パウエルFRB議長講演
先週末27日、ワイオミング州ジャクソンホールでのカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウムでの講演でパウエル議長は、テーパリングを年内に開始することが適当と指摘しました。一方、テーパリングの開始時期やペースは利上げ時期に関する直接的なシグナルを伝えるものではないとし、金融緩和政策の継続を示唆するハト派寄りの発言内容となりました。
こうした発言を受けて、米10年国債利回りは一時1.30%台に低下した一方、NY株式市場では主要3指数が揃って上昇、ナスダックとS&P500がともに史上最高値を更新するリスク選好の動きとなりドルは対主要通貨で全面安となったほか、円はドルを除く主要通貨で売られ、ドル円は110円27銭を高値にクロス円の上昇に支援され109円78銭までの反落に留まり109円85銭で先週末の取引を終えました。
インフレ率上昇継続の一方、消費者心理が悪化
パウエル議長の講演を前に発表された、米7月の個人消費支出(PCE)は前月比+0.3%増と上昇するなどサービスへの支出拡大が追い風となり、航空輸送やホテル宿泊、ライブ娯楽といった項目の伸びが目立つ結果となりました。また、FRBが注目するインフレ指標のひとつであるPCE価格指数は前年比+4.2%上昇しました。
変動の激しい食品・エネルギーを除くコアPCE指数も前年比+3.6%上昇するなど、FRBの掲げるインフレ目標(2%)の水準を大きく上回る状況が続いています。一方、ミシガン大8月消費者信頼感指数(確報値)は70.3と7月(81.2)から大幅に低下し、2011年12月以来、9年8ヵ月ぶりの低水準となるなど感染の増加が消費者心理の悪化につながったと見られています。
8月雇用統計に注目
パウエル議長は曖昧さを維持することで、年内のテーパリング開始に向けた道筋を温存。FRB内のタカ派が強く主張している9月FOMCでテーパリング着手は見送られると推察されます。しかし、変異株感染の後退が確認されることになれば9月FOMCの次に行われる11月初旬のFOMCで、テーパリング実施を明言し年内もしくは来年初めにもテーパリングを実施すると見られています。
さらに、インフレや変異株の動向と合わせて注目されるのが労働市場の改善が継続するかといった点かもしれません。27日の講演の中で、パウエルFRB議長は労働市場について「明確な進展」を遂げたとの認識を示していただけに今週9月3日に発表される8月雇用統計で就業者数や失業率はもちろん、企業の人材確保に向けた時間給賃金の上昇が続くなど、先月に続き予想を上回る結果になれば9月FOMCで先行きの金融政策の議論に影響を及ぼす可能性も含め注目されます。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月予想 | |
就業者数 | 23.3万人 | 53.6万人 | 78.5万人 | 26.9万人 | 61.4万人 | 93.8万人 | 94.3万人 | 75.0万人 |
失業率 | 6.3% | 6.2% | 6.0% | 6.1% | 5.8% | 5.9% | 5.4% | 5.2% |
時間給賃金 前月比 | 0.1% | 0.3% | -0.1% | 0.7% | 0.5% | 0.4% | 0.4% | 0.3% |
時間給賃金 前年比 | 5.3% | 5.2% | 4.2% | 0.4% | 2.0% | 3.7% | 4.0% | 4.0% |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | |
製造業 | 0.7万人減 | 2.0万人減 | 15.9万人増 | 4.1万人減 | 1.6万人増 | 4.5万人増 | 4.4万人減 |
サービス業 | 12.9万人増 | 64.2万人増 | 56.5万人増 | 26.7万人増 | 53.9万人増 | 72.4万人増 | 65.9万人増 |
政府系 | 11.1万人増 | 8.6万人減 | 6.1万人増 | 4.3万人増 | 5.9万人増 | 16.9万人増 | 24.0万人増 |
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
ドル円は膠着相場から脱却するか?
ドル円は概ね109円台半ばから110円台前半での膠着相場を続けるなど、週足・基準線(109円57銭)と週足・転換線(109円96銭)、あるいは8月17日の安値(109円12銭)や8月4日の安値(108円72銭)まで下落することもない一方、8月11日の高値(110円80銭)、8月13日の高値(110円45銭)、先週26日の高値(110円22銭)、27日の高値(110円27銭)などいずれも日足・雲の上限が上値抵抗線として意識され、雲の上限を明確に上抜け、この水準を下値支持線とする上昇を確認するには至っておらず、下振れへの警戒が強まっています。
それだけに、雇用統計が失望を誘う内容となればドル円の109円割れへの下落につながる一方、予想を上回る結果となれば先週末27日の高値(110円27銭)を上抜け、8月13日の高値(110円45銭)、さらに8月11日の110円80銭を目指す可能性もあり、雇用統計までは引き続き109円台半ばから110円台前半を中心として小動きが予想されます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
・16年12月15日の高値(118円66銭)と18年10月4日の高値(114円55銭)を結んだライン①
・18年10月4日の高値(114円55銭)と昨年2月20日の高値(112円23銭)を結んだライン②
・今年4月23日の安値(107円48銭)と8月4日の安値(108円72銭)を結んだライン③
(1)ライン②(現状:109円58銭)およびライン③(現状:109円00銭)を下値支持線として、堅調地合いを継続し、先週末27日の高値(110円27銭)を上抜け、8月11日の高値(110円80銭)を目指して一段高となるか注目されます。
(2)ライン②(現状:109円58銭)および週足・基準線(現状:109円57銭)が上値抵抗線となり、ライン③(現状:109円00銭)や8月4日の安値(108円72銭)、さらにライン①(現状:107円84銭)を目指して一段と下落するか注目されます。
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