EUR/USD
先週末、東京市場で1.1483ドルまで上昇したものの、前日の高値(1.1482ドル)を1ポイントだけ上回るに留まったこと、心理的節目とされる1.1500ドルを手前に上値の重さが意識されたこと、さらに、ラガルドECB総裁が「インフレ押し上げ要因は今年の間に緩和すると予想」「中期で2%のインフレ目標達成に必要なことをする」と発言したのに対し、NY連銀ウィリアムズ総裁は「非常に力強い労働市場の兆候を踏まえた上で、米金融当局はゼロに近い政策金利を漸進的に引き上げ始める決定に近づきつつある」と発言し、両者の金融政策を巡る発言が欧米金融政策の方向性の違いを浮き彫りにしたことも影響し、ユーロは一時1.1399ドルへ反落しました。
週明けの東京市場でも、日足・雲の上限(1.1439ドル)が上値抵抗線として意識される上値の重い値動きを続けています。

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
先週10日の米露高官による安全保障会議、12日のNATOロシア理事会の特別会合、13日の欧州安全保障協力機構会合といったウクライナ情勢を巡る欧米対ロシアとの政治的交渉は平行線のまま協議を終え、先週末には米国がロシアによるウクライナ侵攻時の対応策と制裁措置に着手したと伝わり、地政学リスクへの不安が解消されないこともユーロの上値抑制の一因となっています。
勢力圏拡大に強い意欲を示すロシアは、ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に接近しないよう強く牽制するため、国境近くに大規模な軍を集結させており、こうした緊張緩和に向けた先週の欧米との交渉も、両者の主張は平行線を辿り、地政学リスクを緩和させることには至りませんでした。
さらに、ロシアは旧ソ連諸国が1992年に締結した軍事同盟条約に基づき、長期強権支配に対する抗議活動で政府と武力衝突に発展しているカザフスタンにもロシア軍を派遣し、反政府勢力を鎮圧しております。こうした、軍事力でねじ伏せようとする強硬姿勢は、ウクライナでの軍事行動の可能性を想起させる一因となっており、ロシア・リスクが意識されることも、ユーロの上値を抑制する一因となっていると思われます。
ロシアの武力による支配によって勢力圏を拡大してきた戦略に対し、自由や権利を抑えられてきた民主勢力が欧米よりの考えになびいたことで、ロシアの支配力や勢力圏は縮小の一途を辿っています。
過去にはフィンランドがソ連から独立。さらに、バルト3国、さらにポーランドなど、冷戦中にソ連の支配下にあった各国が2004年にEU連合やNATOに加盟。こうした動きとともに、ウクライナ、ジョージア、モルドバといったソ連の崩壊以降に誕生した独立国がそれぞれ欧米寄りの政権へ移行しております。
ロシアは何としてでもウクライナの親欧米化を阻止したいと考えています。ウクライナは黒海に面しており、海軍の拠点としての地理的な優位性を備えていること、ウクライナへの政治的影響力が弱まれば、他のロシアの影響力が残る中央アジア諸国のロシア離れにつながりかねないとの危機感を抱いていることも関係しているようです。
先週13日、ロシアのペスコフ報道官は、「会合は失敗に終わった」とした上で米国によるロシアへの経済制裁導入をちらつかせた牽制やNATOの姿勢を強く非難しております。また、安全保障に関する協議を継続する政治的意思はあるとしつつも「近い将来に新たな協議ラウンドを開催する理由がない」と述べており、ウクライナ情勢をめぐる政治的緊張が当面続くことも懸念されます。

- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
1)先週末14日の高値(1.1483ドル)と前日13日の高値(1.1482ドル)とほぼ同水準で伸び悩み「毛抜き天井」の形状が出現。昨年10月28日(1.1692ドル)と10月29日(1.1690ドル)で出現した際も、その後の下落につながった経緯があり、「毛抜き天井」は、この水準からの上値での強い売りを暗示。上げ止まったとされ、上昇トレンドから下落トレンドへ転換する可能性があるだけに注意が必要です。
2)日足・雲の上限(1.1439ドル)を下回ったこと、さらに昨年6月1日の高値(1.2254ドル)と9月3日の高値(1.1909ドル)を結んだライン(1)(現状:1.1424ドル)を下回っていることから、これらの水準が上値抵抗線として意識され、日足・転換線(1.1380ドル)を下抜けると、足・雲の下限(1.1345ドル)に向けて一段と下落する可能性に要注意です。
ウクライナ情勢を巡る米露要人発言やこれに絡む報道のほか、今週20日に公表されるECB理事会議事要旨への反応が注目されます。12月の理事会では3月にパンデミック購入プログラムの終了や、その後の資産購入プログラムの一時的な増額を決定しております。買い入れ増額の期間や規模が市場予想に比べ、短期間かつ小規模に留まった決定の経緯や議論の詳細などの内容に対するドイツ債券市場の反応が注目されます。
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