シリコンバレー銀行
資産規模で全米16位のシリコンバレー銀行(SVB)は、ハイテク関連のスタートアップ企業への融資のほか、カリフォルニア州のワイン産業のブドウ園やワインメーカーにおける重要な資金借り入れ先でもあったことから、短期的には資金難、長期的には資金枯渇の可能性に直面しているともいわれています。SVBの昨年10‐12月期決算が既に景気後退を見込んだ悲観的な内容になっていた中、先週8日にSVBが緊急の増資計画を発表する前から先行きに対する懸念が示されていたとされます。
そもそも感染拡大により、各国中銀が緩和政策に動く中、こうした銀行に投資家からの大量の資金流入があり、SVBはこうした資金を元手に米長期債を大量に購入していたとされます。しかし、感染収束後を見越したサプライチェーンをはじめとする資源不足が取り沙汰され、インフレへの警戒が高まる中、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻といった想定外の動きによってインフレが加速。それに伴い、FRBの金融引き締めペースも予想以上のペースで進んだことから金利上昇に伴い債券価格が下落。また、FRBの金融引き締めの長期化観測により、投資家が神経をとがらせ、今年に入って以降、顧客が資金引き揚げを加速させたことからSVBは保有の有価証券の一部を売却せざるを得なくなり、損失を計上。9日にSVBファイナンシャル・グループの株価が急落したほか、暗号資産を扱うシルバーゲート銀行の親会社、米シルバーゲート・キャピタルが事業閉鎖を発表したこともあり、顧客が一斉に預金引き出しに動いたことから資金繰りの急速な悪化とともに経営破綻につながったとされます。
SVBもシルバー・ゲートのいずれも、感染拡大時に活況を呈したものの、FRBの急ピッチな金融引き締めにより、業績が低迷した業界を主要取引先としていたこと、さらに米長期債や住宅ローン担保証券(MBS)などの有価証券に投資していたことが共通点と言えそうです。
SVBの破綻により、シグネチャー銀行もニューヨーク州の金融当局から事業停止が発表されるなど、一部に影響が見られています。こうした一連の動きに対し、FRBは、今後生じる可能性のある全ての流動性圧力に対処する用意があるとしたほか、FDIC(米連邦預金保険公社)は、 SVBを管理下に置き、13日までに身売り完了を目指すとの方針を示しています。
米2月雇用統計
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
先週末発表の米2月雇用統計では就業者数が31.1万人増と市場予想(22.5万人増)を上回った一方、失業率は3.6%と1月と同水準(3.4%)の市場予想に比べ悪化。しかし、労働参加率が62.5%と1月(62.4%)から0.1%上昇する中、少数点4位を見ると、1月の3.434%から2月の3.571%へ0.137%の悪化(小数点1位では0.2%悪化)に留まっていることに加え、27週以上の長期失業者は1月(111.1万人)から105.7万人へ5.4万人減少するなど、改善も見られます。しかし、時間給賃金は前月比+0.2%(33.01ドル⇒33.09ドル)、前年比+4.6%(31.63ドル⇒33.09ドル)といずれも市場予想を下回り、労働時間と合わせた週間の労働賃金(12月:1,132.45ドル⇒1月:1,142.15ドル⇒2月:1,141.61ドル)も1月から僅かながら減少。
そのため、来週21‐22日FOMCで0.50%の利上げ確率は先週のパウエルFRB議長の議会証言後に70%超まで上昇していたものの、雇用統計を受け大きく低下。さらにSVBの経営破綻を受けて21%まで低下しているのが現状です。そのため、先週末に一時134円12銭まで下落したドル円は、週明けの東京市場で一時133円58銭まで下落したものの、日足・雲の上限(133円56銭)を下値支持線として下げ止まり、午前9時前には135円台を回復する場面も見られています。
米2月消費者物価指数(CPI)
SVB破綻の影響が懸念されるほどの広がりを見せずに収束するのか、連鎖的な広がりを見せるのか焦点の一つとして注目されます。さらに、本日14日に発表される米2月CPIは前月比+0.4%、前年比+6.0%(1月:+0.5%、+6.4%)、コア指数は前月比+0.4%、前年比+5.5%(1月:+0.4%、+5.6%)が見込まれるほか、15日には米2月小売売上高の発表もありFOMCで示される金融政策の先行きを含め、0.50%の利上げ確率の数値と合わせて注目されます。
- ※出所:米労働省
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
まとめ
1)SVB経営破綻の影響が一段の影響を及ぼすか、懸念されたほどの影響はなく限定的か
2)14日の米2月消費者物価指数、インフレの高止まりは継続か?サービス価格に注目
3)15日発表の米2月小売売上高、2月雇用統計での賃金鈍化の影響に注目
4)米債券市場で3月21‐22日のFOMCで0.5%、0.25%の利上げ確率の行方に注目
5)日米金利差の行方とともにドル円は日足・雲の上限(133円56銭)、基準線(133円85銭)を下値支持線として下げ止まり、直近高値(先週8日:137円91銭)を回復出来るか注目
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