イエレンFRB議長 証言で語る内容は?
2/10-2/11に行われたフロリダでのゴルフ外交を含む日米首脳会談では、開催期間中に北朝鮮によるミサイル発射がありましたが、日米両国が協調して対応する姿勢をアピールし、強固な日米同盟が確認されました。また、日米相互の成長促進に向け、様々な分野で経済協力する方針で一致しました。
次のイベントは2/14-2/15(日本時間、15日、16日それぞれ深夜0時)の上下両院の委員会で行われるイエレンFRB議長による議会証言とそれに続く質疑応答となります。
1月半ばに行われたイエレン議長の講演では、米国経済の見通しに触れ「今後数ヵ月、米国経済は拡大が続く」との認識を示しましたが、一方で「労働市場は完全雇用に近いことから、雇用を積み増すための財政政策は必要ない」とも発言しています。
今回の議会証言では、どのような発言を行うのか注目されます。
トランプ大統領 発言がイエレン議長証言に与える影響は?
2/9にトランプ大統領は、「近く驚くべき減税案を発表する」と発言、その翌日には「税制改革について共和党と協議を進めている」と述べています。
こうした発言の通りに政策が動き出せば、賃上げ圧力の上昇からインフレ期待が高まり、FRBはトランプ政権の財政・減税策が動き出した後の影響にも注意を払う姿勢が求められています。
仮にイエレン議長がトランプ政権の考え方と乖離した方針を打ち出すことになれば、FRBと政権との“溝”が意識されることになり、株式・債券市場が不安定化する可能性もあります。
トランプ大統領は就任以降言及を避けていますが、来年2月に任期を迎えるイエレン議長の再任には、選挙期間中に否定的な見解を示していました。
また、2/3には金融規制改革を推進する大統領令に署名したり、一部の国の為替政策について批判する発言をするなど金融市場に対する関心の高さを見せています。
イエレン議長が政権の政策に批判的な見解を示すことになれば、トランプ大統領はタルーロFRB理事の辞任によって3名の空席があるFRB理事枠に反イエレン人事を送り込み、イエレン議長の政策運営に影響を及ぼす可能性もあるため、議長発言が大統領の感情を刺激することにならないか注意が必要です。
イエレン議長証言とドル円の関係は?
イエレン議長が証言の中でトランプ政権批判を避けつつ、3月利上げの可能性を明確にすれば米長期金利の上昇を通じてドル高・円安になると考えられます。
一方で、次回利上げ時期への言及を避け、トランプ政権の財政政策へのリスクに言及するようなことになれば、ドル安に反応する可能性もあり、1/30以来2週間ぶりに114円台を回復したドル円が再び円高へ押し戻される可能性もあります。
1月雇用統計結果もおさらい!
1月の雇用統計では、就業者数こそ22.7万人増と、昨年9月以来20万人を超え、予想を上回ったものの、時間給賃金は前年比+2.5%と伸び悩んだことから、3月の利上げを急ぐべきではないとの見方も広がり、早期利上げ観測が後退しています。
就業者数の20万人超を詳細に見てみると、自らの希望通りではなく、仕方なくパートタイマーに甘んじている就業者が増加しています。また自発的失業者は減少し、非自発的失業者数が増加しており、広義の失業率(U-6)も前月の9.2%から9.4%へ上昇しています。
広義の失業率(U-6)とは
通常の失業者のほか、正社員を希望しているもののパートタイマーに甘んじている人、仕事があれば就労できるものの過去4週間以内に職探しをしなかったことから失業者にカウントされない人、職探しを完全にあきらめた人などを加えた失業率。失業を全体的に捉え労働市場の実態をより反映しているとされています。
米1月の失業率(通常)と失業率(U-6)(%)
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット