訪日外国人の減少は長期化か
2/17に発表された日本の昨年10-12月期GDPは、前期比年率‐6.3%と5四半期ぶりのマイナス成長に転じたほか、2/19に発表された機械受注は、1-3月期に5.2%減と3四半期連続で前期を下回る見通しが示されました。しかし、機械受注の調査は昨年12月時点での数値であり、新型コロナウイルス感染拡大の影響はみられていないことから、更なる大幅な減少になるとの懸念も聞かれています。
当然のことながら、1-3月期GDPはウイルス感染拡大の影響により2四半期連続でのマイナス成長に陥るとの警戒感が高まっています。感染拡大の影響が本格化する前の1月に関しては、外国人の訪日客数は前年同月比1.1%減の266.1万人でした。このうち、中国からの訪日客は前年同月比22.6%増の92.5万人です。しかし、中国政府が1/27に海外への団体旅行を禁ずる措置を講じたこともあり、2月は大幅に減少することが容易に推測できるほか、日本政府によるクルーズ船への対応に対し、海外からの批判も聞こえるだけに、訪日外国人の減少が長期化する懸念があります。
こうした中、2月以降の米国の経済指標では、1月ISM製造業景況指数が好不況の節目とされる50.0を昨年7月以来回復したほか、1月の雇用統計でも就業者数の上昇が続き、時間給賃金の鈍化に歯止めが掛かったことが確認されました。さらに、2月ミシガン大消費者景況指数も100.9へ上昇し、2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数も大幅に改善するなど、米国経済の持続的な成長が確認されました。一方で、前述の日本経済の減速懸念や欧州の景況感も先行きへの懸念が示されたこともあり、2/20にドル円は昨年4月以来となる112円23銭まで上昇しました。
2/21に発表された米2月サービス業PMI(景況感指数)は、好不況の節目とされる50.0を2016年2月以来4年ぶりに下回り、49.4へ低下しました。また総合PMIも49.6と冴えない結果となっています。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
一段の円安進行となるのか?
2/20に112円23銭まで上昇したドル円は、2/21の112円19銭を高値に111円47銭へ下落し、111円55銭で先週末の取引を終えました。
週末を挟んでウイルス感染の拡大が欧州へ拡大し、中でもイタリアでは2/21の十数名から 150 名程度へ急増したほか、5 名が死亡するなど感染拡大への警戒が高まっています。イタリアの観光名所も閉鎖されるなど景気への影響が懸念され、イタリアのFTSE株価指数が5.43%下落したほか、ドイツ DAX指数も4.0%安、フランスCACも3.94%安と軒並み大幅に下落したことが、NY株式市場にも飛び火しました。
2/21の米サービス業PMIが予想を大きく下回っていたことでウイルス感染が各国へ拡散する中、米大手証券が米1−3月期GDP見通しを従来の前期比+1.4%から+1.2%へ下方修正したこともあり、2/24のNY株式市場ではダウが1079ドル安まで下落し、1031ドル安(-3.55%)の27,960ドルで取引を終えるなど、3日続落となりました。NYダウの下落幅は史上3番目の大きさを記録したほか、ナスダックも355Pts安(-3.71%)の9,221Ptsで取引を終了しました。リスク資産とされる株式市場から安全資産とされる債券市場へ資金が流出し、米10年債利回りは一時、2016/7/6につけた過去最低(1.321%)に迫る1.351%まで低下し、1.370%で取引を終えたほか、米30年債利回りは2/21に続き、連日で史上最低の水準まで低下しました。FRBが6月までに1回の利下げを含め、年末までに2回の利下げを織り込む水準まで低下しています。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
しかし、ドル円は1/17の高値(110円30銭)や日足・基準線(110円27銭)が下値支持線として意識され、110円33銭で下げ止まり、110円72銭で2/24のNY市場の取引を終了しました。
また、日経平均株価は、昨晩の欧米主要株価指数が大幅に下落した影響を受け、取引開始直後に1,051円安の22,335円まで下落(先週末21日終値:23,386円)する場面が見られたものの、リスク回避の円買いにはつながらず、ドル円は110円64銭を下値に110円98銭まで反発、日足・転換線(110円92銭)を回復する場面が見られるなど予想以上に底堅い値動きとなっています。
日本でも国内のウイルス感染者の拡大が続いているほか、クルーズ船の感染者対応策に世界各国からの批判が聞かれ、日本は安全という信頼が大きく揺らいでいることもあり、株安下での円安という従来見られたリスク回避の円買いが後退しました。日本の信用低下を象徴する日本売りの中で、1-3月期GDPも昨年10-12月期に続き2四半期連続のマイナス成長が確実視されていることも、円買いを躊躇させている一因との指摘もあります。日本に対する安全という信頼が崩れ、円売りを加速させ一段の円安進行となるのか注意深く見ていく必要がありそうです。
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