米12月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
1/9(金)22:30(日本時間) |
前回値 |
+32.1万人 / 5.8% |
事前予想 |
+24.0万人 / 5.7% |
12月5日に発表された11月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が市場予想の+23.0万人を大きく上回る+32.1万人となり、増加幅は2012年1月以来、2年10ヵ月ぶりの高水準となった。そして、9月、10月ともに上方修正されるなど、雇用回復の加速が示された・・・
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前回発表時(12/5)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
ポンド/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
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雇用統計直前予想レポート
12月5日に発表された11月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が市場予想の+23.0万人を大きく上回る+32.1万人となり、増加幅は2012年1月以来、2年10ヵ月ぶりの高水準となった。そして、9月、10月ともに上方修正されるなど、雇用回復の加速が示された。また、非農業部門雇用者数の伸びが+20万人を超えるのは10ヵ月連続となり、1994年以来最長となった。一方、失業率は、前月から横ばいの5.8%となり、市場の予想通りの結果となった。 雇用者数が大きく伸びたことを受けて、市場では米FRBによる早期の利上げ観測が強まるとの見方が広がり、ドルが主要通貨に対して買われ、ドル/円は120円台から121円台まで1円以上上昇する動きとなった。
図:米ドル/円 5分足
※出所:FX総合分析チャート
民間部門の雇用者数は+31.4万人となり、サービス部門は+26.6万人、製造業が+2.8万人、建設業は+2.0万人、政府雇用も+0.7万人となり、雇用者数は全体的にバランスよく拡大した。そして、非農業部門の雇用者数は、9月発表の+25.6万人から+27.1万人に、10月の+21.4万人から+24.3万人にそれぞれ上方修正され、前月結果からの実質的な伸びは+36.5万人となった。 また、失業期間が半年以上(27週以上)に及ぶ長期失業者数は、前月から-10.1万人の281.5万人となり、失業者全体の30.7%(前月32.0%)となった。
ただ、注目された賃金の伸びは予想を上回る結果となったものの、FRBが利上げに踏み切りやすい水準とされる3%以上を大きく下回っており、依然として緩やかな伸びが続いている。また、失業者数が増加したことや、求職者を含む働き手の割合を示す労働参加率が前月から横ばいの62.8%となり、依然として最低水準が続くなど、懸念が残る部分もある。
表:統計結果と今回の市場予想
|
12月市場予想 |
11月 |
10月 |
9月 |
8月 |
7月 |
6月 |
5月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
5.7 |
5.8 |
5.8 |
5.9 |
6.1 |
6.2 |
6.1 |
6.3 |
非農業部門雇用者数(万人) |
24.0 |
32.1 |
21.4 |
25.6 |
20.3 |
24.3 |
26.7 |
22.9 |
民間部門雇用者数(万人) |
23.0 |
31.4 |
20.9 |
24.4 |
20.0 |
23.9 |
26.0 |
22.8 |
製造業部門雇用者数(万人) |
1.3 |
2.8 |
1.5 |
0.9 |
0.3 |
2.4 |
2.1 |
1.5 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は1月5日現在の予想平均値
12月の季節要因(クリスマス、年末商戦)を考えれば、雇用増が期待できる時期であり、昨年と比較しても米景気の改善の兆候が強いことから、雇用の増加期待が高まっても不思議ではない。実際に、先月発表された11月の雇用統計においては、サービス業の雇用者数の伸びが好調で、小売業は+5.0万人と、昨年12月以来の大きな伸びとなっている。特に、宅配業者の季節雇用については12月の雇用統計に強く現れる可能性があり、通常以上の雇用者の伸びも期待できる時期である。
しかし、前回の結果が予想外に伸びたことから、1月5日時点での12月の市場予想は、大幅な雇用者数の伸びに対する反動が出るとの懸念もあり、やや控え目な予想となっている。そのため、週前半から発表される米国の雇用関連の経済指標の結果次第では、市場予想の数字も変化する可能性が考えられることから、雇用関連の指標、指数の結果には注目したい。
そして、市場参加者にとって、雇用統計の結果は、米国の利上げ時期を見極める上での重要な判断材料となる。そのため、前回のように予想を上回る結果となれば、ドル買いの動きが強まる反面、大台である20万人割れとなる場合には、ドルが一時的に売られる展開も予想される。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成