米2月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
3/4(金)22:30(日本時間) |
前回値 |
+15.1万人 / 4.9% |
事前予想 |
+19.5万人 / 4.9% |
今回の発表で、前回から雇用者数の伸び幅が拡大すれば、前回の結果(雇用者数の伸びの減少)が、季節的な要因が大きかったとある程度理由付けされるだろう。しかし、前回並みの結果(又はそれに近い水準)となるようなら・・・
前回発表時(2/5)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/米ドル
※出所:FX総合分析チャート 15分足
雇用統計直前予想レポート
2/5に発表された2016年1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが+15.1万人となり、市場予想の+19.0万人を下回った。特に、サービス業の減速などが響き、4ヵ月ぶりに安定的な雇用の伸びとされる+20万人を下回る結果となり、昨年9月以来の低い伸びとなった。これを受けて、米経済への先行き懸念から比較的安全な通貨とされる円を買い、ドルを売る動きが先行し、ドル円/は116.25まで下落、1/20以来約2週間ぶりの安値を付ける動きとなった。しかし、失業率は4.9%と市場予想の5.0%を下回り、2008年2月以来の水準に低下したことや、非農業部門雇用者数の3ヵ月平均が安定的な雇用の伸びとされる+20万人を維持したこと、また平均賃金も上昇していたことが好感され、ドル/円は117.42まで反発する動きとなった。ただ、雇用統計の内容が全般的にポジティブとの見方が広がったものの、世界経済の先行き懸念が強まる中、3月のFOMCでは利上げが見送られるとの観測も根強く、その後は上値の重い動きとなった。
図:前回発表時の振り返り
※出所:FX総合分析チャート
民間部門は+15.8万となり、集合住宅などが好調だった建設業が+1.8万人(12月+4.5万人)と鈍化、サービス業も+11.8万人(+23.1万人)と伸びが縮小した。一方、製造業は+2.9万人(+1.8万人)と伸びが拡大した。そして、1時間当たりの賃金は、全体ベースで前月より0.12ドル多い25.39ドル、管理職を除いたベースでも0.06ドル多い21.33ドルとなった。週平均労働時間は、34.6時間と12月の34.5時間から微増した。また、フルタイムで働きたいのにパートの仕事しか見つからない人や求職活動を諦めた人も含めた広義の失業率(U6)は9.9%と前月から横ばいだった。また、失業期間が半年以上の長期失業者数は208.9万人で、全体の26.9%を占めた。 なお、非農業部門雇用者数は、12月分が+29.2万人から+26.2万人へ下方修正、11月分は+25.2万人から28.0万人へ上方修正され、2ヵ月分合計で0.2万人の下方修正となった。
表:統計結果と今回の市場予想
|
2月市場予想 |
1月 |
12月 |
11月 |
10月 |
9月 |
8月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
4.9 |
4.9 |
5.0 |
5.0 |
5.0 |
5.1 |
5.1 |
非農業部門雇用者数(万人) |
19.5 |
15.1 |
26.2 |
28.0 |
29.5 |
14.9 |
15.0 |
民間部門雇用者数(万人) |
18.5 |
15.8 |
25.1 |
27.9 |
30.4 |
16.2 |
12.3 |
製造業部門雇用者数(万人) |
0.0 |
2.9 |
1.3 |
3.0 |
2.0 |
-0.9 |
-1.8 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は3/1現在の予想平均値
今回は、雇用者数の伸びが前回の大幅低下の反動などから、伸び幅が拡大するとの予想となっている。例年にない暖冬で建設部門などの雇用が押し上げられていた反動や、年末商戦のために増加していた雇用が剥落したことも、前回の低下につながった要因である。しかしながら、これらのマイナス要因が一巡したことも、今回ネガティブな予想とならない要因だろう。ただ、安定的な雇用の伸びとされる+20万人を上回らないということは、最近の米経済の失速懸念もやや影響していると考えられる。そして、先週の米経済指標の悪化が続いたことで、米経済に対するネガティブな見方も出ていることから、週末の雇用統計までの主要な経済指標の結果を見極めた上で、直前までに予想が修正されるとの思惑も少なくないことから、直前までの指標結果も考慮したい。
今回、前回から雇用者数の伸び幅が拡大すれば、前回の結果(雇用者数の伸びの減少)が、季節的な要因が大きかったとある程度理由付けされるだろう。しかし、前回並みの結果(又はそれに近い水準)となるようなら、季節的な要因というよりはむしろ、米経済の鈍化懸念の影響が大きいとの見方が強まる可能性もあるだろう。後者の結果となる場合には、今月のFOMCでの利上げを正当化する材料が完全に消えたとの見方が強まる可能性も考えられる。そのため、ポイントは安定的な雇用者数の伸びとされる+20万人を上回るかどうかが、判断の分かれ目となるだろう。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成