トランプ次期大統領の掲げる政策とこれまでの市場の反応は?
11月8日の米大統領選でクリントン候補を破ったトランプ氏は、来年1月20日に第45代米大統領に就任します。
今年4月30日、オバマ大統領はホワイトハウス主催の夕食会の場でトランプ氏の外交面での経験不足について、『トランプ氏はこれまで世界中の指導者と会談を重ねてきたじゃないか、ミス・スウェーデンやミス・アルゼンチンとね・・』とジョークで会場を沸かしました。それから半年、今回の大統領選はものの見事に市場の予想を覆す結果となりました。
トランプ次期大統領が掲げる政策
1. 減税政策 |
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2. インフラ投資 | 10年間で1兆ドルのインフラ投資を促進 |
3. 社会保障 | オバマ・ケアの改修 |
4. 規制緩和 | 金融規制の大幅緩和、ドッド・フランク法の緩和など |
5. 通商政策 |
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6. エネルギー政策 |
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※出所:SBIリクイディティ・マーケット提供
トランプ氏のスローガンでもある『Make America Great Again』(偉大なアメリカの再建)に向けて、今後10年間で成長率を4%に引上げ、新たに2,500万人の雇用創出を目指しています。
そのために、上記の政策を大統領就任後の来年1月20日から100日以内で、関連法の立法化を目指すとしています。トランプ新政権は上下両院ともに共和党が過半数を占めており、減税措置に対しても議会の協力が得易く、比較的早い時期で実現も可能となるだけに、NY株式市場は一段と上昇するとの楽観的な見方もあるようです。
また、減税とインフラ投資に関して民間資金の活用も検討しており、財政悪化懸念を払拭する考えもあるようです。トランプ次期政権の思惑通りに事が進むことになれば、株高・債券安(金利上昇)・ドル高につながるかもしれません。
一方、こうしたトランプ政権の政策を通じて向こう10年間で5.3兆ドル(約560兆円)の財政赤字に陥るとの試算もあります。「悪い米金利上昇」を招いたり、通商政策の行き過ぎが保護主義をあおることになれば、長期的にはNY株式市場の下落要因になる懸念があります。
今後発表されるトランプ政権の人事や、トランプ次期大統領の政策に対する様々な発言によっては期待が持続する可能性も十分にある一方で、「失望」に転じる可能性もあり、トランプ氏の言動や行動が注目されます。
トランプ氏大統領決定をうけたNYダウとドル円の動きは?
NYダウ 日足チャート (9/15〜11/11)
※出所:SBIリクイディティ・マーケット提供
大統領選前日の11/7(月)、NYダウは18,259ドルで取引を終了、8日(火)の開票結果でトランプ候補が当選を決めた途端、NYダウ先物は一時800ドルも下落するなど、トランプ候補の経済・外交政策に対する先行き不透明感が台頭しました。
しかし、トランプ大統領の勝利が確定した8日のNYダウはその後73ドル高となった後も上昇を続け、結果的に5日続伸となり11/11(金)までに959ドルも上昇しています。
今後のドル円を週足チャートで予想
※出所:SBIリクイディティ・マーケット提供
ドル/円については、7月21日の107円49銭を上抜け、11/14(月)の海外市場で108円54銭まで上昇しています。
2015年6月8日の高値125円86銭から2016年6月の安値99円00銭までの下落に対する38.2%戻しのポイントとなる109円26銭が重要なレジスタンスとなるかもしれません。さらにその上には一目均衡表の雲下限ラインや、50%戻しのポイントもあり、注目されます。