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今週10日の米2月消費者物価指数に注目

2022/3/8
提供:SBIリクイディティ・マーケット社

先週2-3日のパウエルFRB議長の議会上下両院での議会証言

「現状、ロシアのウクライナへの軍事侵攻前に示した通り、来週15-16日のFOMCで利上げを開始し、年内に数回の利上げを行うとの計画に沿って慎重に進んでいくつもりであり、0.25%の利上げを提案し、支持する方向に傾いている」と発言。

また、労働市場に関し、「求人件数が歴史的な高水準に達していることは、労働市場の過熱を示唆している」と指摘。

ウクライナ情勢を巡る警戒感の高まり

先週末4日に発表された米2月雇用統計は、前述の通り、2−3日のパウエルFRB議長の議会証言により、来週のFOMCで0.25%の利上げが織り込まれたことから、余程大きなサプライズがない限り、こうした見通しが変更される可能性はないと見られたこと、さらに雇用統計発表を前にした東京時間の朝方にロシアがウクライナ南部の欧州最大の原発を砲撃し、制圧したことでウクライナのみならず、欧州全体に対する安全保障が脅かされるとの懸念が台頭。経済指標への関心が薄らぐ中での雇用統計の発表という流れになりました。

NATO(北大西洋条約機構)事務総長は、ロシア軍の動きについて、この先数日で一段と状況が悪化する可能性があるとの見通しを示したことから、欧州株の下げ幅拡大とともに米株も連れ安となったほか、欧米の金利が大幅に低下する中、ユーロ売りが加速した一方、ドル買い、円買い、スイスフラン買いが進行。

米2月雇用統計

米雇用統計 10月 11月 12月 1月 2月
就業者数 64.8万人 64.7万人 58.8万人 48.1万人 67.8万人
失業率 4.6% 4.2% 3.9% 4.0% 3.8%
時間給賃金(前月比) 0.4% 0.4% 0.5% 0.6% 0.0%
時間給賃金(前月比) 4.8% 5.1% 5.0% 5.5% 5.1%
  10月 11月 12月 1月 2月
製造業 10.0万人増 9.9万人増 6.2万人増 0.4万人増 10.7万人増
サービス業 61.4万人増 52.8万人増 44.1万人増 44.0万人増 54.9万人増
政府系 6.6万人減 2.0万人増 0.7万人増 2.3万人増 2.4万人増
  • ※出所:SBIリクイディティ・マーケット

就業者数は前月比67.8万人増加、失業率は3.8%へ低下し、2年前に米国内で新型コロナの感染拡大が本格化して以降での最低水準まで改善するなど、完全雇用が達成されたとの見方も聞かれる結果に。

一方、平均時給は予想を下回り、前月比横ばい、前年比では+5.1%と上昇。週平均労働時間は増加したにも関わらず賃金の上昇が鈍化した点に関し、賃金インフレの落ち着きを示唆しているとも捉えられます。給与水準が高いとされる弁護士などの専門職や金融関連でも増加したものの、低賃金とされるヘルスケアや建設業での増加が全体の賃金上昇率の鈍化に影響した可能性があるかもしれません。

しかし、就業者数や失業率の観点から、FRBの金融政策正常化への道筋を否定するものでないとの見方が大勢となっています。

  • ※出所:SBIリクイディティ・マーケット

シカゴ連銀エバンス総裁は、今回の雇用統計を受けて、「雇用統計は良いニュースであり、パウエル議長の認識は変わらず、金融当局は、より中立的な政策に移行していく必要。また、今後、0.25%の利上げを会合毎続け、中立に近づける」と発言していることからも、来週のFOMCで0.25%の利上げ見通しに変更はないと見られます。

10日発表の米2月消費者物価指数に注目

大きな不確定要素となっているのが、ウクライナ情勢で原油や天然ガスなどのエネルギー、さらに小麦、トウモロコシをはじめとする食料品の価格上昇が急伸しており、既に40年ぶりの高水準にあるインフレを加速させる可能性があります。

パウエルFRB議長は先週3日の証言の中で、ウクライナ情勢について「供給と需要の両方にどのような影響が出るかを語るのは難しく、極めて厳しい環境下で決定を行う上で、注意深さと機敏さが必要になる」との認識を示しています。

こうした中、今週10日に米2月消費者物価指数が発表されます。市場予想では前年比+7.9%と1月におよそ40年ぶりの高水準となった+7.5%を一段と上回ると見込まれています。

  • ※出所:SBIリクイディティ・マーケット

予想通り、もしくは予想を上回る上昇となった場合、来週のFOMCで0.25%利上げの予想から0.50%の利上げの可能性が浮上するか注目されます。

急ピッチな利上げ金融政策正常化への思惑が再燃することになれば金融市場におけるリスク許容度の低下や投資の落ち込みなどにつながることも考えられる可能性もあり、ドル円、さらにはユーロドルの反応が注目されます。

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