“トランプ関税の影響、物色偏りの歪み正常化プロセス”
- トランプ大統領は本気のようだ。2/1、不法移民と薬物の流入を「国家の緊急事態」と認定し、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国には10%の追加関税を課す一連の大統領令に署名した。これに対し、カナダのトルドー首相は25%の報復関税を課すと表明。さらに、トランプ大統領は欧州連合(EU)からの輸入品にも時期を示さず追加関税をかける可能性を示唆したほか、対象国について明示することなく各国から輸入する鉄鋼や半導体などを対象とした、品目ごとの関税引き上げも検討するとした。
- トランプ関税の影響として、2点を指摘しておきたい。第1に、3/4予定のトランプ大統領による一般教書演説、および4月以降の下院補欠選挙に向けて、公約実現のための断固とした姿勢が弱まることは考えにくい。下院が共和党と民主党で220対215となっているなかで共和党所属議員がトランプ政権への参画や指名を辞退したことから3名の補欠選挙が行われる。民主党が全勝すれば民主党が逆転して多数派となり得る。共和党は多数派を確保できても議席減となれば議会で法案を通すための調整が困難となる。それは何としても避けたいだろう。
- 第2に、米国経済への影響である。昨年10-12月期のGDP速報値、および12月の個人消費支出(PCE)価格指数などで消費が上振れている。消費者が関税に伴う物価上昇を見越し、その前に駆け込み消費が発生していることが示唆される。「関税が価格に転嫁されて物価が上昇すれば長期金利が上昇してドル高」という見方が多数のように見受けられるが、消費が冷え込んで景気が減速するシナリオもあり得る。その場合、ドル安・株安を伴う可能性が高いだろう。
- 中国発の低コスト・高性能AI(人工知能)モデル「DeepSeek」が注目され、1/27の米国株式市場は半導体関連銘柄を中心にショック安となった。主要株価指数終値の前日比は、ダウ工業株30種平均株価(ダウ平均)が0.65%高に対し、ナスダック100が2.75%安、フィラデルフィア半導体指数(SOX)が9.15%安だった。この日の動きの背景には別の構造的要因が影響しているように思われる。SOXをS&P500指数で割った倍率は、ITバブルのピークだった2000年3月に0.95倍まで上昇後に反落。昨年6月に1.0倍を突破して7月に1.03倍まで上昇し、1/31終値で0.83倍の水準だ。ナスダック100をダウ平均で割った倍率は、2000年3月に0.46倍まで上昇後に反落。昨年7月に0.52倍まで上昇後、1/31終値で0.48倍の水準にある。半導体指数のS&P500指数に対する買われ過ぎ度合いはITバブルのピークを少し下回る水準、大型ハイテク株を中心とするナスダック100のダウ平均株価に対する買われ過ぎ度合いはITバブルのピークを上回っている。何らかのショックの度にこれらの歪みが正常化していくことも考えられるだろう。(笹木)
- 2/4号は、クレイン(CR) 、キンドリル(KD)、ケンビュー(KVUE)、ソルベンタム(SOLV)、スターバックス(SBUX) 、ヴィクトリアズ・シークレット(VSCO)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー

S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(1/31現在)


主要企業の決算発表予定
2月4日(火) | アイデックス、アルファベット、マッチ・グループ、FMC、アムジェン、ジュニパーネットワークス、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、ベラルト、アトモス・エナジー、エンフェーズ・エナジー、ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツ、フェア・アイザック、エレクトロニック・アーツ、プルデンシャル・ファイナンシャル、チポトレ・メキシカン・グリル、モンデリーズ・インターナショナル、フォックス、WECエナジー・グループ、ザイレム、メルク、エスティローダー、ペイパル・ホールディングス、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、ファイザー、アメテック、ペプシコ、ジェイコブズ・ソリューションズ、ハベル、センティーン、ウィリス・タワーズワトソン、カミンズ、アムコア、ガートナー、ボール、アポロ・グローバル・マネジメント、マラソン・ペトロリアム、トランスダイム・グループ、KKR、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、ペンテア |
---|---|
2月5日(水) | アーム・ホールディングス、ホロジック、グローブライフ、コルテバ、メットライフ、アフラック、UDR、PTC、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、マイクロストラテジー、クアルコム、スカイワークス・ソリューションズ、マケッソン、モリーナ・ヘルスケア、ステリス、コアペイ、ニューズ・コーポレーション、オライリー・オートモーティブ、オールステート、フォード・モーター、アライン・テクノロジー、イリノイ・ツール・ワークス、ティー・ロウ・プライス・グループ、ファイサーブ、スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、ブンゲ・グローバル、ウーバー・テクノロジーズ、デイフォース、エマソン・エレクトリック、ジョンソンコントロールズインターナショナル、センコラ、オールド・ドミニオン・フレイト・ライン、バイオテクネ、CDW、ボストン・サイエンティフィック、ウォルト・ディズニー・カンパニー |
2月6日(木) | リージェンシー・センターズ、モノリシック・パワー・システムズ、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、エクスペディア・グループ、プリンシパル・ファイナンシャル・グループ、メトラー・トレド・インターナショナル、モホーク・インダストリーズ、フォーティネット、アマゾン・ドット・コム、マイクロチップ・テクノロジー、ベリサイン、ラルフローレン、ケラノバ、ヤム・ブランズ、フィリップ・モリス・インターナショナル、ジンマー・バイオメット・ホールディングス、エキファックス、タペストリー、インターコンチネンタル・エクスチェンジ、コノコフィリップス、エクセル・エナジー、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、CMSエナジー、ベクトン・ディッキンソン、リンデ、ハーシー、ハネウェル・インターナショナル、ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、ラブコープ・ホールディングス、ボルグワーナー、マーケットアクセス・ホールディングス、アプティブ、ケンビュー、スナップオン、イーライリリー、IQVIAホールディングス、ブリストル マイヤーズ スクイブ、アストラゼネカ |
2月7日(金) | シーボー・グローバル・マーケッツ、フォーティブ |
2月10日(月) | シンシナティ・ファイナンシャル、バーテックス・ファーマシューティカルズ、アーチ・キャピタル・グループ、インサイト、マクドナルド、オン・セミコンダクター、ロックウェル・オートメーション、ロウズ |
2月11日(火) | アシュラント、ドアダッシュ、エドワーズライフサイエンス、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、エバーソース・エナジー、ギリアド・サイエンシズ、S&Pグローバル、マスコ、マリオット・インターナショナル(メリーランド)、ヒューマナ、エコラボ、レイドス・ホールディングス、コカ・コーラ、デュポン・ド・ヌムール、グローバルファウンドリーズ、キャリア・グローバル、フィデリティナショナルインフォメーションサービシズ |
主要イベントの予定
2月3日(月) |
|
---|---|
2月4日(火) |
|
2月5日(水) |
|
2月6日(木) |
|
2月7日(金) |
|
2月10日(月) |
|
2月11日(火) |
|
- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
クレイン(CR)市場:NYSE・・・2025/4/22に2025/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
![]() |
|
キンドリル(KD)市場:NYSE・・・2025/2/3に2025/3期3Q(10-12月)の決算発表を予定
![]() |
|
ケンビュー(KVUE)市場:NYSE・・・2025/2/6に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
![]() |
|
ソルベンタム(SOLV)市場:NYSE・・・2025/2/27に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
![]() |
|
スターバックス(SBUX)市場:NASDAQ・・・2025/4/30に2025/9期2Q(1-3月)の決算発表を予定
![]() |
|
ヴィクトリアズ・シークレット(VSCO)市場:NYSE・・・2025/3/6に2025/1期4Q(11-1月)の決算発表を予定
![]() (注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
|
- (※)決算発表の予定は現地1/31現在であり、変更される可能性があります。
過去の「銘柄ピックアップ」パフォーマンス検証

