未達でも緩和を縮小する可能性があることについて言及しており、賃金データの結果や円安の進行度合いによって、YCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)の修正機運が高まるか注目する必要があるかもしれません。こうした際の、外国人投資家を中心にした円キャリートレードの動向を反映する毎週木曜日に発表される投資主体別売買動向(海外投資家の買い越しが継続)に変化が見られるか注目する必要があります。
- ※出所:日本取引所グループ
既にドル円は、昨年10月21日の高値(151 円 95 銭)から今年1月16日の安値(127 円 22 銭)までの下落に対する50.0%水準にあたる139円59銭を上抜けており、週足・雲の上限(141円97銭)、さらに前述の高値・安値のフィボナッチ61.8%戻しの水準にあたる142円50銭を上抜ければ、円安が一段と加速する可能性もあることから、これらの水準が非常に重要と位置づけられると思われます。昨年10月21日の151円95銭まで上昇した際、10月12日の145円65銭から僅か8営業日に6円30銭もの急速な円安が加速した経緯を踏まえれば、早めに牽制することもあるかもしれないだけに、「悪い円安」進行が意識される警戒が高まる可能性に注意する必要があるかもしれません。
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