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2024-11-12 01:30:12

マーケット > レポート > 米国ウィークリー・マンスリー >  “ダウ工業株30種平均とEV市場関連”

“ダウ工業株30種平均とEV市場関連”

2024/10/29
提供:フィリップ証券株式会社
リサーチ部:笹木 和弘

“ダウ工業株30種平均とEV市場関連”

  • 米国株市場は長期金利上昇と米ドル高を背景に、景気敏感株の影響を受けやすいダウ工業株30種平均が10/18をピークとして下落に転じた一方、テスラ(TSLA)エヌビディア(NVDA)など大型ハイテク株のウェートが高いナスダック総合指数は引き続き堅調に推移している。長期金利上昇は、トランプ候補再選可能性が高まったとして関税引き上げ、不法移民規制、一部減税の恒久化など財政支出拡大と賃金インフレに結び付きやすい政策を意識した動きとみられる。
  • 米国ウィークリーの先週号(2024年10月22日号)で、ダウ工業株30種平均の日足チャートの日数面で2022年の安値を付けた10/13から翌年安値を付けた10/27までの営業日数262日に対し、同年10/27から今年10/18まで246日を数え、仮に同じ日数近辺で相場が転換しやすいとすれば大統領選挙後をその目途とする余地もありそうだと述べた。このように、チャート上の重要な相場の転換日を繋いだ日柄期間のことをテクニカル分析上で「対等日数」と呼ぶことがある。
  • この対等日数は、異なる様々な時系列で分析できる。たとえば、中国経済の急減速が世界経済に悪影響を与え、「チャイナ・ショック」と呼ばれた2015年には、ダウ工業株30種平均は8/24に同年の安値を付けた。その日から、2020年の新型コロナ・パンデミックによって同年の安値を付けた3/23までの営業日数は1153日である。同年3/23から数えて1153営業日目が今年の10/21(月曜日)に相当する。10/25現在、史上最高値から1週間程度の下落基調で推移していることから用心するに越したことはないかもしれない。このような考え方のベースには、景気サイクルにおける周期性が何らかの形で株式市場にもある程度反映しやすいといった考え方が成り立つという見方があるように思われる。
  • 米国株市場は、S&P500株価指数を対象とするオプション取引の変動性を元に算出され、投資家心理を反映する「VIX指数」が、10/25終値で節目の20ポイントに達した。リスクの高まりに警戒が必要な局面だろう。それでも、個別銘柄では決算発表を通じて注目すべき動きがみられる。10/23に7-9月期決算を発表した電気自動車(EV)のテスラは、主力のEVが好調だったことに加え、来年前半に低価格EVの生産開始で販売増が見込まれること、および高利益率のエネルギー関連およびその他サービス事業の売上構成比拡大が示された。特に、コストの高さが市場拡大への制約条件となっていたEV市場にとって技術革新を伴うコストダウンの実現は朗報だろう。更に、10/22に7-9月決算を発表したアナログ半導体大手のテキサス・インスツルメンツ(TXN)は中国の自動車向け需要が改善していると述べた。自動運転ロボタクシーに関する電装化の動きも含め、関連する製品・サービスを提供する企業への投資機会が来つつあるかもしれない。(笹木)
  • 10/29号は、アルコア(AA)アルベマール(ALB)フリーポート・マクモラン(FCX)ゼネラル・モーターズ(GM)ノースロップ・グラマン(NOC)RTX(RTX)を取り上げた。

ウィークリーストラテジー

■S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(10/25現在)

主要企業の決算発表予定

10月29日(火) チャブ、ONEOK、BXP、EQT、ファーストソーラー、エジソンインターナショナル、ビザ、アイデックス、シーザーズ・エンターテインメント、ファーストエナジー、エレクトロニック・アーツ、エクストラ・スペース・ストレージ、ダビータ、FMC、リパブリック・サービシズ、アルファベット、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、チポトレ・メキシカン・グリル、ストライカー、モンデリーズ・インターナショナル、コルボ、MSCI、レイドス・HDS、ゼブラ・テクノロジーズ、マクドナルド、DRホートン、インサイト、シスコ、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、ペイパル・HDS、ファイザー、エコラボ、フィリップス66、マスコ、ハベル、コーニング
10月30日(水)CFインダストリーズ・HDS、MGMリゾーツ・インターナショナル、メタ・プラットフォームズ、アメリカン・ウォーター・ワークス、アーチ・キャピタル・グループ、ドアダッシュ、メットライフ、プルデンシャル・ファイナンシャル、ベンタス、エクイニクス、アフラック、ジェン・デジタル、CHロビンソン・ワールドワイド、KLA、ゴーダディ、ペイコム・ソフトウエア、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、UDR、パブリック・ストレージ、マイクロソフト、エベレスト・グループ、アムジェン、スターバックス、イーベイ、モノリシック・パワー・システムズ、オールステート、クロロックス、ブッキング・HDS、イリノイ・ツール・ワークス、ヘス、アッヴィ、フォーティブ、オートマチック・データ・プロセシング(ADP)、バイオジェン、ガーミン、エクセロン、ブンゲ・グローバル、GEヘルスケア・テクノロジーズ、クラフト・ハインツ、トレイン・テクノロジーズ、デイフォース、TEコネクティビティ、ベリスク・アナリティクス、バルカン・マテリアルズ、バイオテクネ、オーチス・ワールドワイド、マーティン・マリエッタ・マテリアルズ、ナイソース、イーライリリー、CDW、グローバル・ペイメンツ、スマーフィット・ウエストロック、ヒューマナ、ジンマー・バイオメット・HDS、キャタピラー
10月31日(木) インガソール・ランド、コテラ・エナジー、エリー・インデムニティー、アップル、アトラシアン、ジュニパーネットワークス、インテル、アライアント・エナジー、アムコア、アマゾン・ドット・コム、AES、イーストマン・ケミカル、WWグレンジャー、サザン、メルク、エスティローダー、ケラノバ、インターコンチネンタル・エクスチェンジ、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、エクセル・エナジー、アプティブ、エンタジー、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、ボール、アイデックスラボラトリーズ、WECエナジー・グループ、ウーバー・テクノロジーズ、CMSエナジー、コムキャスト、コノコフィリップス、ボルグワーナー、テレフレックス、ノルウェージャンクルーズライン・HDS、ブリストル マイヤーズ スクイブ、マスターカード、アメテック、インターナショナル・ペーパー、IQVIAHDS、クアンタ・サービシーズ、イートン、ジェネラック・HDS、アルトリア・グループ、パーカー・ハネフィン、ザイレム、シグナ・グループ、リンデ
11月1日(金)チャーチ・アンド・ドワイト、シェブロン、シーボー・グローバル・マーケッツ、チャーター・コミュニケーションズ、ドミニオン・エナジー、ライオンデルバセル・インダストリーズ、カーディナルヘルス、ウォーターズ、ティー・ロウ・プライス・グループ、PPL、エクソンモービル
11月4日(月)ダイヤモンドバック・エナジー、ホロジック、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、イルミナ、セラニーズ、NXPセミコンダクターズ、バーテックス・ファーマシューティカルズ、パランティア・テクノロジーズ、エバーソース・エナジー、フランクリン・リソーシズ、フォックス、マリオット・インターナショナル(メリーランド)、リビティ、ゾエティス、フィデリティナショナルインフォメーションサービシズ、パブリック・サービス・エンタープライズ・グルーフ、ロウズ、Constellation Energy Corp
11月5日(火)デボン・エナジー、アシュラント、インターナショナル・フレーバー&フレグランス、マイクロチップ・テクノロジー、ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツ、ヤム・ブランズ、エクスペディターズInt'lオブワシントン、ヘンリー・シャイン、ビルダーズ・ファースト・ソース、グローバルファウンドリーズ、カミンズ、タルガ・リソーシズ、マラソン・ペトロリアム、ガートナー、ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズ、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド、エマソン・エレクトリック、デュポン・ド・ヌムール

主要イベントの予定

10月29日(火)
    米卸売在庫(9月)、 米FHFA住宅価格指数(8月)、米主要20都市住宅価格指数(8月)、米求人件数(9月)、米消費者信頼感指数(10月)
10月30日(水)
    米ADP雇用統計(10月)、米GDP(3Q速報値)、米中古住宅販売成約指数(9月)
10月31日(木)
    G20財務・保健相合同会議(ブラジル・リオデジャネイロ)、米新規失業保険申請件数(26日終了週)、米雇用コスト指(3Q)、米個人所得・支出(9月)、米個人消費支出(PCE)価格指数(9月)
11月1日(金)
    米雇用統計(10月)、米S&Pグローバル製造業PMI(10月)、米建設支出(9月)、米ISM製造業景況指数(10月)、米自動車販売(10月)
11月3日(日)
    米夏時間終了
11月4日(月)
    米製造業受注(9月)
11月5日(火)
    米貿易収支(10月)、米ISM非製造業景況指数(10月)
  • ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成

銘柄ピックアップ

アルコア(AA)市場:NYSE・・・2025/1/17に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定 

  • 1886年設立の旧アルコアから2016年に航空機産業・自動車産業向けアルミニウム製造を行うアーコニック(ARNC)が分社化。現アルコアはボーキサイト採掘・アルミナ精錬・アルミニウム精錬を行う。
  • 10/16発表の2024/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比11.6%増の29.04億USD、非GAAPの調整後EPSが前年同期の▲1.14USDから0.57USDへ黒字転換。アルミナは生産量が同10%減も単位当り平均実現価格が同41%上昇。アルミニウムは生産量が同3%増、平均実現価格が同7%上昇。
  • 通期会社計画は、生産量はアルミナ・アルミニウムともに従来計画を据え置く一方で、出荷量はアルミナのみ上昇修正(アルミニウムは据え置き)。電気自動車(EV)のテスラ(TSLA)が7-9月期決算発表で来年に低価格EVを市場投入し、生産台数を前年比2-3割増加とする計画を発表。EVのコストダウンには、アルミニウム活用により大型部品を一括成形する鋳造技術である「ギガキャスト」が必要。

アルベマール(ALB)市場:NYSE・・・2024/11/6に2024/12期3Q(7-9月)の決算発表予定 

  • 1887年設立の特殊化学品メーカー。エネルギー貯蔵、臭素関連製品、触媒関連(ケッチェン社担当)の3事業セグメントを展開。生産量で世界首位のリチウムはリチウムイオン電池に使われる。
  • 7/31発表の2024/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比39.7%減の14.30億USD、非GAAPの調整後EPSが同99.5%減の0.04USD。リチウム関連のエネルギー貯蔵事業は販売数量が同37%増も、売価が同89%下落。売上高が同53%減の8.30億USD、調整後EBITDAが同76%減の2.83億USD。
  • 7-12月のエネルギー貯蔵事業に関する会社計画は、平均リチウム市場価格が7月末時点の12-15USD(1kg炭酸リチウム換算量当たり)に対して20USDと、従来計画を据え置いた。中国で古い車を燃費の良い車に乗り換えるための補助金を拡大する措置が今年の7月に導入されたことを受けて電気自動車(EV)販売が増加中。リチウムイオン需要拡大とそれに伴う市場価格の上昇が期待される。

フリーポート・マクモラン(FCX)市場:NYSE・・・2025/1/24に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定 

  • 1987年設立。世界的鉱業会社で米アリゾナ州を本拠地とする。米モレンチ鉱物地区、ペルーのセロベルデ鉱山のほか、世界最大の銅・金鉱床の1つであるインドネシアのグラスベルグ鉱山を運営。
  • 10/22発表の2024/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比16.5%増の67.90億USD、非GAAPの調整後EPSが同2.6%減の0.38USD。主力の銅販売は生産量が同3%減も、平均販売単価が同13%上昇したことが増収に貢献。他方、単位生産・引渡費用が同15%増となり、利益面で響いた。
  • 通期会社計画は、銅販売量が前期比横ばい、資本的支出が同25%減で従来計画を据え置きに対し、銅の単位生産・引渡費用を同5%増の1ポンド当たり2.48USD(従来計画:2.46USD)へ引き上げ、全体の営業キャッシュフローを同29%増の68億USD(同:72億USD)へ下方修正。電気自動車(EV)に使われる銅はエンジン車に比べ約4倍とされる。EV需要増に伴って銅の需要増も見込まれるだろう。

ゼネラル・モーターズ(GM)市場:NYSE・・・2025/1/28に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定 

  • 1908年設立。主にビュイック、キャデラック、シボレー、GMC等のブランドで自動車、トラックなど各種車両、自動車部品の設計・製造・販売を展開。近年は電気自動車(EV)に経営資源をシフト中。
  • 10/22発表の2024/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比10.5%増の487.57億USD、非GAAPの調整後EPSが同29.8%増の2.96USD。中国事業が不振だった一方、北米でピックアップトラックや多目的スポーツ車(SUV)など高単価の大型車が牽引。電気自動車(EV)販売台数も同6割増加した。
  • 2024/12通期会社計画を上方修正。調整後EPSを前期比30-37%増の10.0-10.5USD、調整後自動車事業フリーキャッシュフローを同7-16%増の125-135億USDとした。同社CEOは決算説明会で、EVにおけるより低コストの電池調達拡大の方針に加え、中国について「できるだけ早い段階で立て直しを実現する」と言明。中国では24年に入り販売店在庫と人員削減に注力の中で早期改善が期待される。

ノースロップ・グラマン(NOC)市場:NYSE・・・2025/1/24に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定 

  • 1927年創業(1939年設立)のノースロップが1994年にグラマンを買収。4つの事業セグメント(航空システム、防衛システム、ミッションシステム、宇宙システム)を運営。世界最大規模の軍艦メーカー。
  • 10/24発表の2024/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比2.3%増の99.96億USD、年金債務や固定資産償却の影響を除いた非GAAPの調整後EPSは、同74.5%増の0.96USD。9月末受注残は同1.0%増の848億USD、前四半期比2%増と過去最高。航空および宇宙事業の営業利益率が改善。
  • 2024/12通期会社計画は、調整後EPSを25.65-26.05USDに上方修正(従来計画24.90-25.30USD、前期実績0.13USD)。売上高は前期比4-5%増の410-414億USDで据え置いた。同社は今年9月、米国ミサイル防衛庁(MDA)と協力してGPI(滑空段階迎撃用誘導弾)の生産を始めると発表。超音速ミサイルの脅威に対抗するもので、同社は日米両国政府による開発プログラムに参画の見通し。

RTX(RTX)市場:NYSE・・・2024/1/23に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表予定 

(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら、「始値<終値(陽線)」なら

  • ユナイテッド・テクノロジーズの航空宇宙部門とレイセオンの経営統合で2020年に設立。コリンズ航空宇宙システム、プラット&ホイットニー、インテリジェンス&宇宙、ミサイル&防衛の4部門から構成。
  • 10/22発表の2024/12期3Q(7-9月)は、プラット&ホイットニー製造のエアバス旅客機向けエンジン「PW1100G-JM」の不具合関連など一時的要因を除く非GAAPの調整後売上高が前年同期比6.0%増の200.89億USD、調整後EPSが同16.0%増の1.45USD。9月末受注残が同16%増の2210億USD。
  • 通期会社計画を上方修正。売上高を前期比6.7-7.3%増の792.5-797.5億USD(従来計画:787.5-795.0億USD)、調整後EPSを同8.7-10.3%増の5.50-5.58USD(同:5.35-5.45USD)とした。9月末受注残は、防衛関連が20%増の900億USDに対し、国際政治情勢に左右されにくい民間商業航空関連(予備部品、エンジン、メンテナンス等)も前年同期比14%増の1310億USDと伸び、注目される。
  • (※)決算発表の予定は10/25現在であり、変更される可能性があります。

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