メキシコのGDPと消費者物価指数
4月30日に発表されたメキシコ1-3月期GDP(速報値)は前期比‐2.9%になり、内訳を見ると第一次産業(農業、林業、水産業など)は前期比+2.8% 第二次産業(製造業、建設業、エネルギー関連など)は‐2.3% 第三次産業(金融、小売、情報通信、運輸、サービスなど)は‐3.6%など一次産業の成長が見られたものの、二次、三次産業の減速が影響しました。
一方、5月7日に発表された4月の消費者物価指数は前年比+6.08%と2017年12月(+6.77%)以来の高い上昇率となりました。その要因として感染が拡大を始めた昨年4月にエネルギー価格が大幅に低下した反動の影響が大きいものの、メキシコ中銀のインフレ目標(2.0%〜4.0%)の上限(4.0%)を2カ月連続で上回ったほか、エネルギーや農産品を除くコアの物価上昇率も+4.13%と、3月(+4.12%)に続き2ヵ月連続で4.0%を上回る結果となりました。
メキシコ中銀の金融政策決定会合
メキシコ中銀は、先々週13日の金融政策決定会合で政策金利を2会合連続で4.0%に据え置くことを全会一致で決定。
感染の影響によりメキシコ経済は厳しい状況が続く中、インフレ率の上昇に配慮した格好となりました。声明ではインフレ目標の中央値(+3.0%)に向けて管理していく必要があると指摘。市場では当面の緩和局面が終了したとの見方が大勢となる中、大手米系証券からは次に政策金利が動くとするなら、利下げよりも利上げの可能性の方が高いとの見方も聞かれています。一方、メキシコ中銀が民間銀行など38機関の予測をまとめた調査では、21年の実質成長率見通しは+4.76%と4月時点(4.53%)からは上方修正されました。しかし、昨年の成長率が感染の影響があるとはいえ、‐8.5%と大幅なマイナス成長だったことを考えると、楽観視はできないとの見方も聞かれています。メキシコ政府が財政出動を抑制する中、金融緩和余地もなくなったことで、メキシコ経済は一段と厳しい状況に置かれるとの見方もありペソの動向が注目されます。
MXNJPY 週足・日足チャート
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
こうした中、ロペスオブラドール大統領は先週末21日にディアスデレオン中銀総裁の2期目の続投を否定したことから年末で現中銀総裁の任期が終了することとなります。大統領は社会的ニーズに敏感な経済専門家を指名する意向を明らかにしましたが、保守的な姿勢を貫いてきたメキシコ中銀に不透明な局面が訪れる可能性(今後、大統領が示した中銀総裁候補が議会上院での承認が得られるか否か)があるとしてペソは対ドル、対円では5.45円まで下落。さらに週明けの東京市場では5.44円まで下落する場面も見られました。
ペソ円は3月25日の安値(5.17円)と5月6日の安値(5.37円)を結んだライン①や日足・基準線(5.45円)を一時的に下回ったほか、日足・転換線(5.48円)を下回った状況が続いています。
また、5月に入って以降発表された主な米経済指標は予想を下回るものもめずらしくなく、市場ではワクチン接種の加速やバイデン政権の景気対策による経済活動の早期正常化をある程度織り込んだと米経済の回復に一服感も見られています。
為替市場の注目点
メキシコ経済は米経済の回復を背景に対米輸出増加などの恩恵を受け、ペソは対ドル・対円で上昇してきました。しかし、FRBの早期テーパリング観測など米長期金利の上昇懸念が米経済の回復ペースの鈍化につながる可能性もあり、メキシコ経済への影響も懸念されるだけに、ペソ円がこれまで通りの上昇基調に天井感が見られ調整局面入りとなるか、25日発表のメキシコ4月貿易収支や26日発表の1‐3月期GDP(確報値 速報値から下方修正されるのか)、さらに27日発表の4月失業率や先々週13日のメキシコ中銀政策委員会議事要旨などのイベントに対する為替市場の反応が注目されます。
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