欧州の1-3月期GDPは軒並み下落
5/15に発表されたドイツの1-3月期GDPは、前期比-2.2%と2009年1-3月期以来最大の減速となったほか、2019年10-12月期も前期比-0.1%に下方修正されたことで、2四半期連続のマイナス成長となり景気後退入りとなりました。
また、ユーロ圏の1-3月期 GDP確報値は-3.8%と速報値から変化は見られず、欧州での新型コロナウイルス感染の震源地となったイタリア(前期比-4.7%)以上にフランス(-5.8%)やスペイン(-5.2%)の下落が大きく影響したことが明らかとなりました。
欧州連合の当局者などからは、ウイルス感染による景気減速からの回復を支援するため第2次金融商品市場指令(MiFID2)の緩和によって公開市場での企業の投資や資金調達を促進する策を講じるとの観測も聞かれ、ユーロの下値支援につながったとの見方があるものの、上値の重い状況が続いています。
一方、先週末にはドイツでも対GDPの債務比率が80%を超えてくる可能性が報じられ、現状60%程度とされるドイツの対GDP債務比率が来年2021年には82%程度へ上昇するとの試算が示されており、債務拡大や追加的債券の発行増がドイツの長期債に影響を及ぼす可能性があるかもしれません。
EU離脱問題の先行き不透明感からポンド売りが加速
1-3月期のGDPを見る限り、マイナス成長の下振れはユーロ圏の-3.8%に対し、米国は-4.8%と減速幅が大きかったものの、トランプ政権の財政政策やFRBの金融政策により回復のペースが欧州を上回っていくとの期待も聞かれています。
欧州では、5/11から5/15まで英国のEU離脱交渉が行われましたが、進展はみられませんでした。7/1に迫った英国のEU離脱期限の延長申請の期限が迫る中、市場も懸念材料として捉えており、先週末にはマクロ系ファンドやリアルマネーからもポンド売り、ドル買いのフローが観測されていたようです。
通商交渉の行方のほか、公平な競争環境といった側面も英国とEUとの交渉のポイントとなっており、こうした状況が交渉を複雑化させていると見られています。
EUはウイルスによる影響で例外は黙認しているものの、原則、国家補助金などを禁止しています。こうしたEUのルールを度外視して英国が多額の補助金を駆使してユーロ圏以上に景気回復をすると、EU側の立場が損なわれるとの危惧を抱いていることも、交渉を難しくしている一因となっています。
英国はEUから離脱するため、こうしたEUのルールに縛られたくはないと主張しており、ウイルス感染からの景気回復に向けて積極的な財政政策を行う中で、もはや事実上の「合意なき離脱」も辞さないとする考えもあるのかもしれません。
次回の交渉は6/1ですが、英国の強硬姿勢に変化はなく、さらに離脱の移行期間の延長も行わないとの方針を継続しており、実質的な「合意なき離脱」の可能性を巡る先行き不透明感も、ポンドの下落につながりました。
こうしたEU離脱問題が英国経済回復の足かせにつながるとして、大手米銀や大手証券などからは英国の今年の成長率見通しを下方修正する動きがあるほか、6月の英中銀政策委員会での量的緩和拡大が8月にも一段と拡大される可能性があるとする見方も聞かれ、ポンド売りを加速させています。
さらに、英中銀政策委員会メンバーの一人であるホールデン氏が英国経済が1980年代に経験した失業危機に匹敵する状況に向かっているとの認識を明らかにしたことも影響し、ポンドは3/26以来の安値となる1.2076ドルまで下落したほか、ポンド円も3/24以来の129円34銭まで下落する場面があり、今週発表される英国の経済指標に対する反応が注目されます。
米中間の対立への懸念がドルの上値を抑制
一方、米国では、先週末発表された米4月小売売上高や4月鉱工業生産が過去最大の落ち込みを記録したものの、全米各州での経済活動の再開を背景に、5月NY連銀製造業景気指数と5月のミシガン大消費者態度指数が市場予想を上回るなど、4月からの改善が確認されました。
こうした中で、米政府が中国通信最大手ファーウェイへの輸出禁止措置を強化すると報じられるなど、米中間の対立への懸念がドルの上値を抑制する一因となっています。こうした中、クドロー国家経済会議(NEC)委員長から「米中貿易合意、崩壊は“断じてない”」との発言も聞かれるなど、引き続き米中間の要人発言にも注意が必要です。また5/22の中国・全人代を前に中国が対米報復措置など強硬姿勢を示すのか政治的な動きにも注意が必要です。
そのほか、5/20深夜のFOMC議事要旨の公表を前に、パウエルFRB議長の会見が予定されています。先週、議長はマイナス金利の導入に否定的な見解を示しており、踏み込んだ発言が聞かれるか注目されます。
また、ドイツでは5月ZEW景況指数が発表され、4月の28.2から-42.3へ大幅な低下が見込まれており、ユーロの下振れには注意が必要です。
ドル円は107円00銭付近を中心に明確な方向感のない値動きが続いており、ユーロやポンドの対ドル、対円での動向がドル円の方向性に大きく影響を及ぼす可能性がありそうです。
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