ブレイナードFRB副議長退任の影響は?
バイデン大統領が既に退任を表明している国家経済会議のディース委員長の後任として次期委員長にブレイナードFRB副議長を指名したことを受けて、副議長は先週14日に辞表を提出。早ければ本日20日、遅くとも今週中にも辞任が決定すると見られています。FRBの中において金融引き締めに慎重とされるハト派志向の強い副議長で、パウエル議長に対してもハト派寄りの政権運営を促す提言を行ったとされるだけに、副議長の退任により、FRBがこれまで以上にタカ派寄りになるのではとの憶測につながっていることから次期副議長にどのような人物が就任するか注目されます。
現状ではハーバード大のダイナン教授(オバマ元政権時代の財務省でチーフエコノミスト)、ノースウェスタン大のエバリー教授(ダイナン教授同様にオバマ元政権時の財務省でチーフエコノミスト)などが候補に挙がっています。どのような人物が後任に就いてもブレイナード副議長は、これまで金融引き締めに慎重な見解を説明し、FRB内部のバランスを調整するのに重要な役割を果たしてきたとの評価も高いことから、退任によって市場がFRB当局から得るメッセージのトーンが変わる可能性を指摘する見方もあり、後任が誰になれ、こうした政策プロセスでの影響力を持つには時間がかかるとの見方も聞かれています。
1月雇用統計や消費者/卸売物価指数のほか、小売売上高などの米経済指標がいずれも市場予想を上回るなど、米経済の堅調をあらためて確認する結果となったほか、複数のFRB高官によるタカ派発言が相次ぐ中、今後3月21-22日の次回FOMCに向けたデータ次第ではあるものの、これまで以上にタカ派色を強めることになるか注目されます。
日銀正副裁候補による所信聴取

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
昨年7月に植田元日銀審議委員(次期日銀総裁候補)が一部朝刊に寄稿した論文で、イールドカーブコントロール(YCC)による調整の難しさや副作用に言及していたこともあり、指標となる10年債利回りは、上限の0.50%に張り付く状況が続いているものの、10日に植田総裁候補が報じられた夕方に「現状の金融緩和策は適切である」との認識を示したことから、日銀の緩和政策修正への思惑が後退するとともに、先週17日にドル円は一時135円10銭まで上昇。その後も134円台前半までの反落に留まる、堅調な値動きを続けており、24日の所信聴取を受けて一段の円安が進行するのか、上昇に一服感が見られ反落に転じるか注目されます。
植田候補は、政策の効果や副作用などを慎重に判断し、市場に大きなショックを及ぼすことを避けるよう時間をかけながらも確実に金融政策の正常化に舵を切ることになると見られています。しかし、一定の時間軸の中で金利機能の回復や国債市場の正常化に向けて、早ければ4月27-28日の政策会合で長期金利の変動幅の拡大、あるいは撤廃を決める可能性もあるかもしれません。そのため、今週24日の所信聴取で財政規律の緩みや債券市場の機能低下に影響を及ぼしているYCCの修正/撤廃を仄めかす趣旨の発言を行うか注目されます。発言次第では10年債利回りが上限の0.50%を大きく上回ることになれば円買いに作用する可能性もあるだけに、それまでは17日の135円10銭を上抜けることは難しく、135円付近からの戻り売りが優勢となるかもしれません。そのほか、質疑応答も含め、黒田総裁による緩和政策の評価や政府との共同声明(できるだけ早期に2.0%の物価目標を実現する)見直し/修正の有無などが焦点となるかもしれません。
国会での所信聴取を受けて、3月9-10日の黒田日銀総裁の下、最後の政策会合で、4月の新体制移行を待たずに、YCCの修正/撤廃に踏み切る可能性を指摘する見方も聞かれています。黒田総裁から植田新体制へ移行した途端、債券市場が政策修正を迫る売り圧力の高まりにつながることを避けるためにも黒田体制から新体制への連携を示す意味から黒田総裁の下、YCCの修正/撤廃に動くのか、今週24日の所信聴取から3月の政策会合に向けて、様々な思惑が債券・為替市場に影響を及ぼす可能性に注意が必要かもしれません。
先週15日の国会答弁で岸田首相は新総裁指名について「発信力や受信力」を求めたと発言しており、植田新体制での決定が市場の混乱を招くことのないよう市場との対話をいかに進めるか、さらに、経済・財政運営に対し、政府と率直に意見を交わすことが求められるだけに、所信聴取でこうした点も踏まえ、市場の期待を高めることになるか注目されます。
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