ウクライナ情勢
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
2014年以降、ウクライナ中央からクリミア半島を通り黒海へ流れるドニエプル川の東側の一部地域は、親ロシア派勢力が支配する地域となっており、昨日はウクライナの治安部隊と親ロシア派武装勢力との間に停戦違反行為が相次いだことから地政学リスクの懸念が再燃しております。
先週末20日にロシア軍はベラルーシとの合同軍事演習を終えるとされた予定も演習終了の気配がないこと、また先週16日に報じられたロシア軍の一部撤収報道は、一部のロシア軍部隊が駐屯地まで引き揚げたに過ぎないとして、本格的な撤収報道に対する懐疑的な見方が支配的です。
さらに、ロシア軍が親ロシア派の支配地域まで軍を進行させ、本格的な戦闘開始には至らないまでも、ウクライナ政府および欧米各国に揺さぶりを続ける可能性も否定できないと見られます。
ロシアのNATO拡大阻止の要求を拒否する米国に対し、ロシアのラブロフ外相が「安全保障を巡る回答文書」を送付したことを明らかにし、プーチン大統領は19日からのロシア軍の軍事演習開始を表明しています。また、バイデン大統領からは、「ロシアが軍事侵攻を決断したと確信」と述べるなど、緊張が継続しております。こうした状況下、ロシア軍が親ロシア派の支配地域の拡大を支援し、徐々にドニエプル川の東側地域の占領に乗り出す可能性も否定できません。
今週予定される米露外相会談では、ロシア側の回答を踏まえた上で、あらためて「安全保障」を巡る議論が繰り返されると見られるものの、両国の溝が埋まる、或いは妥協点を見出すことは容易ではないと見られます。ロシア側から、ウクライナの新たな国境線の主張やウクライナの東西分裂、或いはクリミア半島をはじめとする黒海沿岸一帯地域の占領などを主張する可能性も含め、米国との溝は容易に埋まるとは考えにくく、緊張が続くと思われます。
当初10日から20日までのロシア軍によるベラルーシとの合同軍事演習は、期限終了後も続くなど、今後もロシア軍がベラルーシ域内に軍を残して駐留する可能性もあり、首都キエフに向けてベラルーシ側とロシア側からの軍事侵攻に出るか注意が必要です。加えて、ウクライナが停戦合意地域で民間人を攻撃していると主張してウクライナ軍を煽り、攻撃を促すとの意図が明確になるなど、2008年にロシア軍がグルジア(現ジョージア)を侵攻した際と同様の作戦が展開されているとの見方もあるだけに事態の収拾には時間が掛かると見られます。
また、ロシアの軍事侵攻が実行された場合 1)ウクライナは米国の同盟国ではなく、実質的な防衛義務がないこと 2)昨年8月にアフガニスタンから米軍を撤退したばかりであり、本格的な戦争に関与することに否定的であること 3)米露の軍事的対立となれば核戦争の脅威のほか、北朝鮮情勢が一段と不安定になる可能性があることから、米軍の参戦に否定的な見方もあり、対話による解決を目指している理由の一つと考えられます。
そうした事情を十分に把握しつつ、プーチン大統領はしたたかに、実質的なウクライナの実効支配を目指しているものと考えられる一方、経済制裁の影響を見極めながら時間稼ぎを行っているとの見方も聞かれます。
いずれにしても緊張継続の長期化が欧州経済へ及ぼす影響も含め、リスク回避の円買いやユーロの上値抑制要因となるか情勢の見極めが必要です。
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