“銀行株、小売売上高、NYダウ平均の一目均衡表”
- 10/13より米主要金融機関の7-9月期決算が発表され、市場予想を上回る好内容が米国株式市場を押し上げる展開となっている。融資の質改善に伴う貸倒引当金の戻入れが利益を押し上げたほか、M&Aの助言収入、株式引受け業務、および景気回復を背景としたクレジット・デビットカードの利用額増加が堅調な金融機関の業績を支える主な要因となっている。
- M&A関連ではここ最近、スクエア(SQ)が今年8月、後払い決済サービスの豪アフターペイを290億ドルで買収することに合意したほか、9月にはペイパルHD(PYPL)が後払い決済の日本のペイディを3,000億円相当で買収すると発表するなど、ネット通販関連の後払い決済に係る「今買って後で払う」を意味する「BNPL(Buy Now, Pay Later)」プラットフォームを運営するフィンテック企業に対する大型買収が相次いだ。投資銀行部門におけるM&A助言手数料収入が好調であるのはそのような背景がある。また、今後の銀行株は、M&Aなど投資銀行業務が業界再編に伴う企業間の合従連衡が続くとみられることから引き続き好調となることが予想されるほか、インフレ懸念の高まりに伴う長期金利上昇局面で、融資など商業銀行業務が利鞘拡大の恩恵を受けやすい点も投資のポイントだろう。
- 10/15発表の9月の米小売売上高は、価格上昇を背景とした自動車販売店の売上高拡大の寄与により、前月比0.7%増と市場予想の同0.2%減に反して増加。この点も米国株式市場を押し上げる要因となった。当ウィークリー2021年10月12日号で述べた通り、仕入れコスト上昇、サプライチェーン混乱に伴う物流コスト高騰や入荷遅延、および人件費上昇といった「三重苦」のコスト上昇要因を抱えるなか、大量仕入れで在庫リスクを抱える余裕がある大手企業ほど、前倒しで在庫商品を積み増すことで仕入れコストを低く抑えたまま品薄に伴う販売価格高騰の恩恵をフルに享受できる余地が生まれてくることから、小売り大手企業を見直す余地があろう。
- NYダウ平均株価の推移を見ると、週足の一目均衡表チャートでは、実線、転換線(過去9週間の最高値と最安値の平均)、基準線(過去26週間の最高値と最安値の平均)が収れんするとともに、実線が当日終値を26週前にずらした「遅行線」と重なりつつある。一目均衡表では「相場は売り方と買い方の均衡が崩れたときに大きく動く」とされており、相場が上下どちらかに放れやすいタイミングと見る余地がある。相場が好材料に反応し上昇し始めている点はテクニカル分析上も注目されよう。(笹木)
- 10/19号では、アスペン・テクノロジー(AZPN)、ボーイング(BA)、ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズ(BR)、ファイザー(PFE)、トレックス(TREX)、ウォルマート(WMT)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(10/15現在)
主要企業の決算発表予定
10月19日(火) | インテュイティブサージカル、ユナイテッド・エアラインズ・HD、オムニコム・グループ、ネットフリックス、トラベラーズ、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、ハリバートン、カンザスシティー・サザン、ドーバー、フィリップ・モリス・インターナショナル、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、フィフス・サード、バンコープ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、シンクロニー・ファイナンシャル |
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10月20日(水) | IBM、CSX、ラムリサーチ、ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズ、テスラ、クラウン・キャッスル・インターナショナル、PPGインダストリーズ、エキファックス、キンダー・モルガン、グローブライフ、ラスベガス・サンス゛、ベライゾン・コミュニケーションズ、コメリカ、アンセム、シチズンズ・フィナンシャル・グループ、M&Tバンク、アボットラボラトリース゛、ベーカー・ヒューズ、ナスダック、ノーザン・トラスト、マーケットアクセス・HD、バイオジェン、ネクステラ・エナジー、ASMLホールディング |
10月21日(木) | ワールプール、SVBファイナンシャル・グループ、WRバークレー、セラニーズ、インテル、ニューコア、チポトレ・メキシカン・グリル、ピープルズ・ユナイテッド・ファイナンシャル、ユニオン・パシフィック、AT&T、ジェニュイン・パーツ、バレロ・エナジー、マーシュ・アンド・マクレナン、キーコープ、ダウ、クエスト・ダイアグノスティクス、アレジオン、フリーポート・マクモラン、トラクター・サプライ、アラスカ・エア・グループ、インターパブリック・グループ、スナップオン、アメリカン航空グループ、プール、IQVIAHD、NVR、サウスウエスト航空、ダナハー |
10月22日(金) | リージョンズ・ファイナンシャル、アメリカン・エキスプレス、シュルンベルジェ、HCAヘルスケア、ハネウェルインターナショナル、Seagate Technology Holdings PL、ローパーテクノロジーズ、VF |
10月25日(月) | パッケージング・コープ・オブ・アメリカ、ブラウン・アンド・ブラウン、フェイスブック、ユニバーサル・ヘルス・サービシズ、キンバリー・クラーク、オーチス・ワールドワイド、ケイデンス・デザイン・システムズ |
主要イベントの予定
10月19日(火) |
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10月20日(水) |
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10月21日(木) |
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10月22日(金) |
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10月25日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アスペン・テクノロジー(AZPN)市場:NASDAQ・・・2021/10/27に2022/6期1Q(7-9月)の決算発表を予定
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ボーイング(BA)市場:NYSE・・・2021/10/27に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズ(BR)市場:NYSE・・・2021/10/19に2022/6期1Q(7-9月)の決算発表を予定
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ファイザー(PFE)市場:NYSE・・・2021/11/2に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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トレックス(TREX)市場:NYSE・・・2021/11/2に2021/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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ウォルマート(WMT)市場:NYSE・・・2021/11/16に2022/1期3Q(8-10月)の決算発表を予定
(注)日足の始値と終値をローソク足で表示。「始値>終値(陰線)」なら緑、「始値<終値(陽線)」なら赤。 |
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- (※)決算発表の予定は10/15現在であり、変更される可能性があります。