議会演説は米国時間2/28 (日本時間3/1)実施予定
トランプ大統領就任から5週間が経過しました。2/26時点の世論調査は、不支持率が48%と、支持率44%を上回る状態となり、政権が発足してから間もないこの時期に行われた世論調査で、不支持が支持を上回った戦後初の大統領となりました。
トランプ氏は、日本時間の3/1に議会演説を行います。雇用改善に向け、積極的な政策を掲げていると評価する支持者がいる一方で、大統領としての資質に問題があるとの見方が世論調査でも明らかになっています。
今回の議会演説が支持率の回復につながるのか、一段の低下につながるのか、期待される減税策や財政策についての具体的な内容がどこまで示されるのか注目されます。
今回の議会演説は・・・
一般教書演説(国政報告)とも呼ばれます。大統領就任から時間も経っていないこともあり、議会演説の一つに数えられ、基本的には用意された原稿を読み上げる形式となります。
2009年のオバマ大統領の議会演説では、リーマンショックの影響が残る時期でした。そのため、金融安定化に向けた公的資金の増額などに大半の時間を費やし、エネルギーや医療保険改革など中期的な政策方針が示されました。
今回のトランプ大統領の演説では、内政、通商、外交の各分野で、議会共和党との調整がどの程度進んでいるのかが焦点になります。
大統領選で掲げた10年間で1兆ドルのインフラ整備、法人税率の35%から15%への引き下げなど、歳入と歳出のバランスについてどのような発言をするのか、さらに市場の期待を繋ぎとめることができるのかについても焦点となりそうです。
今回の議会演説を前に、トランプ大統領は「中流階級向けに大幅な減税を実施」、「軍事予算の大幅増を求める」、「国民を守る政策を数日中に発表する」と述べています。
一方で2/9の航空業界トップを集めた会合で示した、「近い内に驚くべき税制改革を発表する」との発言については、未だに具体的な税制改革は出てきていません。
2/23には、TVインタビューでムニューチン財務長官が、「8月の議会休会の前までに、税制改革案の議会通過を図りたい」と述べています。
そのため、今回の演説で市場が期待するような具体的な税制改革案が示されるのか懐疑的な見方が広がっています。さらに税制改革の規模や実施時期についても、市場の期待との乖離が出てきているようです。
内政、外交、通商政策でも課題が・・・
内政面
オバマケアを廃止する大統領令に署名しているものの、制度廃止にかわる新たな医療保険制度について、何も示されておらず、こうした状況が長期化すれば一段の支持率低下につながる可能性も。
外交面
ロシア、イスラエルを支持する政策を重視するのか、中国の海洋進出などのけん制を優先するのか、方針次第では地政学リスクが高まり、リスク回避志向が広がる可能性も。
通商政策
メキシコとの国境に壁を建設、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉のほか、対中国の為替政策に圧力をかける中で、日本円についても言及してくるのかに注目。
ムニューチン財務長官の直近の発言と、ドル円を確認
2/21、ムニューチン財務長官はラガルドIMF専務理事に対し、「各国の為替政策を公正に審査すべきである」とけん制的な発言をしており、為替政策に対して神経質になっているようです。
先週のTVインタビューでの発言を含めると、「長期的には強いドルが重要」、「ドル高はトランプ政権の政策に対する信頼を反映している」、「短期的には市場がドル相場を決定する」といった発言が基本スタンスのようです。
一方で、「ドル高には一定の問題がある」、「強いドルは短期的に米国経済に問題がある」とドル高をけん制する発言もおこなっており、状況によって変わる発言が、真意を読みづらいと市場では評されています。
一時111円台後半まで下落したドル円ですが、反発前の一時的な調整なのか、一段の円高進行を前にした下落途中段階にあるのか、財務長官の発言と共に、大統領の議会演説に対する反応が注目されます。
ドル/円 日足
- ※出所:FX総合分析チャート
為替市場が注目する今後の主なイベント
日本時間3/1のトランプ大統領の議会演説の後、3/5からは中国で全人代(全国人民代表大会)が15日まで開催され、李克強首相が2017年の成長率見通しを示すほか、期間中に周小川・人民銀行総裁も会見を行う予定です。
成長率目標が昨年の「6.5%〜7.0%」から「6.5%前後」へ下方修正されると予想されており、人民元安に頼った政策を続けるのか、トランプ大統領の対中国政策にも影響するため注目されます。
為替市場が注目する今後の主なイベント
2/28(火) | トランプ大統領 議会演説 |
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3/5(日) | 中国・全人代開幕(〜15日まで) |
3/10(金) | 米2月雇用統計 |
3/13(月) | トランプ大統領「予算教書演説」 |
3/14(火)-15(水) | FOMC |
3/15(水) | オランダ議会選挙 |
3/17(金)-18(土) | G20財務相・中央銀行総裁会議 |