5月2‐3日のFOMCでは0.25%の利上げを決めたほか、労働市場、賃金上昇は強く、インフレとの戦いに時間がかかるとあらためて表明した一方、緩やかな景気後退の可能性があるとの認識を示すなど、政策金利を抑制的なレベルに維持すべきか、判断には数カ月かかるとの見方を明らかにしました。また、現状の見通しに基づけば、利下げはないとの見解に加え、利上げ停止を議論したことを明らかにしたものの、今回ではないとした一方、それが近い可能性を示唆しました。
昨年5月から11月にかけて、利上げペースを加速した効果もあり、インフレは鎮静化しつつあるものの、5月に入って以降発表された複数の経済指標からは、6月の利上げ停止を決定付けるには至っておらず、加えて、債務上限問題を巡るデフォルト懸念の後退や複数のFRB高官からのタカ派寄りの発言が聞かれたことも138円75銭までの上昇に寄与しました。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
こうした中、ドル円は日銀による政策修正が後ろ倒しとなるとの観測とともに、日米金利差に鑑みた円キャリートレードへの思惑も根強く、5月11日の133円75銭を下値に18日には5月2日の137円77銭や3月8日の137円91銭を上抜け、昨年11月30日以来の高値となる138円75銭まで上昇するなど、短期間に5円00銭もの円安が進行しています。
また、NY株式市場ではナスダックとS&Pが昨年8月以来の高値まで上昇したほか、日経平均株価も3万円台を回復し、19日には1989年12月に史上最高値を付けた後の高値となる1990年8月2日の30,799円96銭を、32年9ヵ月ぶりに上抜け、一時30,924円57銭(350円64銭高)まで上昇するなど、円安進行を好感したこともあり、5月10日の安値から22日の高値まで1,854円46銭高(+6.37%)も上昇するリスク選好の円売りにもサポートされている状況です。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
ドル円は昨年10月21日の高値(151円95銭)から1月16日の127円22銭までの下落に対する50.0%水準戻しにあたる139円59銭を目指して一段高となるか、目先の上値メドとして注目される一方、200日移動平均線(137円13銭)、さらにはこの高値/安値のフィボナッチ38.2%戻しの水準にあたる136円67銭を目先の下値メドとして堅調な値動きを継続するか注目されます。
19日のNY市場では米債務上限問題を巡る楽観的な見方が後退したことから一時137円43銭へ反落する場面も見られており、この問題に対する不透明感からドル円の上昇に一服感が見られています。さらに、6月13‐14日のFOMCで仮に0.25%の利上げを継続したとしても、5月の0.25%の利上げにより、既に3月FOMCで示された年末時点の政策金利見通しに達していることから6月FOMCで政策金利見通しを一段と上方修正させるだけのデータが必要になると思われます。
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また、FRBによる利上げ打ち止めから利下げに転じるまでの期間を見ると、2006年は15ヵ月だったのに対し、2018 年は7ヵ月でした。FRB高官の発言からは、今回の利上げ停止から利下げへの転換について比較的長めの期間を想定しているように見られますが、利上げの累積による景気への影響や信用不安などの状況次第では市場の圧力に抗しきれず、利下げを前倒しする可能性もあるだけに、6月2日発表の米5月雇用統計や6月13日発表の5月消費者物価指数など今後発表される米経済指標がこれまで以上に重要視されると思われます。
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