7月FOMCでの利下げ可能性に言及?
先週一週間を通じたNY株式市場では、ダウが0.41% ナスダックが0.70%といずれも上昇、米中通商問題や米中首脳会談を巡る不透明感がドル円上昇の足かせになる一方、7/30-31のFOMCでの利下げ見込みがNY株式市場の上昇を支援する格好となっています。
今週のFOMCでは、今年1/30のFOMC以降続いた金融政策の変更について、「忍耐強くある」とした声明が変更されると見られています。
6/4にパウエル議長が行った発言で、「景気拡大を維持するため、我々は適切な行動をとる」とした内容に沿ったものになると思われますが、7月のFOMCでの利下げ可能性にどの程度言及するかがポイントとなりそうです。
FF金利先物からみた米政策金利予想(%)
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
FRBは難しい判断が迫られる
米5月雇用統計では、失業率が3.6%と前月の49年4ヵ月ぶりの低水準を維持した一方、就業者数の鈍化(7.5万人増)に続き、4月JOLT求人件数も前月から小幅に減少しました。これまでの増加に一服感が見られることも、労働市場の先行きが懸念される材料の一つかもしれません。
しかし、6/14に発表された米5月小売売上高や5月鉱工業生産が持ち直していたことから、FRBの判断が難しくなりました。
さらに、依然不透明な状況ながら、6/28-29の大阪G20サミットで米中首脳会談が実現し、米中通商交渉の進展期待が再燃する可能性も否定できないことから、ますます難しい判断を迫られることになるかもしれません。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
ドル売り・ドル買いどちらに反応?
5月FOMCで、パウエルFRB議長は低インフレが一時的であると指摘しており、こうした判断が修正されるのでしょうか?
一時的であるとの考えを継承するのであれば、断続的な利下げ観測を否定する事になるだけに注目されます。
一方、低インフレが持続する可能性へと転換するのであれば、政策金利の早期引下げの可能性に言及すると同時に、バランスシート政策も現状の引き締めから緩和へと転換する必要があります。
米中通商問題などの不透明な政治情勢を前に、「市場が予想する以上のハト派ではなかった」となった場合のNY株式市場の反応と共に、ドル売り・ドル買いどちらに反応するのか、パウエルFRB議長の会見・質疑応答まで集中する必要がありそうです。