2017/05/10
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」5月9日号より抜粋
5日に米国で2017年度予算が成立し政府機関閉鎖リスクは当面回避、7日のフランス大統領選挙(決選投票)で親EU(欧州連合)のマクロン氏が勝利したことを受け、金融市場には安堵感が広がっています。底流にある米国の堅調な景気回復や慎重な利上げへの見通しも特段変化なく、リスク選好の流れが保たれています。
ただし、足元は中国当局の金融規制強化を嫌気した同国株安、米国のオバマケア代替法案審議の行方(下院は僅差で可決も上院は難航か)、11-13日のG7(先進7ヵ国)財務相・中銀総裁会議で米国が他国に対し通貨安批判を強める可能性、など不透明要因も山積しており、リスク選好の勢いが強まる公算は低いと考えます。
◆日本:大型連休中の海外株高や円安ドル高を受け、8日の日経平均株価は年初来高値に達しました。ただし4月中旬以降、横ばいが続く米ドル指数が示唆するように、トランプ政権の米ドル高警戒が意識されやすい環境です。国内株は高値圏維持も、今週山場の国内企業決算発表を材料に一進一退の展開を見込みます。
◆米国:直近の実質GDP(1-3月期速報)が前期比年率+0.7%に失速した主因は自動車販売不振にあり、個人消費全体が低迷したわけではありません。ただし、12日の消費者信頼感指数(5月速報)が最近の企業マインド同様、頭打ち傾向を見せれば個人消費の先行き不安が浮上、米国株の上値が重くなる可能性があります。
◆ユーロ圏:ECB(欧州中銀)が早ければ6月の理事会で金融緩和解除へ地ならしをするとの見方も、ユーロ相場堅調の要因に挙げられます。直近の消費者物価(4月)は前年比+1.9%へ再浮上も、原油高のインフレ効果が徐々に逓減する点を考えると、やや前のめりな市場の緩和措置解除期待は修正に向かうと思われます。
◆オーストラリア(豪):住宅建設許可件数(3月)は前月比▲13.4%と急減、政府の住宅融資抑制策も加わり、住宅市況は調整色を強める見通しです。9日の小売売上高(3月)は同▲0.1%と低調、商品価格が頭打ち傾向にあり、外需が足元の勢いを維持できるか疑問符もつくなか、豪ドル反発余地も限られる見込みです。
◆ブラジル:1・2月の経済活動指数が2ヵ月連続で前月比上昇、実質GDP(1-3月期)は9期ぶりに前期比プラスの公算大です。10日の消費者物価(IPCA、4月)の前年比が一段と低下すれば大幅利下げ継続で景気浮揚期待も高まるでしょう。ただし、来週予定される年金制度改革法の下院採決は難航が予想され要警戒です。
◆原油:産油国は25日のOPEC(石油輸出国機構)総会に向け高官会合を重ねており、6月末までの原油減産措置の延長合意に向け前進しています。ただし、米国シェールオイルが増産に転じ、供給過剰懸念の払拭は容易でなく原油価格が現行レンジ(WTI先物で40〜50米ドル)を上抜ける公算は低いとみます。(瀧澤)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
5/7(日) |
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(仏)大統領選挙(決選投票) |
5/8(月) |
(米)メスター・クリーブランド連銀総裁 講演 |
5/9(火) |
(日)3月 現金給与総額(前年比) |
5/10(水) |
(日)日銀金融政策決定会合主な意見 |
5/11(木) |
(日)3月 経常収支(季調値) |
5/12(金) |
(米)エバンス・シカゴ連銀総裁 講演 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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