24年7月「銘柄ピックアップ」を振り返る
今年7月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から10/25終値までの騰落率上位6銘柄を見ると、データセンターへの安定電力供給の観点から原子力部品メーカーのBWXテクノロジーズ(BWXT)、エネルギー効率化支援のアスペン・テクノロジー(AZPN)が上位。共和党トランプ候補が掲げる金融規制緩和を背景にジェフェリーズ・フィナンシャル(JEF)も買われた。半導体製造工場に必要な産業ガスのエアープロダクツ・アンド・ケミカルズ(APD)も堅調。防衛関連でエアロバイロメント(AVAV)とテレダイン・テクノロジーズ(TDY)が買われた。

07年9月~08年3月の米国経済
米FRB(連邦準備制度理事会)は9/18、雇用悪化に対し景気後退を防ぐ先制的措置を目的として政策金利を昨年7月からのピーク据え置き局面から0.5ポイントの大幅利下げへ転換。2007年も同じ9/18、FRBは1年以上の据え置き期間を経て0.5ポイント利下げを実施していた。
CPI(消費者物価指数)上昇率の前年同月比は、07年9月以降伸びを加速。7-8月の2.0%から11月に4.3%に達した。失業率は07年9月が4.7%と前月比0.1ポイント上昇。11月まで同水準も、12月に5.0%に跳ね上がった。小売売上高の前月比は、07年9月の0.4%上昇から11月の1.0%上昇まで伸び加速も、12月に1.2%低下と落ち込んだ。当時は年内(10/31と12/11)の0.25ポイント利下げ後、年明け1月に2回合計で1.25ポイント大幅利下げとなった。

07-08年の金・原油価格に注目
米FRB(連邦準備制度理事会)は9/18、政策金利を昨年7月以降のピーク据え置き局面から0.5ポイントの大幅利下げへ転換。2007年も同じ9/18、FRBは1年以上のピーク据え置き期間を経て0.5ポイントの利下げを実施していた。
その時期以降、2008年に向けての金価格や原油価格の動向を見ていくと以下の通り。原油価格は、イランの核開発を巡って米国・国際社会との対立激化を背景とした供給サイド、および中国やインドなど新興国の経済成長を背景とした需要サイドの要因から08年7月頃まで高騰。他方、金価格は、原油価格の高騰、およびサブプライム危機を契機とする米国利下げ政策がインフレ懸念を増幅させたことに加え、利下げに伴うドル安によって08年2月頃にかけて価格が高騰した。

テスラの事業モデル変化が加速
テスラ(TSLA)が10/23に発表した7-9月期決算は、世界販売の5割を占める中国で政府補助金による販売促進策が奏功。前年同期比8%増収、54%営業増益だった。低価格EVの25年前半における生産開始への言及も好感された。
決算内容で注目すべきは、エネルギー生成・貯蔵のエネルギー事業(前年同期比52%増収)、および急速充電網や運転支援システムを通じた課金収入関連のサービスその他事業(同29%増収)の売上構成比が拡大している点だ。特にサービスその他の構成比拡大は利益率向上への貢献が大きい。エネルギー事業も日本でヤマダホールディングスの店舗(全国約1000店舗)で家庭用蓄電池「パワーウォール」を販売すると報道されるなど、勢いが加速している。

S&P500指数とドル指数、週次RSI
ドル指数と米国株相場の関係は一様ではない。S&P500株価指数との関係では、米長期金利低下に伴うドル指数下落時に大型ハイテク株グロース銘柄がS&P500指数の上昇を牽引。その次はドル指数上昇時も同様にS&P500指数が上昇する場合がある。それが低金利通貨で資金調達の米ドル転換で米国株を買う「キャリー取引」を伴う場合、その巻き戻しにより、ドル指数下落とS&P500指数下落の同時進行となる場合もみられる。
S&P500指数は、過去一定期間の上げ幅合計を、同期間の上げ幅合計と下げ幅合計を足した数字で割った「RSI(相対力指数)」の週次が株価上昇に反して右下がりの上値抵抗線で推移。このような「ネガティブ・ダイバージェンス(逆行)」は長続きしないとされており、注視されよう。

米インフレ率2%向け最後の難所
イエレン米財務長官は9/26、インフレ率が金融当局目標の2%に向かう道筋にあると指摘し、「かなりの期間にわたってコスト上昇の最大要素となっている住宅コストが下がると想定しており、2%のインフレが可能になる」との見方を示した。
米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)による30年固定住宅ローン金利が平均6%近くまで低下する中で足元の住宅市場は、9月の新築一戸建て住宅販売戸数(季調済年率換算)が前月比4.1%増加、価格中央値が前年A同月比横ばい。9月の米中古住宅販売は、件数が前月比1.0%減も、価格中央値が前年同月比3.0%上昇。新築一戸建て、中古ともにローン金利低下で件数増が見込まれるも、販売価格中央値低下に繋がる兆しは現時点で十分に見えていないだろう。

