“ダウ工業株30種平均とEV市場関連”
- 米国株市場は長期金利上昇と米ドル高を背景に、景気敏感株の影響を受けやすいダウ工業株30種平均が10/18をピークとして下落に転じた一方、テスラ(TSLA)やエヌビディア(NVDA)など大型ハイテク株のウェートが高いナスダック総合指数は引き続き堅調に推移している。長期金利上昇は、トランプ候補再選可能性が高まったとして関税引き上げ、不法移民規制、一部減税の恒久化など財政支出拡大と賃金インフレに結び付きやすい政策を意識した動きとみられる。
- 米国ウィークリーの先週号(2024年10月22日号)で、ダウ工業株30種平均の日足チャートの日数面で2022年の安値を付けた10/13から翌年安値を付けた10/27までの営業日数262日に対し、同年10/27から今年10/18まで246日を数え、仮に同じ日数近辺で相場が転換しやすいとすれば大統領選挙後をその目途とする余地もありそうだと述べた。このように、チャート上の重要な相場の転換日を繋いだ日柄期間のことをテクニカル分析上で「対等日数」と呼ぶことがある。
- この対等日数は、異なる様々な時系列で分析できる。たとえば、中国経済の急減速が世界経済に悪影響を与え、「チャイナ・ショック」と呼ばれた2015年には、ダウ工業株30種平均は8/24に同年の安値を付けた。その日から、2020年の新型コロナ・パンデミックによって同年の安値を付けた3/23までの営業日数は1153日である。同年3/23から数えて1153営業日目が今年の10/21(月曜日)に相当する。10/25現在、史上最高値から1週間程度の下落基調で推移していることから用心するに越したことはないかもしれない。このような考え方のベースには、景気サイクルにおける周期性が何らかの形で株式市場にもある程度反映しやすいといった考え方が成り立つという見方があるように思われる。
- 米国株市場は、S&P500株価指数を対象とするオプション取引の変動性を元に算出され、投資家心理を反映する「VIX指数」が、10/25終値で節目の20ポイントに達した。リスクの高まりに警戒が必要な局面だろう。それでも、個別銘柄では決算発表を通じて注目すべき動きがみられる。10/23に7-9月期決算を発表した電気自動車(EV)のテスラは、主力のEVが好調だったことに加え、来年前半に低価格EVの生産開始で販売増が見込まれること、および高利益率のエネルギー関連およびその他サービス事業の売上構成比拡大が示された。特に、コストの高さが市場拡大への制約条件となっていたEV市場にとって技術革新を伴うコストダウンの実現は朗報だろう。更に、10/22に7-9月決算を発表したアナログ半導体大手のテキサス・インスツルメンツ(TXN)は中国の自動車向け需要が改善していると述べた。自動運転ロボタクシーに関する電装化の動きも含め、関連する製品・サービスを提供する企業への投資機会が来つつあるかもしれない。(笹木)
- 10/29号は、アルコア(AA)、アルベマール(ALB)、フリーポート・マクモラン(FCX)、ゼネラル・モーターズ(GM)、ノースロップ・グラマン(NOC)、RTX(RTX)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
■S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(10/25現在)
主要企業の決算発表予定
10月29日(火) | チャブ、ONEOK、BXP、EQT、ファーストソーラー、エジソンインターナショナル、ビザ、アイデックス、シーザーズ・エンターテインメント、ファーストエナジー、エレクトロニック・アーツ、エクストラ・スペース・ストレージ、ダビータ、FMC、リパブリック・サービシズ、アルファベット、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、チポトレ・メキシカン・グリル、ストライカー、モンデリーズ・インターナショナル、コルボ、MSCI、レイドス・HDS、ゼブラ・テクノロジーズ、マクドナルド、DRホートン、インサイト、シスコ、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、ペイパル・HDS、ファイザー、エコラボ、フィリップス66、マスコ、ハベル、コーニング |
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10月30日(水) | CFインダストリーズ・HDS、MGMリゾーツ・インターナショナル、メタ・プラットフォームズ、アメリカン・ウォーター・ワークス、アーチ・キャピタル・グループ、ドアダッシュ、メットライフ、プルデンシャル・ファイナンシャル、ベンタス、エクイニクス、アフラック、ジェン・デジタル、CHロビンソン・ワールドワイド、KLA、ゴーダディ、ペイコム・ソフトウエア、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、UDR、パブリック・ストレージ、マイクロソフト、エベレスト・グループ、アムジェン、スターバックス、イーベイ、モノリシック・パワー・システムズ、オールステート、クロロックス、ブッキング・HDS、イリノイ・ツール・ワークス、ヘス、アッヴィ、フォーティブ、オートマチック・データ・プロセシング(ADP)、バイオジェン、ガーミン、エクセロン、ブンゲ・グローバル、GEヘルスケア・テクノロジーズ、クラフト・ハインツ、トレイン・テクノロジーズ、デイフォース、TEコネクティビティ、ベリスク・アナリティクス、バルカン・マテリアルズ、バイオテクネ、オーチス・ワールドワイド、マーティン・マリエッタ・マテリアルズ、ナイソース、イーライリリー、CDW、グローバル・ペイメンツ、スマーフィット・ウエストロック、ヒューマナ、ジンマー・バイオメット・HDS、キャタピラー |
10月31日(木) | インガソール・ランド、コテラ・エナジー、エリー・インデムニティー、アップル、アトラシアン、ジュニパーネットワークス、インテル、アライアント・エナジー、アムコア、アマゾン・ドット・コム、AES、イーストマン・ケミカル、WWグレンジャー、サザン、メルク、エスティローダー、ケラノバ、インターコンチネンタル・エクスチェンジ、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、エクセル・エナジー、アプティブ、エンタジー、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、ボール、アイデックスラボラトリーズ、WECエナジー・グループ、ウーバー・テクノロジーズ、CMSエナジー、コムキャスト、コノコフィリップス、ボルグワーナー、テレフレックス、ノルウェージャンクルーズライン・HDS、ブリストル マイヤーズ スクイブ、マスターカード、アメテック、インターナショナル・ペーパー、IQVIAHDS、クアンタ・サービシーズ、イートン、ジェネラック・HDS、アルトリア・グループ、パーカー・ハネフィン、ザイレム、シグナ・グループ、リンデ |
11月1日(金) | チャーチ・アンド・ドワイト、シェブロン、シーボー・グローバル・マーケッツ、チャーター・コミュニケーションズ、ドミニオン・エナジー、ライオンデルバセル・インダストリーズ、カーディナルヘルス、ウォーターズ、ティー・ロウ・プライス・グループ、PPL、エクソンモービル |
11月4日(月) | ダイヤモンドバック・エナジー、ホロジック、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、イルミナ、セラニーズ、NXPセミコンダクターズ、バーテックス・ファーマシューティカルズ、パランティア・テクノロジーズ、エバーソース・エナジー、フランクリン・リソーシズ、フォックス、マリオット・インターナショナル(メリーランド)、リビティ、ゾエティス、フィデリティナショナルインフォメーションサービシズ、パブリック・サービス・エンタープライズ・グルーフ、ロウズ、Constellation Energy Corp |
11月5日(火) | デボン・エナジー、アシュラント、インターナショナル・フレーバー&フレグランス、マイクロチップ・テクノロジー、ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツ、ヤム・ブランズ、エクスペディターズInt'lオブワシントン、ヘンリー・シャイン、ビルダーズ・ファースト・ソース、グローバルファウンドリーズ、カミンズ、タルガ・リソーシズ、マラソン・ペトロリアム、ガートナー、ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズ、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、エマソン・エレクトリック、デュポン・ド・ヌムール |
主要イベントの予定
10月29日(火) |
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10月30日(水) |
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10月31日(木) |
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11月1日(金) |
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11月3日(日) |
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11月4日(月) |
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11月5日(火) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アルコア(AA)市場:NYSE・・・2025/1/17に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定
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アルベマール(ALB)市場:NYSE・・・2024/11/6に2024/12期3Q(7-9月)の決算発表予定
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フリーポート・マクモラン(FCX)市場:NYSE・・・2025/1/24に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定
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ゼネラル・モーターズ(GM)市場:NYSE・・・2025/1/28に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定
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ノースロップ・グラマン(NOC)市場:NYSE・・・2025/1/24に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定
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RTX(RTX)市場:NYSE・・・2024/1/23に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は10/25現在であり、変更される可能性があります。