米4月雇用統計
12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
非農業部門 雇用者数(万人) | -30.6 | 23.3 | 53.6 | 77.0 | 26.6 |
失業率(%) | 6.7 | 6.7 | 6.2 | 6.0 | 6.1 |
時間給賃金 前月比(%) | 1.0 | 1.0 | 0.3 | -0.1 | 0.7 |
時間給賃金 前年比(%) | 5.4 | 5.3 | 5.2 | 4.2 | 0.3 |
12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
製造業 | 8.2万人増 | 0.7万人減 | 2.0万人減 | 16.6万人増 | 1.6万人減 |
サービス業 | 35.6万人減 | 12.9万人増 | 64.2万人増 | 54.2万人増 | 23.4万人増 |
政府系 | 3.2万人減 | 11.1万人増 | 8.6万人減 | 6.2万人増 | 4.8万人増 |
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
4月雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比+26.6万人となり、市場予想(100万人前後)を大幅に下回る冴えない結果となりました。全体の就業者数を見ても感染拡大前の水準を依然として820万人ほど下回っています。また、失業率は前月比+0.1%の6.1%と12ヶ月ぶりに悪化しました。雇用統計の結果を受けて1.56%台で推移していた米10年国債利回りは3月4日以来となる1.470%台へ急低下したことから、ドル円も4月27日以来の108円34銭まで下落する場面が見られました。
一方、季節調整前の数値では就業者数はおよそ110万人増加しており、一部のアナリストからは4月の結果を額面通りに受け止めるべきではないとの見方も聞かれます。こうした動きもあり、米10年債利回りはNY市場終盤にかけて雇用統計発表前の水準を回復するなど、4月の雇用統計は好調な景気回復の中での一過性の下振れと市場が受け止めていることを示唆しているのかもしれません。しかし、ドル円は雇用統計発表前の水準には届かず、108円34銭へ下落後の反発も108円88銭まで反発したものの、NY市場中盤から終盤にかけて108円50-60銭台をコアレンジとして、上値の重さが意識されたまま108円58銭で先週末の取引を終えました。
雇用統計が市場予想を下回った要因
今回の雇用統計が市場予想を大幅に下回った要因として(1)感染による自宅での食事機会が増えたことに対応し、スーパーマーケットなどの雇用者数はワクチン接種が進む中、外食機会の増加に伴い削減されたこと (2)食事や野菜などの宅配業者も雇用者数の削減に追い込まれたこと (3)ワクチン接種の状況を踏まえ、正規雇用者を削減し人材派遣での対応に切り替えていた業種でも、接種の拡大により人材派遣の雇用を削減した業種も見られたこと (4)半導体不足による一時帰休に追い込まれたサプライチェーン関連業種への影響 (5)雇用環境の改善により求人の選択肢が広がったこと (6)保育施設の改善が進まず、子供を預ける場所がないことで離職状態にある女性従業員などが考えられます。
雇用統計の結果に対して過度に悲観する必要なし?
米国でのワクチン接種の加速による経済活動正常化への楽観的な見通しを踏まえれば、労働市場の先行きに対する期待値を下げる必要はないとの見方も聞かれています。単に季節調整の影響に過ぎなかったのか、そうした意味では5月の雇用統計が2ヵ月連続で期待外れとなるまでは、過度な悲観も必要ないのかもしれませんが、仮に5月の雇用統計で4月分の上方修正もなく、5月の数値も予想を大幅に下回る結果となれば確実にリスク回避のドル売りが本格化することにつながることになりそうです。そうした観点からも今週14日発表の米4月小売売上高が予想を上回るか、ドル円の方向性を左右する上で注目されます。
さらにバイデン大統領は、インフラ整備や育児、教育などに何兆ドルもの予算を投じる計画を明らかにしたが、共和党との共通認識を見出すことができるか注目されます。バイデン大統領は12日にペロシ下院議長(民主)、マッカーシー下院院内総務(共和)、シューマー上院院内総務(民主)、マコネル上院院内総務(共和)らと巨額の景気対策法案を巡り協議を行うほか、13日には5,680億ドルのインフラ整備計画を提案しているカピト上院議員(共和)や共和党上院議員グループとホワイトハウスで会談する予定です。会談を経て民主・共和両党が最終的に妥協点を見出すことができれば議会下院でのインフラ関連法案の採決を7月4日に行うことを目指しているだけに注目されます。
USD/JPYチャート
週明けの東京市場でドル円は一時108円91銭まで反発しています。(2021/5/10 午前11時30分現在)
ドル円は日足・基準線(109円11銭)、日足・雲の上限(109円18銭)、さらに雇用統計発表前の高値(109円25銭)を回復することが出来るか上値メドとして注目されます。
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