1月末に英国は正式にEU離脱
1/23のECB理事会で、ラガルド総裁は現状の金融政策の潜在的な副作用を見ていく必要性について言及しました。その一方、物価見通しが目標に収束するまで現状の水準を維持する意向を明らかにしたほか、大規模な金融緩和策の必要性を強調したこともあり、ユーロは1/24に昨年12/2以来の安値となる1.1019ドルまで下落しました。その後の反発も限られ、上値の重い値動きを続けています。
1/29深夜のFOMCでは政策の変更はなく、現状の金融政策を維持すると見られるだけに、為替市場の変動要因とはなりにくいと思われます。こうした中で、FRBが昨年の秋から実施している短期レポ市場を通じた資金供給と米財務省短期証券(T-Bill)の買い入れが、金利上昇を抑制すると同時に、NY株式市場の上昇を支援するなど、リスク選好の動きを演出した要因とされており、こうした意向も継続する見通しが示されると思われます。
しかし、パウエルFRB議長が会見の中で、中国発の新型コロナウィルスの米国経済及び世界経済の減速について言及する可能性がある一方で、短期レポ市場を通じた資金供給の継続を強調する可能性もあり、NY株式市場の反応が注目されます。
さらに、1/30には英中銀政策委員会が開催されます。1/21に発表された英12月雇用統計で就業者数が予想を大きく上回ったことに続き、1/22発表の英1月楽観指数は大幅に改善しました。加えて、1/24の英1月製造業、サービス業、総合PMIがいずれも予想を上回ったことで、英中銀政策委員会での利下げ観測は50%割れまで低下しており、英中銀の判断が注目されます。
さらに注目されるのが、年末までの移行期間を残しつつ、1/31 23時00分(日本時間2/1 午前8時00分)に英国がEUから正式に離脱をすることです。2016年6月の離脱派が勝利した国民投票から3年半余りに渡り、英国の政治や経済に大きな足かせとなってきた離脱問題が決着することになります。しかし、1/24の「EUは、英国が離脱合意に違反した場合に制裁を課す権限を要求した」との 英 FT紙 の報道が嫌気され、ポンドはユーロの対ドルでの下落とともに欧州市場序盤の1.3170ドルを高値に1.3056ドルまで下落し、1/27時点では1.3061ドルから1.3080ドルと上値の重い値動きを続けています。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
ポンドは対ドル、対円でどのような反応を示すか
1/27のドル円は、日経平均株価が一時509円安まで下落したことに伴い、一時108円73銭まで下落しました。先週末のIMMのポジションから見た円売りポジションは拡大傾向が見られ、こうした動きがドル円の下値をサポートするか注目されます。
少なくとも、日足・雲上限(109円04銭)を回復すると同時に、空いた日足の窓(109円18銭)を回復することができるか注目されます。一方の下値は90日移動平均線(108円78銭)や200日移動平均線(108円51銭)が目先のメドとなります。
前述した通り、FOMCの現状維持決定による為替市場の反応は限定的になると思われます。一方、英中銀政策委員会での利下げの有無や、英国のEU離脱が正式に始動することに対し、ポンドは対ドル、対円でどのような反応を示すのでしょうか。ポンド円の動向がドル円の方向性を大きく左右する可能性があるだけに注目されます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
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