株式市場は調整一服か。一方、為替市場の行方は!?
株式市場の調整一服が確認できれば、為替市場も落着きを取り戻すか
先週末16日に、ドル円は、2016年11月の米大統領選以来約1年3ヵ月ぶりとなる105円55銭まで円高が進みました。その一方、日経平均株価は14日終値の21,154円を下値に15日、16日と続伸し、21,720円まで反発、週明け19日の取引では2/7以来、7営業日ぶりに一時22,000円台を回復しています。
日経平均株価は先週一週間で337円(1.6%)上昇し、4週間ぶりの反発となりました。円高が進行する中でも日経平均株価が反発に転じたのは、日経平均採用銘柄の予想PER(株価収益率)が先週15日に12.81倍まで低下したことで、世界の主要株価指数と比べ割安感が台頭したことが影響していると見られています。
また、NY株式市場では、NYダウが1/26の史上最高値26,616ドルを高値に、2/8には23,860ドルまで実に12%超も下落、こうしたことも今回のドル安・円高を助長した大きな一因となったようです。
しかし、ドル安は米国の企業収益を押し上げる効果が見込めるほか、長期金利の上昇が金融株の上昇につながり、NYダウは16日まで6連騰と反発、先週一週間の上昇率は4.3%と2016年11月以来の大きさに達したほか、S&Pも約5年1ヵ月ぶりの上昇率となる4.3%を記録しました。さらにナスダックも5.3%高と大きく反発、実に6年2ヵ月ぶりの大幅な上昇率となりました。
株式市場の調整が一服したことが確認できれば、為替市場も徐々に落着きを取り戻すことになるかもしれません。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット社
NY株式市場は不安定感を完全に払拭したとは言えない状況
先週示された米1月消費者物価指数や卸売物価指数がいずれも予想を上回ったことからインフレの加速が意識され、米10年債利回りは一時2.94%台まで上昇しました。3%台が意識される中においても、NY株式市場は先々週まで見られたパニック的な売りが影を潜めるなど、調整が一服した兆候であると捉えているようです。
今週は22日深夜(日本時間23日午前4時)に1/30〜31開催分のFOMC議事要旨が公表されます。税制改革が米国経済やインフレ見通しに及ぼす影響についてのFRBの見解のほか、インフレ加速の可能性についての新たな見方が示されるのか注目されます。
また、23日にはニューヨーク連銀ダドリー総裁やボストン連銀ローゼングレン総裁が『米国マネタリー・ポリシー・フォーラム』で講演を行います。現状4兆ドル規模に膨らんだ米国債など、FRBの保有資産について言及すると言われています。来週2/28にはパウエル新FRB議長の議会証言が控えているだけに、債券市場の動向とNY株式市場への影響が注目です。
先週末には、「ロシア疑惑を捜査するモラー特別補佐官が2016年の米大統領への干渉疑惑を理由にロシア企業とロシア人を起訴」との報道を契機に、NYダウは232ドル高から19ドル高へと上げ幅を縮小する場面が見られるなど、NY株式市場は依然として不安定感を完全に払拭したとは言えない状況にあります。
それだけにNY株式市場が再び下落基調に転じるようであれば、リスク回避志向を背景にした円買いが再燃、105円割れのシナリオも残されているかもしれません。株安・円高の勢いが加速する事態となれば、本邦企業の来期増益見通しが縮小しかねない悪循環のリスクも懸念されています。
ドル円は105円55銭を付けた前日15日の高値(107円01銭)を回復し、1/26の安値である108円28銭を回復できれば、円高局面が終了し反転のサインになると思われます。果たして先週末の105円55銭で下げ止まるのか、引き続き注目です。