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“SOXとNDX主導の次〜ダウ平均「ゴールドクオリティ」銘柄”
“SOXとNDX主導の次〜ダウ平均「ゴールドクオリティ」銘柄”
2024/3/26
提供:フィリップ証券株式会社
リサーチ部:笹木 和弘
“SOXとNDX主導の次〜ダウ平均「ゴールドクオリティ」銘柄”
- 金(ゴールド)価格が高騰している。CMXの金先物(期近)価格は最近まで3年以上レンジ上限を形成していた1オンス2080ドル近辺を大きく抜けてきたほか、日本の大阪取引所における金先物価格も終値で今月4日に1グラム1万円の歴史的節目を超えて更に上昇継続中だ。
- 他方、米国株市場は、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)を米国株を代表するS&P500指数で割った「SOX/S&P500倍率」は今月7日終値で一時1.0倍に達し、2000年3月中旬にナスダック総合指数が「IT(ドットコム)バブル」のピーク水準に達した時の当該倍率(0.95倍台)を超えた。
- 同時に、主要半導体銘柄を含み、大型ハイテク・グロース銘柄を中心とした「ナスダック100指数(NDX)」(金融を除くナスダック上場時価総額上位100銘柄の時価総額加重平均)についても、米国を代表する高クオリティ企業の30銘柄の平均株価である「ダウ(工業株30種)平均株価」に対する倍率が足元で0.46倍台と、2000年3月中旬のITバブルのピーク時と同水準まで高まっている。この動きは持続可能とは思われず、ダウ平均株価のパフォーマンスが相対的に優位となる面が出てくるのではないだろうか。
- 金価格高騰の要因は単に米FRB(連邦準備制度理事会)による利下げ期待と米長期金利低下だけではないだろう。酸化して腐食することが無く、特殊な溶液でなければ溶けず、人類の長い歴史の中で世界中で共通した価値基準が作られたクオリティの高さ自体が自らの価値を築き上げてきた面もある。米国株の中でこのようなクオリティに相当する銘柄といえば、ダウ平均構成銘柄になるのではないだろうか。その中にはナスダック100指数のウェート上位銘柄であるマイクロソフト(MSFT)やアップル(AAPL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、SOX指数構成銘柄であるインテル(INTC)も含まれるものの、長い歴史の中で世の大きな環境変化に対して適応して生き残ることで自らの価値を創造・構築していった「ゴールド・クオリティ」銘柄と言える面もあるだろう。連続増配年数が50年を超える「配当貴族(配当王)」銘柄となったもの、主要な信用格付け機関から米国債を上回る格付けを得ている銘柄もある。
- ダウ平均構成30銘柄の内、3/22終値の年初来上昇率首位はウォルト・ディズニー(DIS)の+28.3%だった。同社は動画「ディズニー+」不振に伴う株価大幅下落後、経営者交代と「物言う株主」からの経営圧力も含め、経営再建による株価「ターンアラウンド」の様相だ。最近は化学・素材大手の3M(MMM)なども同様のターンアラウンドの兆しが見え始めた。自らの変革により長い歴史を生き抜いてきた伝統企業の真価発揮が期待される。(笹木)
- 3/26号では、シェブロン(CVX)、フリーポート・マクモラン(FCX)、フレックス(FLEX)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、3M(MMM)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)を取り上げた。
S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(3/22現在)
3月26日(火) | マコーミック |
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3月27日(水) | カーニバル、シンタス、ペイチェックス |
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3月28日(木) | ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス |
3月25日(月) | - 米アトランタ連銀総裁の講演、米2年債入札
- 米新築住宅販売件数(2月)
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3月26日(火) | - 米5年債入札
- 米耐久財受注(2月)、米FHFA住宅価格指数(1月)、米主要20都市住宅価格指数(1月)、米消費者信頼感指数・カンファレンスボード(3月)
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3月27日(水) | - 米7年債入札、 ニューヨーク国際自動車ショー報道公開(28日まで、一般公開は29日−4月7日)
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3月28日(木) | - 米債券市場が短縮取引、米FTX共同創業者サム・バンクマンフリード被告に連邦地裁が量刑言い渡し
- 米GDP (4Q)、 米新規失業保険申請件数 (23日終了週)、米中古住宅販売成約指数(2月)、米ミシガン大学消費者マインド指数・改定値 (3月)
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3月29日(金) | - グッドフライデー(聖金曜日)の祝日で米・欧州・香港などの株式市場休場。米債券市場も休場
- 米卸売在庫(2月)、米個人支出・所得(2月)、米個人消費支出(PCE)価格指数(2月)
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4月1日(月) | - S&Pグローバル米国製造業PMI・確報値(3月)、米建設支出(2月)、ISM製造業景況指数・支払価格・新規受注・雇用(3月)
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シェブロン(CVX)市場:NYSE・・・2024/4/29に2024/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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- 1924年設立の総合エネルギー会社。石油・天然ガスの探鉱から生産、輸送、精製、販売と上流部門から下流部門まで一貫して手掛ける。北米、南米、欧州、アフリカ、アジア、豪州で事業を展開。
- 2/2発表の2023/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比16.5%減の471.80億USD、非GAAPの調整後EPSが同15.6%減の3.45USD。原油価格下落で減収減益もPDCエナジー買収やパーミアン盆地での増加の寄与で世界石油換算生産量(日量)が13%増。前四半期比は調整後EPSが13.1%増。
- 2024/12通期会社計画は、パーミアン盆地の石油換算生産量が前期比10%以上増の日量約86万バレル、世界生産量が同4-7%増。2023年度通期は資本的支出を前期比32%増しつつ自社株買い同32%増、同3%増配と株主還元強化。負債比率も同1.3ポイント低下の11.5%と改善。3月初イラン議会選で保守強硬派圧勝、OPECプラスで原油自主減産表明国増を受けて原油相場は堅調見通し。
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- 1987年設立。世界的鉱業会社で米アリゾナ州を本拠地とする。米モレンチ鉱物地区、ペルーのセロベルデ鉱山のほか、世界最大の銅・金鉱床の1つであるインドネシアのグラスベルグ鉱山を運営。
- 1/24発表の2023/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比2.6%増の59.05億USD、非GAAPの調整後EPSが同48.1%減の0.27USD。少数株主持分含む純利益は同3.1%増の10.07億USD。主力の銅販売は生産量が同2%増、平均販売単価が同1%上昇、単位生産・引渡費用が同1%減と改善。
- 2024/12通期会社計画は、銅販売量が前期比横ばいの41億ポンド、金販売量が同18%増の200万オンス、銅の単位生産・引渡費用が同横ばい、全体の営業キャッシュフローが同10%増の58億USD、資本的支出が同25%減の36億USD。業績改善傾向を示すなか中国の銅精錬大手による異例の協調減産実施合意で銅国際相場が3/13以降上昇に転じた。金相場上昇とともに同社へ追い風となろう。
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フレックス(FLEX)市場:NASDAQ・・・2024/5/10に2024/3期4Q(1-3月)の決算発表を予定
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- 1969年設立のシンガポール企業で、幅広い産業や製品を対象にアジア、南北アメリカ、欧州でテクノロジー、サプライ チェーン、製造ソリューションに関する受託開発製造サービスを提供。
- 1/31発表の2024/3期3Q(10-12月)は、売上高が前年同期比8.4%減の71.03億USD、非GAAPの調整後EPSが同14.5%増の0.71USD。粗利益率が同1.5ポイント上昇の9.0%へ改善。製品、顧客ともに多様化・分散化された強みを活かし、業績が外部環境に影響されにくい強靭さ・柔軟さを示した。
- 通期会社計画を下方修正。売上高を前期比7-9%減の277-283億USD(従来計画281-288億USD)、調整後EPSが同5-9%増の2.47-2.57USD(同:2.49-2.66USD)とした。傘下の米企業Nextrackerスピンオフ完了が今年1月初と当初予定より早まった影響。同社は世界EMS(電子機器受託製造)ランキングで5位。供給網で欧米と中国のどちらにも偏らないアセアン・シンガポールの強みが注目される。
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- 1887年設立。世界60ヵ国に250社以上のグループ企業を有する世界最大級のヘルスケア企業。「医薬品」、および「医療装置」の2事業部門を運営。消費者向け事業は2023年8月に分離独立。
- 1/23発表の2023/12期4Q(10-12月)は営業収益が前年同期比7.3%増の213.95億USD、非GAAPの調整後EPSが同11.7%増の2.29USD。主力の処方薬部門(新型コロナワクチン除く)が同7%増収に加え、手術用医療器具など医療装置部門が22年12月のアビオダッド買収効果の寄与で同13%増収。
- 2024/12通期会社計画は、買収・事業売却・新型コロナ関連の影響を除く調整後営業収益が前期比5-6%増、調整後EPSが同6-8%増の10.55-10.75USD。昨年8月に消費者向け「ケンビュー」を分離完了後、手術ロボット「Ottava」を擁する医療機器と年商10億USD以上の「ブロックバスター」を10以上擁する医薬品を併せ持つ。強い2事業の相乗効果でヘルスケア代表銘柄の地位を期待されよう。
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3M(MMM)市場:NYSE・・・2024/4/25に2024/12期1Q(1-3月)の決算発表予定
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- 1902年設立の化学・電気素材メーカー。「安全&産業(作業現場向け)」、「輸送&電子機器」、「ヘルスケア」、「消費者」の4事業セグメントの下で運営され、世界中で多様な事業部門を展開する。
- 1/23発表の2023/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比0.8%減の80.13億USD、リストラ関連等一時的費用の影響を除く非GAAPの調整後EPSが同10.0%増の2.42USD。23年年初からの人員削減と販売経路見直しなどコスト圧縮が奏功し、調整後営業利益率が同1.8ポイント改善の20.9%。
- 2024/12通期会社計画は、調整後EPSが前期比1-6%増の9.35-9.75USD、調整後営業キャッシュフローが同8-16%減の65-71億USD。25年までのPFAS(有機フッ化化合物)製造撤退に伴うリストラ進展成果が業績に出始めた。売上低迷が課題として残るなか3/13、次期CEOに大手航空宇宙企業の元トップのブラウン氏を指名。18年1月高値から約6割下落した株価のターンアラウンドが期待される。
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(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。
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- 1837年設立の世界最大の一般消費財メーカー。ファブリック・ホームケア(洗剤・家庭用品)、ビューティ(化粧品など)、グルーミング、幼児・女性・家族ケア、およびヘルスケアの5部門を営む。
- 1/23発表の2024/6期2Q(10-12月)は、売上高が前年同期比3.2%増の214.41億USD、カミソリのジレット関連減損損失の影響を除く非GAAPのコアEPSは同15.7%増の1.84USD。販売数量は同1%減も販売価格値上げが奏功。更に製品ミックス改善と原材料コスト低下で粗利益率が同5.2ポイント上昇。
- 通期会社計画は、売上高を前期比2-4%増で据え置きに対し、ジレット減損損失および昨年12月発表の2年間の事業再編プログラムの影響を除くコアEPSを同8-9%増の6.37-6.43USD(従来計画6.25-6.43USD)へ上方修正した。同社は3Mと並び連続増配年数67年と、米国でも屈指の長さ。半導体や大型ハイテク・グロースから伝統的優良銘柄への回帰の際の代表的存在と位置付けられよう。
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- (※)決算発表の予定は3/22現在であり、変更される可能性があります。
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