2013年12月会合以降の日銀金融政策決定会合と米FOMC
日銀 |
日程 |
内容 |
---|---|---|
2013年12月 |
19〜20日 |
現状維持 |
2014 年 1月 |
21〜22日 |
〃 |
2月 |
17〜18日 |
〃 |
3月 |
10〜11日 |
現状維持 |
4月 |
7〜8日 |
〃 |
30日 |
〃 |
|
5月 |
20〜21日 |
〃 |
6月 |
12〜13日 |
〃 |
FOMC |
日程 |
内容 |
---|---|---|
2013年12月 |
17〜18日 |
「量的緩和第3弾」の縮小開始決定 |
2014 年 1月 |
28〜29日 |
量的緩和の縮小継続 |
2月 |
開催なし |
- |
3月 |
18〜19日 |
量的緩和の縮小継続 |
4月 |
29〜30日 |
〃 |
5月 |
開催なし |
- |
6月 |
17〜18日 |
量的緩和の縮小継続 |
2013年12月会合以降の日銀金融政策決定会合と米FOMC
上表1、表2は、日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)それぞれの2013年12月以降から直近までに開催された会合での政策決定結果を示しています。ともに政策金利(米国はフェデラル・ファンド金利誘導目標)の変更は、昨年末以降には実施されていませんが、米FOMCは昨年末に2012年9月以降、月額850億ドル規模で続けてきた資産購入、いわゆる「量的緩和第3弾」の縮小開始を決定しました。日銀は今年2月に、金融機関向け低利の資金供給の増額と期間延長を行っていますが、昨年4月の「異次元の金融緩和」を実施して以来、実質的な追加緩和は見送られ続けています。
今後の日銀金融政策決定会合 〜サプライズ決定には注意が必要か〜
本邦では4月から消費税が5%から8%に引き上げられ、多くの商品価格や公共料金が値上がりしました。3%の負担増を避けるため3月末までの駆け込み消費が増加、その反動による4月以降の消費落ち込み対策の面からも、市場では日銀の追加緩和に対する期待が高まっていましたが、これまでのところ日銀は追加緩和を実施するには至っていません。
先週6月12〜13日の会合も今年5月までの会合と同様に、金融政策は現状維持となりました。黒田総裁は会合後の記者会見で、「量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮している」とこれまでの内容とほぼ同じ発言を繰り返しており、総裁の発言だけを捉えれば日銀の金融政策運営は、当面現状維持となることが想定されます。
5月の会合に際しては、市場に一定以上の追加緩和期待がありましたが、6月にはそうした期待も随分減少していました。その背景には、5月会合前に日経平均が14,000円を割り込み、円相場も100円を超えて円高に向かうような、いわゆるアベノミクス相場の終焉懸念がありました。5月の会合以降は、日経平均が反発し円相場も円安への調整が入り、相場が一段落しているのですが、相場が再び安倍政権誕生前の水準にまで戻るようなことがあれば、アベノミクス相場の終焉危機回避という観点からも日銀の追加緩和への期待が高まるでしょう。また、6月は政府による新しい成長戦略の策定時期にあたり、しかも6月12〜13日の会合前から法人税減税や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方針見直しの予定スケジュールなども伝わり始め、日銀は追加緩和措置を温存するはずだとの見方が大勢になっていました。
6月末までに策定される予定の新しい成長戦略は、安倍首相の会見から一部すでに報告された法人実効税率の引き下げ以外にも、GPIFの具体的な運用方針の変更や規制改革 雇用規制改革などが表明される予定になっています。成長戦略が相場に与える影響も現時点では日銀会合以上のインパクトがあると考えられ、市場からの評価が高ければ、年内の日銀による追加緩和の可能性も相当小さくなりそうです。逆に成長戦略の評価が著しい失望となった場合、「アベノミクスは失敗」となるとの見方もあり、月内はこの発表内容に注意が必要でしょう。
足元の為替相場は、成長戦略を除けば国内材料よりも米国債の利回り上昇やイラクやウクライナをめぐる地政学リスクからの影響が大きくなっています。こうした状況に市場は、年内の日銀の追加緩和の可能性が以前と比べてかなり低下したと考えているようです。それでも追加緩和が実施される可能性の高い会合を順番に並べてみると
10月会合 |
となっているようです。
気を付けなければいけないのは、政府と日銀、そして安倍首相と黒田総裁の関係を考えれば、むしろ市場の期待感が薄れてきた時や、可能性のなくなったと思われるような時ほど、サプライズ決定なども想定され、安倍首相や黒田総裁の普段の何気ない談話などにも注意が必要です。
今後の米FOMC 〜今後の注目は「消費者物価指数」?〜
米連邦公開市場委員会(FOMC)は、量的緩和第3弾の規模縮小に動いた昨年の12月以降、3月の会合後の記者会見でイエレン議長が緩和縮小の終了から利上げまでの期間を6カ月程度と発言して波紋を呼んだ以外は、極めて静かなFOMCが続いています。6月17−18日のFOMCに対しても、前回までの会合から大きく変化することがなく、利上げ時期への言及も早くて7月以降の会合になるだろうとの見方が大勢となっていました。結果は、FF金利の誘導目標0.25%は据え置き、資産購入額が月額350億ドルに縮小と予想通りになりました。5月21日に公表された4月29−30日の前回会合の議事要旨で、異例に緩和的な金融政策の正常化に向け「出口戦略」への議論が始まったことが明らかになっていたため、この議論の進捗にも注目が集まっていましたが、声明文や会見内容に議事要旨に示された以上の新情報はありませんでした。
6月17−18日のFOMCには、空席となっていた副議長に就任したフィッシャー氏が初参加、他にもブレイナード理事とパウエル理事も正式就任後の参加となり、前回会合までの委員会メンバー9人が一挙に12人態勢に増えた中での開催となっていました。ハト派色の強いフィッシャー副議長とハト派寄りのブレ―ナード理事が加わったことが、今回の会合がハト派寄りの結果となった要因の一部となった可能性は否定できません。確かにFF金利誘導目標の長期的な中立水準が前回の4%から3.75%へ引き下げられていますが、2015年末と2016年末の誘導目標は上方修正されているように、必ずしもハト派色が強くなっているわけでもありません。今回の会合直前に発表された消費者物価指数が上振れしたこともあり、早期の利上げへの言及がなくとも、今後の中長期の成長率と政策金利の見通しの変化には注意が必要なようです。
今後のFOMC日程は、
7月29−30日 |
の予定です。
6月のFOMCまでの緩和縮小ペースが継続されれば、量的緩和第3弾の縮小が10月には完了することになり、夏休みが終わった9月のFOMC前後からは、否が応でも市場の利上げ時期に対する議論が改めて高まるはずです。FOMCは「もはや雇用の数字だけが政策変更の判断材料ではない」としており、雇用統計は月一番の大きなイベントしては残るものの、今後の注目は「消費者物価指数」などインフレ率に直接つながる指標などに移っていくことになると思われます。当局は「ゼロ金利政策を当面継続」としていますが、議事録の内容、経済指標、イエレン議長をはじめとする高官発言から早めの利上げ時期のヒントを掴むことになりそうです。
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