“FOMCと実質金利、生成AIで半導体関連の二極化”
- 米株式相場は、FOMC(連邦公開市場委員会)、および、2023年10-12月期決算発表といった二本柱を睨みながら推移している。
- 1月30-31日開催のFOMCは、3月利下げへの手がかりが得られるのではないかとの期待が高まっている。米FRB(連邦準備制度理事会)がインフレ率目標を2%とするなか、金融政策で参考とされる個人消費支出(PCE)物価指数の昨年12月が前年同月比2.6%上昇で伸びが前月から横ばいとなるなど、落ち着きを示した。なお、値札の物価を見る消費者物価指数(CPI)と異なり、PCE価格指数は実際に個人が支払った物価を見る指数である。
- 設備投資動向などを通じて実体経済へ影響を与えやすい実質金利(名目金利から期待インフレ率を差し引いた金利)を表す「物価連動国債利回り(TIPS)」の10年物は1/26終値で1.846%と、昨年10月の2.5%超えからは低下しているものの、歴史的には例外的に高い高水準にある。10年物TIPSは、2023年以前に2%を超えていた時期が2006年〜07年およびリーマンショック直後の08年末〜09年初にまで遡る。2011年以降は殆どの期間で1%以下で推移していた。その意味では、インフレ率が低下しているのに政策金利を長期間高止まりさせるのは、実質金利の更なる上昇を通じた景気のハードランディング(急激な失速)リスクを高めやすい。リスク回避からもFOMCで3月以降の利下げに対してよりオープンなスタンスとなる可能性が高いと期待される。ただし、月末の年金ポートフォリオ・リバランスの時期とも重なることもあり、市場が織り込み済みとして利益確定売りが強まる可能性も軽視できない。
- 2023年10-12月決算発表では、半導体受託製造(ファウンドリ)世界最大手の台湾積体電路製造[TSMC](TSM)、および半導体製造に係る露光装置(リソグラフィ)のオランダ・ASML(ASML)が好調だったのに対し、半導体チップ製造のインテル(INTC)と半導体検査・測定装置の開発・製造を行うKLA(KLAC)、およびアナログ半導体で産業用に幅広い顧客層を擁するテキサス・インスツルメンツ(TXN)は冴えない内容となった。生成AI(人工知能)の需要にかかわる分野とそうでない分野の二極化が進んでいるとみられよう。
- 生成AIの分野は、それを活用してソフトウエアおよびクラウドサービスの分野で顧客にソリューションを提供するような企業のキャッシュフロー改善を伴う成長が期待される。先週号(2024年1月23日号)で言及した「エンタープライズ生成AI」のほか、eラーニングやオンライン広告などのプラットフォームは生成AIと相性が良さそうだ。ラスベガスで開催されたハイテク見本市「CES」で化粧品など「ビューティーテック」分野も生成AI活用で注目されよう。(笹木)
- 1/30号では、アボットラボラトリーズ(ABT)、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)、ブリストルマイヤーズスクイブ(BMY)、DOCEBO(DCBO)、ゼネラル・モーターズ(GM)、ザ・トレードデスク(TTD)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー

S&P500業種別およびダウ平均構成銘柄騰落率(1/26現在)


主要企業の決算発表予定
1月30日(火) | ジュニパーネットワークス、スカイワークス・ソリューションズ、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、マイクロソフト、チャブ、エレクトロニック・アーツ、アルファベット、マッチ・グループ、スターバックス、テラダイン、ストライカー、モンデリーズ・インターナショナル、ロバート・ハーフ、ゼネラル・モーターズ、マラソン・ペトロリアム、コーニング、ファイザー、パルトグループ、ペンテア、MSCI、HCAヘルスケア、A.O.スミス、シスコ、ハベル、NVR、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、ダナハー、ジョンソンコントロールズインターナショナル |
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1月31日(水) | コルテバ、アフラック、メットライフ、クアルコム、PTC、CHロビンソン・ワールドワイド、コルボ、アライン・テクノロジー、ナスダック、エイブリィ・デニソン、フィリップス66、オートマチック・データ・プロセシング(ADP)、フォーティブ、センコラ、ボストン・サイエンティフィック、ローパー・テクノロジーズ、ボーイング、ヘス、ロックウェル・オートメーション、サーモフィッシャーサイエンティフィック、アプティブ、オールド・ドミニオン、フレイト・ライン、マスターカード、オーチス・ワールドワイド、マーケットアクセス・ホールディングス |
2月1日(木) | ホロジック、マイクロチップ・テクノロジー、メタ・プラットフォームズ、アトラシアン、ジェン・デジタル、アマゾン・ドット・コム、イーストマン・ケミカル、クロロックス、イリノイ・ツール・ワークス、ドーバー、アルトリア・グループ、WECエナジー・グループ、ベクトン・ディッキンソン、インターナショナル・ペーパー、ボール、スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、ハネウェルインターナショナル、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、イートン、クエスト・ダイアグノスティクス、カーディナルヘルス、リビティ、トラクター・サプライ、CMSエナジー、シリウスXMホールディングス、バイオテクネ、ウエストロック、トレイン・テクノロジーズ、ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズ、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、アップル、メルク、パーカー・ハネフィン |
2月2日(金) | ハートフォード・ファイナンシャル・サービシズG、WWグレンジャー、チャーター・コミュニケーションズ、シグナ・グループ、エクソンモービル、シーボー・グローバル・マーケッツ、ブリストル マイヤーズ スクイブ、アッヴィ、エーオン、チャーチ・アンド・ドワイト、シェブロン、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、ライオンデルバセル・インダストリーズ |
2月5日(月) | バーテックス・ファーマシューティカルズ、FMC、NXPセミコンダクターズ、キャタピラー、エスティローダー、タイソン・フーズ、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、ロウズ、マクドナルド、オン・セミコンダクター、アイデックスラボラトリーズ |
主要イベントの予定
1月30日(火) |
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1月31日(水) |
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2月1日(木) |
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2月2日(金) |
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2月5日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アボットラボラトリーズ(ABT)市場:NYSE・・・2024/4/19に2024/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)市場:NYSE・・・2024/4/25に2024/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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ブリストルマイヤーズスクイブ(BMY)市場:NYSE・・・2024/2/2に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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ドースボインク(DCBO)市場:NASDAQ・・・2024/3/8に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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ゼネラル・モーターズ(GM)市場:NYSE・・2024/1/30に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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トレードデスクA(TTD)市場:NASDAQ・・・2024/2/15に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
![]() (注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は1/26現在であり、変更される可能性があります。
過去の「銘柄ピックアップ」パフォーマンス検証

