24年2月「銘柄ピックアップ」振り返る
今年2月分の米国ウィークリー「銘柄ピックアップ」について掲載直前週末終値から5/24終値までの騰落率上位6銘柄を見ると、生成AI(人工知能)活用によるデータセンター・ソリューション関連でバーティブ・ホールディングス(VRT)とマーベル・テクノロジー(MRVL)が強さを発揮。地政学リスクが不安定さを増すごとにロッキード・マーチン(LMT)は安定さを増している。シティグループ(C)はコスト削減・事業再編に積極的な低PER銘柄、ファイザー(PFE)は成長も期待できる高配当利回り銘柄、メタネックス(MEOH)はメタノールが脱炭素関連で注目されている。
24年2月「銘柄ピックアップ」振り返る~生成AI活用データセンター主戦場
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米国株転機示唆の2つの逆行
米国株は主要株価指数が足元で史上最高値を更新。米国株に短期的な天井(相場転機)リスクは無いのだろうか?「天井リスク」の当たりをつけるテクニカル分析手法として買われ過ぎか売られ過ぎか判断する「相対力指数(RSI)」を使う場合がある。RSIは直近一定期間における終値ベース上昇幅の合計を、その一定期間の上昇幅と下落幅との合計で割った割合のこと。
S&P500指数の週足終値における14週RSIを見ると2021年後半から22年初にかけて上昇もRSI(14週)が切り下がった。このような株価とRSIの逆行現象は「逆行現象」と呼ばれ相場の転機となりやすい。足元もその兆しが見える。また、S&P500とダウ輸送株20種の週次終値の関係も足元で同様にこの逆行現象が明確化している。脆弱感が強まる中での高値更新といえよう。
米国株転機示唆の2つの逆行~高値更新も強気サインにあらず要警戒
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世界経済全般商品価格とインフレ
主に商品先物の銘柄から構成され世界生産量による各銘柄のウェートを基に算出される「S&P GSCIトータルリターン指数」は世界経済の全般的な商品価格動向とインフレを示す先行指標とみなされる。同指数は「ITバブル」に沸いた1999年頃からリーマンショック前の08年前半にかけて上昇。その後は長期低落傾向を辿った後に20年4月から反転上昇。他方、同指数を米国株のS&P500指数で割った倍率は1.0倍未満の低位で、コモディティ価格の対株式での歴史的割安水準は放置されたままである。
生成AI(人工知能)関連で賑わった今年3月迄の株式市場は2000年春に類似の面もみられる。地政学的緊張に伴うインフレ率上振れリスクが2000年代前半の再現をもたらす可能性も否定できない。
世界経済全般商品価格とインフレ~現物商品先物高騰もインフレ初動か
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アップル事業別推移と自社株買い
アップル(AAPL)が2日発表した2024年1-3月決算は前年同期比で4四半期ぶり減収減益。売上比率約半分のiPhoneが10%減収、iPadが17%減収、ウエアラブル周辺機器も10%減収の一方、パソコンのMacが同4%増、売上比率27%を占めるサービス部門(アプリ販売や音楽配信等)が14%増収と堅調に推移。高粗利益率のサービス部門拡大は全体の利益率を高めやすいもののEU(欧州連合)のデジタル市場法(DMA)本格運用など規制強化の難敵が立ちはだかる構図だ。
同社は毎年1-3月決算発表と同時に自社株買い枠設定額を発表。今回は過去最大1100億ドルとなり株価大幅上昇に寄与。額はともかく1-3月決算発表時自社株買い枠発表は予想可能と言えそうだ。発表前は投資好機だっただろう。
アップル事業別推移と自社株買い~サービス部門堅調、年1回発表時期
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オラクルと生成AI向けデータ処理
データベース(DB)大手オラクル(ORCL)が企業のAI(人工知能)活用に伴うクラウドコンピューティングサービス需要増を受けて好調だ。ITシステムにおけるDBの重要性およびDB分野でのオラクルへの信頼感から統合基幹業務システム(ERP)などソフトウエアをDBサーバーを備えた同社クラウド基盤を使って提供する動きが拡大中。アプリケーション(ソフトウエア)と基盤(インフラ)に係るクラウドサービスの売上比率は四半期ごとに上昇しており、利益率を高める原動力となっている。
同社は4/18、今後10年間で日本国内のデータセンターに80億ドルを投資すると発表。自国データを国内管理する「データ主義」に配慮しつつ政府や企業の需要を取り込む狙いのなかクラウドサービス拡大で更なる成長が見込まれよう。
オラクルと生成AI向けデータ処理~DBの重要性で同社クラウド基盤普及
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テスラのビジネスモデルに変化も
電気自動車(EV)のテスラ(TSLA)が4/23発表の1-3月決算は、前年同期比で約4年ぶり減収減益かつ世界販売台数減少。収益確保に苦しむ中で全世界従業員10%削減、現行モデルと同じ製造ラインでの低価格新モデル開発に加え、イーロン・マスクCEOは8/8に「ロボタクシー」を発表すると述べるなど、構造改革およびビジネスモデル革新を模索中だ。
決算内容で注目すべき点として、エネルギー生成・貯蔵のエネルギー関連事業、およびサービス関連事業の構成比が上昇していることが挙げられる。2024年1-3月期では、エネルギー関連は売上高が前年同期比7%増で売上比率が7.7%(同1.1ポイント拡大)、サービスその他は売上高が同25%増で売上比率が10.7%(同2.8ポイント拡大)を占めている。
米国優良ディフェンシブ2銘柄~プロクター&ギャンブルとジョンソン・エンド・ジョンソン
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