米5月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
6/3(金)21:30(日本時間)
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前回値 |
+16.0万人 / 5.0% |
事前予想 |
+16.0万人 / 5.0% |
4月の雇用者数の伸びが予想を下回ったことから、早期利上げへの期待感が後退する結果となった。ただ、引き続き追加利上げのタイミングを見極める上では、注目度は非常に高い。特に、最近の経済指標の改善や・・・
前回発表時(5/6)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/米ドル
※出所:FX総合分析チャート 15分足
雇用統計直前予想レポート
5/6に発表された4月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が+16.0万人となり、市場予想の+20.0万人を大幅に下回り、雇用情勢が順調に改善している目安とされる+20万人を3ヵ月ぶりに割り込んだ。また、失業率は市場予想の4.9%に対して5.0%となり、前月から横ばいとなった。そして、労働参加率が低下する一方、長期失業者数は減少、賃金も上昇するなど雇用の質の改善はまちまちだった。非農業部門雇用者数が予想を下回る結果となったこと受けて、ドル/円は下落したものの、3ヵ月平均で目安とされる+20万人を維持したことや、賃金の上昇などもあり、値を戻す場面もあった。しかし、マーケットの注目である米国の金融政策に関しては、早期の追加利上げが見送られるとの思惑も出ており、上値の重い動きが続いた。その後は、米株価や原油価格が大きく上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は上昇する動きとなった。
図:前回発表時の振り返り
※出所:FX総合分析チャート
民間部門雇用者数は+17.1万人と2ヵ月連続で伸び幅が縮小となり、鉱業は-0.8万人、建設業は+0.1万人、製造業は+0.3万人、サービス業は+17.4万人。政府部門は-1.1万人と6ヵ月ぶりのマイナスとなった。1時間当たりの賃金は、前月比+0.08ドルの25.53ドル、前年同月比で+2.5%。管理職を除いたベースでは前月比+0.05ドルの21.45ドルとなった。パートの仕事しか見つからない人なども含めた広義の失業率(U6)は9.7%と前月から0.1ポイント改善したが、自発的離職率は10.3%と前月から0.3ポイント上昇した。また、失業期間が半年以上の長期失業者数は、前月より-1.5万人の206.3万人となり、全体の25.7%(前月27.6%)を占めた。そして、農業部門雇用者数は、2月分が+24.5万人から+23.3万人に、3月が+21.5万人から+20.8万人にそれぞれ下方修正された。
表:統計結果と今回の市場予想
|
5月市場予想 |
4月 |
3月 |
2月 |
1月 |
12月 |
11月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
4.9 |
5.0 |
5.0 |
4.9 |
4.9 |
5.0 |
5.0 |
非農業部門雇用者数(万人) |
16.0 |
16.0 |
20.8 |
23.3 |
16.8 |
27.1 |
28.0 |
民間部門雇用者数(万人) |
15.0 |
17.1 |
18.4 |
22.2 |
15.5 |
25.9 |
27.9 |
製造業部門雇用者数(万人) |
-0.2 |
0.4 |
-2.9 |
-1.6 |
1.8 |
0.6 |
3.0 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は5/31現在の予想平均値
今回の市場予想は、前月の結果がやや意識されており、前回並みの数字が予想されている。第1四半期は、前半の天候悪化などの影響もあり、経済の若干の失速懸念があったものの、第2四半期は改善が期待されていた。その中で、4月の雇用者数の伸びが予想を下回ったことから、早期利上げへの期待感が後退する結果となった。ただ、引き続き追加利上げのタイミングを見極める上では、注目度は非常に高い。特に、最近の経済指標の改善や複数の米当局者の発言により、6月の追加利上げへの期待感もやや高まっている。米当局者は、経済データの改善を追加利上げの条件の一つに掲げているため、今回の雇用統計の結果が、6月のFOMCでの追加利上げの有無を左右する重要なファクターになる可能性もある。ポイントは、市場予想の雇用者数の伸びで、“経済データの改善”とみなすことができるのかどうかだ。やはり、安定的な雇用者数の伸びとされる+20万人を超えることが必要ではないだろうか。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成