米大統領はどのように決まる? 11月8日の大統領選前にルールを確認
11月8日の大統領選までおよそ3週間となりました。
19日(日本時間20日)には両候補による第3回目のTV討論会が予定されていますが、トランプ候補がクリントン候補との支持率の差をどこまで縮めることが出来るのかが焦点となりそうです。実際、最新の支持率はクリントン候補がトランプ候補に約6ポイントリードしていますが、本選では全体で538人の選挙人の内、270人以上の票を獲得した候補が新たな大統領に選出されます。
米大統領選のルールを確認
選挙人の数は州によって異なっており、最も多いカリフォルニア州の55人から、最も少ない州は3人となっています。
上記の「総取り方式」により、カリフォルニア州やテキサス州など選挙人の数が多い州で勝利すれば、過半数の270人の選挙人獲得に大きく近づくことになるわけです。
2000年の大統領選では、ブッシュ共和党候補の獲得票が5,045万票に対し、民主党のゴア候補が5,099万票と票数では上回ったものの、選挙人獲得数ではブッシュ候補が271人、ゴア候補が266人と逆転現象が起きたために、ブッシュ共和党大統領が誕生した経緯がありました。
今後、TVなど米大統領選に関する報道が増してくると思いますが、米国の地図を広げ民主・共和それぞれ色分けし、どちらが優勢かといった解説を見聞きする機会もあるでしょう。
陣取り合戦の様相となるため、各州の面積だけで見れば米中央部が殆ど共和党支持となっており、実際の支持率とは違ってトランプ候補の共和党優勢に映るかもしれません。しかし、あくまでも選挙人の得票数でその州を総取りという仕組みになっているため、選挙人数の多い州をどれだけ獲得するかが勝敗の分かれ目となります。
スイングステートをどれだけ取れるかも勝敗の分かれ道
過去6回の大統領選でそれぞれ民主党、共和党と勝敗が分けた州を「スイングステート」と呼びます。
フロリダ(29票)、オハイオ(18票)、バージニア(13票)、ミズーリ(10票)、コロラド(9票)などが該当しますが、こうしたスイングステートをどれだけ獲得できるかも選挙の行方に影響を及ぼすことになりそうです。
大統領選を巡る不透明感が消費者心理に影を落としているとすれば、トランプ候補の敗色がさらに濃厚となれば消費者心理も改善されていくかもしれません。
第3回大統領TV討論会を前に、トランプ候補は「女性スキャンダルは作り話」と主張しながら、クリントン候補の私的メール問題に対し新たな資料を突きつけることで、挽回を図るだろうとの声も聞かれます。
それでも、トランプ候補の劣勢が明確になり、敗色が濃厚となってしまうのか、巻き返すことができるのか、為替・株式・債券市場への影響が注目されます。
FRBの年内利上げ観測も引き続き注意
もう一つの注目はFRBの12月利上げが確実になるか、といった点ではないでしょうか。
先週10/12(水)に公表された9月FOMC議事要旨では、投票権を持つ10名の委員の内3名が即時利上げを求め、現状維持の決定に反対を表明したことが明らかになりました。一方で今年の投票権を持たない委員も含めた17名の委員の内、3名が年内の利上げは時期尚早として「2%の物価目標に確信の持てるデータが必要」などを理由に挙げています。
「即時利上げ派」の発言
NY連銀ダドリー総裁: 「年内の利上げを予想」 (10/14)
ボストン連銀ローゼングレン総裁: 「市場予想よりも早く利上げを実施する必要性」 (10/14)
イエレンFRB議長は「利上げ前向き派」だが、慎重派にも配慮した発言
労働需給の逼迫が圧力となり、経済活動を押し上げる『高圧経済』が金融危機後の回復を支援している。
緩和策を過剰に長く維持することは代償もあり得る
FOMCの内部は「即時利上げ派」「利上げ前向き派」「利上げ慎重派」の三派に分かれており、「利上げ前向き派」であっても、上記発言の通り濃淡の違いがあるのも事実であり、想像以上に神経質なFOMC内部の模様が垣間見られるかもしれません。