日本の労働市場
1)3月雇用統計では失業率が2.6%と2ヵ月連続で改善したほか、有効求人倍率も1.22倍と上昇を継続。
2)就業者数も前月から正規雇用者が39万人増、非正規雇用者が6万人増と1月に男性の正規雇用者数が30万人減となった反動による増加も全体を押し上げる一因。
3)蔓延防止等重点措置の解除とともに、経済活動の正常化に向けた動きが労働市場の堅調を支援すると見られる一方、ウクライナ情勢による資源や原材料価格上昇の影響による企業収益の圧迫が雇用改善の抑制につながる可能性もあり、慎重な見方も。
米労働市場とインフレ高進
3月の雇用統計では、米就業者数が43.1万人増と11ヶ月連続で前月比40.0万人を上回り1939年の統計開始以来の最長を記録。失業率も感染拡大前の2020年2月(3.5%)に迫る3.6%まで改善。また、時間給賃金も前年比+5.6%と上昇。日本の現金給与総額が前年比+1.2%(3月)と小幅な水準に留まっているのと比べ、大きな開きが見られます。
米エコノミストのおよそ27%が最大のインフレリスクは賃金上昇であると回答。また、現在の仕事が前職と比べて給与が上昇したと転職者のおよそ64%が回答。さらに、11%以上増加との回答も約半数を占め、50%以上増えた人も9%近く確認されています。
米経済が感染から経済活動正常化へと回復する過程で、労働市場の流動化が進み、幅広い賃金上昇につながった一因と見られます。転職する際、より高い賃金を獲得することが多く、雇用主も既存労働者を引き留めるために賃金を引き上げる傾向が明らかとなっています。アトランタ地区連銀の調査によると、3月の平均的労働者の年間賃金上昇率(3ヵ月平均)は+6.0%と前年同月の+3.4%から大きく上昇。失業率が50年ぶりの低水準に改善したコロナ前の2020年2月の水準(+3.7%)を上回っているだけに、こうした動きもインフレが高止まりする一因となっているのかもしれません。
日米金融政策の方向性の違い
賃金上昇率が高止まりすることで、多少の物価上昇にも個人消費支出の大幅な低下を避けることにつながり、米経済の底堅さを支援。一方、日本では依然として感染の影響が残り、インバウンド需要の回復の遅れが続く中、ウクライナ情勢による原材料価格の上昇が家計支出の抑制につながっています。
米国では3月の転職者の年間賃金上昇率が3ヵ月平均で+7.1%と昨年3月の+4.0%を上回っており、こうした賃金上昇が既存従業員の賃金も+5.3%へ引き上げる一因となりました。コストプッシュインフレ + ディマンドプルインフレの米国。一方、物価だけが上昇し、賃金上昇率が微増に留まる日本ではコストプッシュインフレに留まり、なかなかディマンドプルインフレに結び付かないのが現状です。
4月28日の日銀政策会合では、物価見通しを上方修正した一方、大規模な金融緩和策を維持することを決定。さらに、黒田日銀総裁は、会見で円安を容認する姿勢を示したことから131円25銭まで上昇。その後、4/29には急ピッチな上昇やFOMCを控えたポジション調整に加え、NY株式市場で主要3指数の大幅安とともに一時129円32銭へ反落。しかし、再び130円台を回復するなど、底堅い値動きを継続しています。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
また、5月3‐4日のFOMCでは、既に0.5%の利上げやバランスシート縮小開始を織り込む中、パウエルFRB議長の会見で6月以降のFOMCでも引き続き0.5%の利上げの可能性も含め、金融引き締めを加速する姿勢を一段と強めるか注目されます。米3月の失業率は3.6%まで改善、さらに5月6日に発表される4月雇用統計では3.5%まで改善すると予想されており、米労働市場は既に完全雇用の状態にあると見られます。こうした状況にあるだけに、時間給賃金の上昇が一段と進むことになれば、原材料価格など商品市況の上昇によるコストプッシュインフレに加え、ディマンドプルインフレの高進が一段と進むことになるかもしれません。
日銀が指値オペにより、10年債利回りを0.25%を上限に抑制する方針を示す一方、米10年債利回りが3.0%台の節目を上抜けることになれば、4月28日の131円25銭を上抜け、2002年1月31日の高値(135円15銭)を目指して円安が加速するか注目されます。
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