米金利上昇
21日に発表された、新規失業保険申請件数が18.4万件と前週(18.6万件)から改善したほか、失業保険継続受給者数も141.7万人と、1970年1月以降で最小となるなど、米労働市場の堅調を確認。さらに、4月フィラデルフィア連銀製造業景況指数の仕入価格指数が1979年以降の高水準となる84.6へ上昇したことから、インフレの上昇を背景にFRBの金融引き締め加速を正当化。こうした中、パウエルFRB議長は、5月のFOMCで0.50%利上げを検討する可能性のほか、インフレが3月にピークアウトしていない可能性に言及したことなどを受け、米10年国債利回りは一時2.95%台に上昇したほか、2年国債利回りも2018年12月17日以来の2.73%へ上昇。
金利上昇に対する先行きへの警戒感?
パウエルFRB議長のみならず、セントルイス連銀総裁、サンフランシスコ連銀総裁が相次いでタカ派的な発言が聞かれたほか、デギンドスECB副総裁が7月の利上げの可能性に言及したほか、英中銀政策委員会のマン委員もインフレへの警戒とともに、5月5日の政策委員会で大幅利上げを検討との意向を示しました。
また、21日にはEUがロシア産原油の禁輸を来週中にも発表するとの報道も聞かれ、NY原油価格が一時105ドル台へ上昇し、103.79ドルで取引を終了。期待インフレ率を示す米10年債と物価連動債の利回り格差であるブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も上昇する中、NY株式市場ではエネルギー関連株が下落したほか、為替市場では豪ドルやカナダなど資源国通貨が対主要通貨で下落しました。
本来、エネルギー価格が上昇した場合、資源国通貨やエネルギー関連株の上昇を支援することにつながるとされますが、昨日は揃って下落。こうした反応を示したことは、利上げによるインフレ抑制が追い付かず、むしろ景気減速への懸念が意識されたサインと見るべきなのかもしれません。
ゴールデンウィークに向けて
米国の住宅ローン金利は30年固定で5.1%と昨年末の3.1%から短期間に2%上昇。5月のFOMCで0.50%の利上げが確実視される中、住宅ローン金利が一段と上昇することが確実であるほか、EUがロシア産原油の禁輸を来週中に発表した場合、原油価格の一段の上昇が、インフレ高進による景気減速への懸念につながる可能性もあるだけに注意が必要です。
1)今週27日には豪1-3月期消費者物価指数(CPI)が発表され、5月3日の豪中銀政策委員会では、5月21日投開票の総選挙を前に利上げ観測が高まるか、現状維持となった場合でも、タカ派色を高めることになるのか注目されます。
2)28日にはドイツ4月CPI 29日にはドイツおよびユーロ圏1-3月期GDPやユーロ圏4月CPIも発表されます。景気減速が予想以上に進行し、予想以上のインフレ高進となればユーロ圏のスタグフレーションへの警戒を高めることにつながり、ユーロドルは4月14日の安値(1.0758ドル)を下回るか注目されます。
3)28日の日銀政策会合では、急ピッチで進む円安や物価上昇についての警戒感から 1)フォワードガイダンスの修正 2)長期金利の上限引き上げ 3)マイナス金利の解除などについて、変更もしくは今後の修正の可能性を示すか、さらに黒田総裁が何らかの円安牽制を示すか注目されます。インフレ見通しおよび為替市場での円安進行に対する黒田日銀総裁の発言次第で、先週20日の129円43銭を上抜け、130円台へ上昇するきっかけとなるか注目されます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
4)29日に発表される米3月個人消費支出(PCE)やPCEコア・デフレーターが5月3-4日FOMCの0.50%利上げやバランスシートの縮小など政策決定の行方に影響を及ぼす可能性があるだけに、注目されます。昨日、パウエル議長は、FRBがインフレ抑制と景気維持との間の難しい舵取りを迫られているとの認識を表明。「FRBの目標は、ツールを活用して需給を同調させることである」との考えを示しました。金利の急激な上昇や金融引き締めは景気後退への警戒を高めることにつながるだけに、NY株式市場の反応にも注意が必要です。
5)5月3-4日のFOMCに続き、5日に英金融政策委員会があり、0.50%の利上げを決定する可能性もあり注目されます。4月13日に発表された英3月のインフレ率は前年比+7.0%に達し、1992年3月以来の高水準となりました。IMF(国際通貨基金)は、英国のインフレ率について、今年後半に9%台に達すると予想。今後も英経済は、高いインフレ率により、実質所得の縮小を通じて消費鈍化とともに、成長率の低下につながると見られています。
こうした中で政策金利の引き上げが、英経済のスタグフレーションのリスクを加速させる懸念も見られ、必ずしもポンドの上昇につながるとも限らないとの見方もあるだけに反応が注目されます。
6)5月6日の米4月雇用統計、既にFOMCで利上げが決定されたあと(おそらく、余程の事態がないとして、0.50%の利上げ決定を想定)であり、賃金上昇率が確実に上昇していることが確認できれば、利上げを正当化すると見られる一方、鈍化した場合、FRBの先行き利上げペースの減速への思惑が台頭することになるかもしれません。
EUがロシア産原油の禁輸を決定し、インフレが一段と加速するのか、さらに各国の注目イベントを為替市場がどのように消化するのか、少なくとも今週、来週の2週間、重要な週が続くことになります。
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