2017/08/01
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」7月31日号より抜粋
主要国の政治情勢に不透明感が強まっています。日本では、2020年の憲法改正を目指す安倍政権ですが、7月都議選の自民党大敗で潮目が変わり、加計学園問題と諸大臣失言や稲田防衛大臣辞任と、民進党が求心力を低下するなかでも、安倍政権の支持率は急低下しています(2017年6月「支持する48%、支持しない36%」→7月「支持する35%、支持しない48%」NHK放送文化研究所調べ)。
米国では、オバマケア修正法案の上院通過が難航、さらにトランプ大統領周辺のロシア疑惑(機密漏洩と司法妨害の嫌疑)が影響し、「7月24日時点、支持率36%、支持しない59%(Gallup調査)」にまで支持率は低下しています。欧州でも、英国がEU離脱交渉を開始する一方、ポーランドでは反EU・反移民を掲げる政権与党「法と正義」が司法介入できるよう司法制度改革法案を可決しました(ドゥダ大統領は法案署名を拒否したが、改正案を今後提出する可能性も)。
しかし、政治情勢の揺らぎとは裏腹に、世界経済は底堅く、世界景気の先頭を走る米国では、良好な企業業績を映して株式は最高値圏を維持しています。為替市場では、日本の政治混乱が円高、米国のトランプ政権不人気がドル安に作用し、一時的に円高ドル安へ振れる局面もありますが、来年に向けた米国利上げと日本金利据え置きに伴う日米金利差拡大が、緩やかな円安ドル高を導く見通しです。
今週は、米国雇用統計、日米欧の企業決算、日本の内閣改造に注目です。
◆米国:8月に景気拡大は98ヵ月目に入り、過去平均38ヵ月を大幅に上回り、1991年3月-2001年3月の最大120ヵ月を抜く可能性もあります。過去の景気後退入りの主因はバブル崩壊ですが、依然、その兆候は見当たりません。バブルの萌芽として、@IT株バブル、A商業用不動産バブル、B企業向け過剰融資には警戒する必要がありますが、現段階では危険領域には至らず、安全圏と判断されます。
米連銀は、資産縮小を9月19-20日の会合で発表、10月から段階的実施、政策金利は2017年12月に引き上げ、来年は6月と12月の最大2回と予想されます。今後の景気と物価次第で政策金利の上昇テンポを操作するだけに、今週1日の個人消費デフレーターと4日の雇用統計の平均時給が重要です。賃金上昇が緩慢であれば、政策金利の最終着地点は現行予定3.0%から2.0-2.5%に引き下げられましょう。
◆日本:3日の内閣改造により安倍政権の支持率が回復できるかが焦点です。民進党が再結束する前に、また小池百合子氏の国政参加の可能性も残ることを鑑み、解散前倒しの可能性にも要注意です。経済統計では失業率6月が2.8%、有効求人倍率も1.51倍と43年4ヵ月ぶりの高水準となる反面、生鮮食品除くコア消費者物価は前月比横ばいが今年2月から6月まで続き、6月の前年比+0.4%に留まっています。4日の現金給与総額が良好な雇用環境を反映して上昇するか注目です。 (荒武)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
7/31(月) |
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(日)6月 鉱工業生産(速報、前月比) |
8/1(火) |
(米)6月 個人所得・消費(前月比) |
8/2(水) |
(米)ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 講演 |
8/3(木) |
(日)内閣改造 実施予定 |
8/4(金) |
(日)6月 現金給与総額(前年比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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