8月雇用統計結果のポイント
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | |
非農業部門 雇用者数(万人) | 15.3 | 21.6 | 6.2 | 17.8 | 15.9 | 13.0 |
失業率(%) | 3.8 | 3.6 | 3.6 | 3.7 | 3.7 | 3.7 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.2 | 0.2 | 0.3 | 0.2 | 0.3 | 0.4 |
時間給賃金 前年比(%) | 3.2 | 3.2 | 3.1 | 3.1 | 3.3 | 3.2 |
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※出所:SBIリクイディティ・マーケット
米8月雇用統計
・就業者数は13.0万人増、しかし2.5万人は国勢調査のための政府の臨時雇用
⇒ FOMCで0.25% 引き下げの可能性。成長減速の兆し、米景気の下支え?
・労働時間 34.4時間(7月:34.3時間) 時間給 28.11ドル(7月:28.00ドル)
⇒週間報酬額 966.98ドル(7月:960.40ドル)は上昇、個人消費を支援
・失業率は3ヵ月連続で3.7% 一方、労働参加率は63.2%(6月;62.9% 7月:63.0%)
⇒実質的な失業率は低下、堅調な労働市場を確認
・民間部門の雇用増が鈍化 8月9.6万人(7月:13.1万人 6月:16.1万人)
・サービス業の雇用の伸びが鈍化 8月8.4万人(7月:13.3万人、6月:13.4万人)
・全体的に就業者数は鈍化、6月分、7月分の下方修正
・製造業の就業者数の増加は0.3万人、伸びが前年同月の半分以下
パウエルFRB議長講演
・米経済は引き続き順調、見通しは緩やかな成長、強い労働市場
・今年は、2-2.5%の成長予想、消費が牽引、製造業、貿易、設備投資は弱まった
・世界成長の鈍化、貿易の不透明性、低インフレがリスクに
・いくつか監視しなければならない大きなリスクがある・成長を持続のために適切な措置をとる、貿易不透明感が企業の決定に影響・労働市場はかなり強い、消費は強く、製造業は弱い
9/6の二つのイベントを終えて、9/17‐18のFOMCで0.25%の追加利下げを決定する確率は94%に達するなど、確実視されています。
9/3に発表された米8月ISM製造業景況指数は、2016年1月以来の低水準となる49.1と好不況の節目となる50.0を下回りました(2016年8月以来)。
仮に、9月の数値も引き続き50.0割れとなれば、リセッション入りのリスクが高まるとの見方もあり、FRBは来週のFOMCで0.25%の利下げを実施せざるを得ない状況です。
ECB理事会
・マイナス金利(現状‐0.40%)の深堀りや資産買入れの再開(300億ユーロ規模)の観測
・マイナス金利を適用する残高を縮小する仕組みを導入する可能性も
・ユーロ圏経済の要である独経済の2四半期連続でのマイナス成長(リセッション)懸念
・独経済テコ入れのため、財政出動の観測や欧州経済の低インフレも緩和観測を支援
日銀政策決定会合での対応は?
今週のECB理事会、来週のFOMCでは、いずれも緩和策が決定される可能性が高いと思われます。
日銀が現状維持とすれば、金利差縮小を背景に円高が加速するとの懸念も聞かれることから、円高・株安となれば10月の消費増税後の景気の落ち込みが一段と進む可能性があります。それだけに日銀の対応が注目されます。
9/6に、黒田日銀総裁はインタビューの中で「マイナス金利の深堀りはオプションの一つである」と発言したものの、地銀の収益圧迫につながるとの懸念も聞かれ、実際に実行するか疑問視する声も聞かれます。
また、国債買い入れ規模の拡大も国債市場の流動性に支障が及ぶ可能性があり、結果的に残された選択肢は緩和政策の長期化という政策方針を強調するに留まるのでは言われています。
現状、ドル円は105円台半ばから後半でのドル買いの一方で、107円台を積極的に買い上げるというよりは107円台前半は戻り売りのスタンスで臨むというのがメインシナリオになっている状況です。
107円台半ばを上抜け、108円台を目指す円安への回帰はトランプ大統領を刺激する可能性があり、過度な円安への回帰には二の足を踏む状況との見方も聞かれます。
ECBに続き、FRBも緩和策を打ち出した際に、日銀が緩和政策の長期化というフォワードガイダンスの強化だけで円高・株安を阻止できるのか、日銀の対応が注目されます。