英議会下院選での与党・保守党の単独過半数獲得や米中通商交渉における第一段階の合意といった好材料が出てもドル円は109円71銭までの上昇に留まり、12/2の高値である109円73銭を上抜けるまでは至っていません。
ドル円 週足チャート
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
直近の週足チャートでも明らかなように、11月最終週から先週まで3週連続にわたり、週足・雲上限(109円76銭)や200週移動平均線(109円78銭)の重要な節目が上値抵抗線として意識される値動きが継続しており、週足・雲上限に絡む値動きが4週目となる今週中、こうした水準を上抜けるか、110円台回復の行方を占う重要な一週間になるかもしれません。一方、下値も12月第一週の108円41銭を下値に先週の下値は108円43銭までに留まるなど、第一週の安値を更新せずに下げ止まったことで109円41銭が当面の下値メドとして意識される水準になると思われます。
ドル円は今年の年初来高値である4/24の112円40銭から8/26の年初来安値である104円43銭のフィボナッチ38.2%にあたる109円36銭を前後して膠着感が見られることも110円回復に備えてのドル買いと110円の回復に至らずに反落するとの強弱交錯する見方を象徴しているようにも思えます。今年のドル円の年間の高値・安値の値幅は昨年2018年の年間9円99銭をさらに下回って7円97銭と過去最少幅を更新する可能性が高まっており、2年連続で年間の値幅が10円を下回る相場になりそうですが、こうした状況は来年には終止符が打たれるかもしれません。
ドル円の年間高値・安値の値幅
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
2019年、これまでを振り返ると米中通商交渉や英EU離脱問題など政治的案件に翻弄された印象が強かったほか、米FRBが7月以降、9月、10月のFOMCで利下げを行う中、ドル円は底堅く推移したと評価できるかもしれません。言い方を変えれば、ドル円の円高に対する耐性が示された一年であったと言えるかもしれません。
ドル円 月足チャート
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
月足チャートで見ると、2016年6月の英EU離脱の是非を問う国民投票で離脱推進が決定された際のポンドの急落に伴ったドル円の下値の99円05銭と今年8月の104円43銭で結ばれた下値支持線と2016年の大統領選でトランプ大統領の勝利を受けて政策期待に沸いた2016年12月の118円66銭と、昨年10月にNYダウが当時の史上最高値更新に伴って日経平均株価も24,270円まで上昇したリスク選好の動きが強まった際の114円54銭で結ばれた上値抵抗線との三角持ち合いの状況が続いています。
2016年6月の安値から12月の118円66銭への上昇を第1波動、118円66銭から2018年3月の104円64銭への下落を第2波動、104円64銭から2018年10月の114円54銭への上昇を第3波動、114円54銭から今年8月の104円43銭までの下落を第4波動として捉えると仮定すれば、通常は第5波動、もしくは第7波動で上抜ける可能性が高いとされることから、今回週足・雲上限(109円76銭)や200週移動平均線(109円78銭)の重要な節目を抜け、来年に向けて円安トレンド形成が再開されるかが注目されます。