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米フィラデルフィア連銀製造業景況指数は米国の景気動向を占う先行指標とされ、ISM製造業景況指数との相関が高いとされる。過去20年の同指数の内訳項目推移では、支払価格が高騰するとISM製造業景況指数が低下に転じる傾向がみられるなか、支払価格は今年3月に約40年ぶりの高水準となる72.6に達したのに続き、4月も69.1と高水準にとどまった。
支払価格の高騰はコスト上昇による企業業績悪化に繋がる。主要企業の2021年1-3月期決算でも、原材料コスト上昇への対応を課題とする企業が目立った。
支払価格高騰後の景況感〜フィラデルフィア連銀製造業景況指数に注目
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5月になってコモディティ市況が不安定化してきた。コモディティ全般の総合商品指数(Bloomberg商品指数)と銅先物価格は5/12前後まで上昇後に下落。木材先物価格も5/7まで上昇後に下落に転じた。この要因としては、コモディティの世界最大の消費輸入国である中国において、中国人民銀行が中国で事業を行う銀行に対し新規融資額を前年同期以下の水準にとどめるよう指示していたと伝えられていたなか、5/12に発表された4月の新規融資額やマネーサプライM2など与信に係る経済統計の金額の伸びが軒並み鈍化したことが挙げられる。
名目GDPに対する与信の伸び率変化を示すクレジット・インパルスは、昨年11月をピークに下落中。コモディティ市況関連銘柄の株価動向に要注意だろう。
コモディティ市況変調と中国経済〜中国金融クレジット引締め懸念の影響
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5/7発表の4月の米雇用統計が市場予想を大幅に下回ったことに対して米10年国債利回りが一時的に低下したものの、5年物TIPS(物価連動国債)と通常利回り差のBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)が10年ぶりの高水準を付け、10年国債BEIも2013年4月以来の高水準となった。
5/11発表の3月の米雇用動態(JOLT)調査で求人件数が2000年12月統計調査以降で最高を記録したことから、失業手当の追加支給、学校正常化の遅れに伴う育児、およびサプライチェーン混乱で失業者が労働市場に出ない現状が露呈された。企業は賃金引上げを余儀なくされよう。過去10年間の動きからみると、5年および10年のBEIが横ばいに転じた後で米10年国債利回りがそれらを超える水準まで上昇する可能性があるだろう。
米インフレ懸念と雇用統計〜求人の多さと雇用の伸び鈍化の意味は?
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昨年5/12に約4年ぶりにビットコインのマイニング報酬の半減期が到来。半減期とはマイニングによって新規に発行される暗号資産の量を半減させていく仕組みのことであり、発行量の引き締めにより資産価値の希薄化を防止する狙いがある。半減期は、ビットコインの発行量が21万ブロックごとに訪れるよう設計されており、1ブロック当り約10分で形成されるため、計算上約4年毎に訪れることとなる。
過去には、(1)2012/11/28の半減期到来から約1年後の2013年12月まで、(2)2016/7/9の半減期到来から約1年5ヵ月後の2017年12月まで、ビットコイン価格が急騰を演じた。3回目となる今回もビットコイン価格終値が半減期から約11ヵ月後の4/15に63,410USDの過去最高値を付けた後、5月になって急落している。
ビットコインの報酬半減期後の騰落〜4年周期の投機的な動きに要注意
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米1-3月期決算発表を終えてグーグルを擁するアルファベット(GOOG)、アップル(AAPL)、フェイスブック(FB)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)の株価が明暗を分けた。日足終値の200日移動平均との乖離率は、アルファベットとフェイスブックが経済活動再開に伴う企業の広告支出拡大を受けて堅調な株価推移が続いていることから、高水準を保っている。
一方で、アップルとアマゾンの同乖離率はゼロ近辺に縮小。アップルはサプライチェーン制約と半導体不足による一部の製品の生産減が懸念され、アマゾンは商品の梱包・配送業務に関わる人材確保ための時給引上げによる人件費増大が懸念される。同乖離率のマイナスが続き200日移動平均の前日比もマイナスとなれば、株価の上値は一層重くなろう。
GAFA株価の200日移動平均〜アップルとアマゾンは株価との乖離ゼロへ
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米国を中心に世界がコロナ禍による不況から抜け出そうとするなか、原油価格は3月以降に1バレル60-65USD近辺の横ばいで推移。昨年10月以降、ガソリン価格は原油価格と歩調を合わせて推移していたが、今年3月以降は原油をアウトパフォームし始めた。この要因として、新型コロナワクチン接種が本格化するにつれ、企業がビジネスを再開し、米国民が追加経済対策に伴う1人当たり1,400ドルの現金給付金を使うために外出を増やすことにより、ガソリンの需要が加速すると見込まれることが大きいだろう。
石油精製大手フィリップス66(PSX)の株価が石油生産大手シェブロン(CVX)を昨年12月以降にアウトパフォームする傾向が見られる。フィリップス66(PSX)の当期予想配当利回りは5/25終値で4.37%だ。
堅調な原油相場と加速するガソリン需要〜石油精製・販売企業にチャンス
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