目が離せない北朝鮮情勢 ここが注目点!
米朝首脳会談前に用意周到な動き
先週末のNY市場の取引終了後、北朝鮮が核実験やICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験の中止に加え、核実験場の廃棄を発表しました。
4/20に開催されていた北朝鮮労働党中央委員会総会は、党大会に次ぐ重要会議に位置付けられており、昨年10/7以来約半年ぶりの開催となりました。
今回の決定は、4/27に予定されている南北朝鮮半島首脳会談や、6月初旬までに開催が予定される米朝首脳会談を前に融和ムードを示し、経済制裁の解除、さらには経済支援に向けた道筋を開く狙いを持った用意周到な動きと見られています。
トランプ大統領は「北朝鮮にも世界にとっても朗報、米朝会談を楽しみにしている」とツイートしたほか、韓国大統領府も「朝鮮半島の非核化に向けた意味ある進展」と評価しています。
しかしながら、「核の脅威や挑発がない限り、核兵器を絶対に使用しない」とした北朝鮮に対し、今回の決定は「非核化」を意味するものでなく、核保有国として認めることを前提としたものではないかとの警戒感が残っています。
朝鮮労働党機構図
- ※SBIリクイディティ・マーケット
北朝鮮に関するこれまでの主な動き
- 2月韓国平昌冬季オリンピックに選手団を派遣、韓国と合同チームで参加
- 金正恩労働党委員長の妹・金汝貞率いる代表団が訪韓、韓国文在寅大統領と会談
- 韓国代表団、北朝鮮を訪問し金正恩労働党委員長と会談
- 南北朝鮮半島首脳会談開催や米朝首脳会談に前向きな意向を表明
- 3月初旬から半ば訪朝した韓国特使がロシア、米国、日本を訪問し北朝鮮の立場を報告
- 3月下旬:金正恩北朝鮮労働党委員長が北京を電撃訪問、習近平国家主席と首脳会談
- 4/10、北朝鮮李容浩外相がロシアを訪問、ラブロフ外相を会談
- 4月第2週?米ポンぺオ現CIA委員長(次期国務長官)、訪朝し金正恩労働党委員長と会談
北朝鮮を含めた6ヵ国の動向・思惑
- ※SBIリクイディティ・マーケット
緊張が続き、目が離せない展開
4/27の南北朝鮮半島首脳会議で、韓国が6月初旬までに開催が予定される、北朝鮮と米国の首脳会談を成功に導く糸口を見つけられるか、注目されます。
北朝鮮は制裁解除や経済支援への道筋を得るために、核実験やICBM発射実験の中止を表明したものの、『非核化』に至ってはいません。
今後も、北朝鮮が容易に核保有国として認めてもらうとの主張を簡単に諦めることはないと見られており、米国や韓国が北朝鮮の意向にどこまで妥協点を見い出せるのかが焦点となりそうです。
仮に核査察を受入れた場合でも、どれだけの核ミサイルを保有しているのか不明であるほか、さらに核実験場の廃棄に対する資金援助を求める可能性もあるなど、必ずしも楽観的な見通しばかりではありません。
少なくとも「協議継続」で話合いを継続することが最低条件であり、6ヵ国協議の枠組みへ移行する可能性も残されていることから、北朝鮮の核開発継続の時間稼ぎにならないか不安視する声も聞かれています。
万が一、米朝会談が決裂することになれば、軍事的脅威が高まる可能性もあるだけに、米朝首脳会談までは緊張が続くことになりそうです。
それだけに、ドル円がこのまま円安基調を進めることができるのか、しばらくは目が離せない展開が予想されます。