先週10日の米10月消費者物価指数(CPI)発表後のドル円の下落幅は、円買い介入が実施されたと見られる9月22日(5円50銭)と10月21日(5月65銭)を上回る5円85銭近くに達したため、11日の東京市場では一時142円48銭まで反発。しかし、FRBがゼロ金利政策から転換した今年3月11日に2017年1月以来の高値を更新し、ドル高トレンドに突入して以降、10月21日の151円95銭の高値まで35円強(約30%)のドル高・円安が進行。そのため、日米金利差拡大で大きく積み上がった円売りポジションの解消も観測され、10日の安値(140円20銭)を下抜け、8月31日以来の138円47銭へ下落。10日の米10月CPI発表時の146円04銭から24時間で7円50銭超の円高進行となり、138円81銭で先週末の取引を終えました。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
・8月2日の安値(130円36銭)から10月21日の高値(151円95銭)への上昇分のフィボナッチ 61.8%水準(138円61銭)を下回ったものの、この水準を回復して先週末の取引を終了。
・日足・雲の下限(138円14銭)を下抜けると、三役逆転となり一段の円高加速が見込まれるものの、この水準を手前に下げ止まり、三役逆転を回避。さらに、5月24日の安値(126円35銭)と8月2日の安値(130円36銭)を結んだライン(1)(現状:136円21銭)までの下落には至らず、下げ止まりました。
・週足・基準線(139円14銭)を下回ったまま、週足は4週連続の陰線引けとなったものの、週末に接戦が伝えられていた米中間選挙、上院議員選挙でネバダ州の民主党候補の勝利が確定したことで、民主党が議会上院の実質的な過半数を維持。2023年前半にかけて対応する必要がある米債務上限問題をめぐる「つなぎ予算」の期限とされる12月
半ばまでに本予算を成立させる見通しが立ったことが好感され、週明け14日の東京市場では、140円に接近する水準まで上昇。週足・基準線(139円14銭)を上回る水準での値動きを続けています。(午前10時00分現在)
とはいえ、米10月雇用統計や消費者物価指数を受けて、11月まで4会合連続で0.75%の利上げを続けたFRBは、12月FOMCで0.50%の利上げへと引き締めペースを減速させ、来年3月まで利上げを継続すると見込まれています。11月FOMC後の会見でパウエルFRB議長は、「利上げ停止を議論するのは時期尚早」との考えを示しました。市場では金利引き上げの終着点(ターミナルレート)は5.00〜5.25%になるとの予想が大勢を占めており、現状水準(3.75%〜4.00%)から1.25%の利上げが決定されると見られており、依然として日米金利差が急速に縮小するとは考えにくいとの見方がドル円の下値支援につながるか注目されます。また、2023年後半から2024年のいずれかの時点でFRBは利下げに転じるとの見方を為替市場がどの程度、織り込むのかが焦点の一つとなると考えられます。一部にはFRBが利上げを停止して以降、ターミナルレートが高止まりするとの見方もあり、こうした点が今後のドル円の方向性を占う上で重要視されるかもしれません。
・利上げ停止することを見込み、保有する米債のデュレーション(平均回収期間)を伸ばすタイミングを伺う動きがあるものの、具体的な動きは確認されていないこと
・ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー価格や食料品価格上昇によるインフレ対策を緩める動きはECBや英中銀では見られないこと
・米労働市場の堅調が続いており、インフレの高止まり傾向が続くとみられること
・日銀黒田総裁はインフレが2.0%を上回る水準で推移していることに対し23年以降は2.0%を下回るとの見通しを示しており、緩和政策継続に変更がないとみられること
一方
・米国のインフレは既にピークアウトし、FRBの金融引き締め減速を織り込んだ値動きから過度な円安進行は見込みにくく、上値も限られる可能性があること
・日銀の金融政策も2023年中にマイナス金利の解除やイールドカーブコントロールの変更などが見込まれること
こうした思惑が交錯する中、ドル円は日足・雲の下限(138円14銭)を下抜けるか、あるいは先週末11日の東京市場での高値(142円48銭)を回復できるか、以下の点が焦点として注目されます。
・NY株式市場の上昇に伴うリスク選好を背景にしたクロス円の上昇が続くか
・ユーロやポンドなど対欧州通貨でのドル安が一段と進むか、17日には英予算責任局による経済見通し及びスナク政権による中期財政計画が発表され、最大500億ポンド規模の支出削減や増税などインフレ圧力低下に向けた強い意志が示されると見込まれますが、 ポンドが対ドルで一段の上昇となるか
・米10月小売売上高や米11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数などを受けて米債券 株式市場がどのように反応するか
・先週までの急速なドル安に一服感が見られるか
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