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原油や天然ガスなどエネルギー商品が経済活動再開に伴う需要増で高騰。温暖化ガス排出量削減など気候変動対策で脱化石燃料が進むことがエネルギー需給の逼迫に繋がるほか、需給逼迫が肥料メーカーなどの操業停止を通じて原料不足を長期化させ、消費者向け商品へのインフレ圧力を高めている。
石炭を主要電力源とする中国では電力需要増の一方、政府が脱炭素目標の達成を求めていることから石炭生産増が難しく、石炭価格の上昇が加速。電力不足に伴う工場稼働停止も懸念される。
脱炭素で高騰のエネルギー価格〜経済再開と気候変動対策の両立難題
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一目均衡表は「相場は買い方と売り方の均衡が崩れたときに大きく動く」ことに着目した相場分析手法とされる。週足での基本5本線は、①(過去9週間の最高値+最安値)÷2の「転換線」、②(過去26週間の最高値+最安値)÷2の「基準線」、③{(転換値+基準値)÷2}を26週先行させて表示した「先行スパン1」、④{(過去52週間の最高値+最安値)÷2}を26週先行させて表示した「先行スパン2」、⑤ 当日の終値を26週遅行させて表示した「遅行スパン」である。
10/13までのNYダウ平均株価・週足は実線と上記の①、②が収斂するとともに、⑤が約26週前の実線と重なりつつある。ドル円為替相場・週足も今年9月中旬から下旬に同様の局面を経てドル高方向に大きく動いたことがあり、注目されよう
NYダウ平均と週足一目均衡表〜実線・転換線・基準線・遅行線の重なり
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中央銀行が金融資産を買い入れる量的緩和に関し新規の買入れ額を段階的に減らし終了に向かわせる「テーパリング」について、FRBは前回、2014年1月から10月まで実施していた。テーパリングは国債利回り上昇要因とされるなか、2013年5月に当時のバーナンキFRB議長が予期せぬタイミングでテーパリング実施を示唆したことから米国債利回りが急上昇。実際にテーパリングが実施されると、利回りは逆に緩やかな低下を辿り、ドルインデックスは上昇へ転換した。
2017年10月から2019年9月まではテーパリングにとどまらずFRBのバランスシートが縮小する金融引締め局面だった。米国株相場は2018年1月から12月まで価格変動率が高まる不安定な時期もあったが、2019年は概ね堅調に推移した。
量的緩和の縮小(テーパリング)〜前回は2014年初よりテーパリング開始
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発展途上国の中で金融市場は存在するものの、市場規模が新興国よりも小さく流動性が低い市場は一般に「フロンティア市場」とされる。米指数算出会社MSCIが算出する「MSCIフロンティア市場指数」は10/12現在、その条件に適合する33ヵ国のうち24ヵ国の株式から構成されている。その内、ベトナム、モロッコ、アイスランド、カザフスタン、バーレーンが時価総額構成比で上位5位までを占めている。
今年9月以降の世界の株式市場は、先進国23ヵ国と新興国24ヵ国で構成されて世界の株式時価総額の約85%をカバーしているMSCI ACWI指数が中国株下落の影響を受けたのに対し、MSCIフロンティア市場指数が堅調に推移。対中貿易比率が低いモロッコ、アイスランド、バーレーンの株価指数に押し上げられた。
新興市場からフロンティア市場へ〜MSCIフロンティア市場指数は強さ継続
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米テスラ(TSLA)が10/20に発表した2021年7-9月期決算は売上高が前年同期比57%増、純利益が同4.9倍と、自動車大手が軒並み危機的な半導体不足で生産減少に見舞われるなかでソフトウェア上の工夫と代替品採用などが功を奏し、売上高と純利益ともに四半期で過去最高を記録。7-9月は生産台数が23万7,823台、販売台数が24万1,391台と、年率換算で100万台の大台近くに達した。
テスラの生産・販売台数と株価の推移を見比べると、株価は昨年10月から今年1月にかけて急激に高騰した時期を除くと、今年5月の500USD台半ばから10月中旬までの800USD台前半までの株価上昇は、概ね生産・販売台数の増加ペースに沿った上昇のように見受けられる。今後の生産・販売台数が株価の鍵を握ろう。
テスラの生産・販売台数と株価〜半導体供給不足の下、生産・販売台数増
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欧州の天然ガスの指標価格「オランダTTF」の11月限終値は10/5、前日比23%高の1メガワット時当たり117ユーロに達した。1年前と比べると約9倍の水準だ。米国の天然ガス指標価格のヘンリーハブと比較しても大きな値上がり率を示している。この背景には、ロシアからドイツに天然ガスを運ぶ新海底パイプライン「ノルドストリーム2」について9月に敷設工事を完了して操業準備を進めるロシアが早期稼働を急ぐ一方で、ドイツでは9/26の総選挙で議席を伸ばし、連立政権入りが有力な第3党の環境政党「緑の党」が同パイプラインに反対していることがある。
ロシアおよびその国営エネルギー企業のガスプロム(GAZP)は欧州天然ガス価格が原油相場に強い影響を及ぼすことを通じて世界的にも更に注目されよう。
欧州の天然ガス価格とロシア〜緑の党が独露間パイプラインに反対姿勢
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