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米国の新型コロナワクチン接種回数が4/21に累計で2億回を超えたほか、バイデン大統領が企業に対し従業員のワクチン接種に向けた有給休暇の積極的な付与を促した。直近の米国株の上昇は1日当たり新型コロナワクチン接種回数増加が大きな要因とみられるなか、4/19以降にペースダウンの兆しが出ている。
また、1.9兆ドル規模の追加経済対策に伴い、3月の財政赤字は昨年4-6月水準近くまで拡大。FRBによる量的緩和の拡大とともに株価高騰を後押ししている。財政支出拡大の持続性が問われよう。
ワクチン接種回数と財政支出増〜米国株高の短期的原動力の持続性は?
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新型コロナの新規検査陽性者数は、英国では4/20時点で総人口の約半数がが1回目のワクチン接種を終えたことを受けて、減少傾向にある。米国も4/19までに全成人をワクチンの接種対象とするようバイデン大統領が訴えるなど接種を加速するなか、3月中旬から一時的に増加したものの落ち着きを示した。一方で、独の増加傾向が続くほか、インドは都市封鎖が相次ぐなど状況が悪化している。
新型コロナワクチンの中では、英アストラゼネカ(AZN)と米ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のワクチンはアデノウイルスを用いたウイルスベクターワクチンであり、血栓リスクへの懸念から調査が行われている。相対的にファイザー(PFE)やモデルナ(MRNA)の米国勢によるメッセンジャーRNA型が優位に立ちつつある。
新型コロナワクチン接種の普及〜英国が順調、mRNA型ワクチンが優位
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3/31、バイデン大統領が「米雇用計画」と題した2.25兆ドル規模の大規模経済プログラムを打ち出した。4/28には「米国の家庭のための計画」と呼ばれる第2弾の公表も予定される。第1弾の米雇用計画は、(1)道路や高速道路、港湾といった公共交通インフラ整備、(2)各家庭の生活の質向上、(3)米製造業の強化、(4)介護向上といった4本柱から成り、個人富裕層への増税やキャピタルゲイン課税引上げへの言及も見込まれている。
半導体製造や電気自動車(EV)への追い風に注目が集まるなか、「清涼な飲料水」に係る施策では水処理技術大手のザイレム(XYL)、および地域密着型介護サービスに係る施策では在宅医療などを全米39州などで営むアメディシス(AMED)などの米企業が注目されよう。
米雇用計画第1弾2.25兆ドル〜清涼な飲料水と地域密着型介護サービス
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米株価指数のウィルシャー5000トータル・マーケット指数(ウィルシャー5000)は、NYSE、NYSEアメリカン、NASDAQで取引される米国本拠の全ての企業の株式を対象とする時価総額加重平均型の株価指数であり、米国株式市場を最も広範にカバーしている。従って、ウィルシャー5000の対米国名目GDPの比率は、米国株の時価総額を名目GDPで割った倍率で株価の割安・割高を判断する「バフェット指数」と同様の意味合いを有する。
ウィルシャー5000の対米国名目GDP倍率は今年3月末に過去最高の194%に達し、2000年3月末のITバブルピーク時の143%を既に大きく上回る。これはグロース株のバリュー株に対する優位性と関係しているとみられ、株価の実体経済からの乖離の持続可能性が問われよう。
米国株価の実体経済からの乖離〜グロース株優位の相場の持続力が鍵
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天候不順がもたらす自然災害は年々規模が大きくなっている。昨年後半はラニーニャ現象が農作物相場を押し上げた。今夏以降もエルニーニョ現象による世界的天候不順を警戒する向きもある。20-21年度の生産予想では、最大産地の米国のトウモロコシ生産、および世界3位のアルゼンチンの大豆生産が今年4月までに大幅下方修正され、各々の先物価格が上昇基調を継続中。揚げ油などに使うパーム油についても主要生産国であるマレーシアとインドネシアでの天候不順が懸念される。直近でエルニーニョ現象が起きた19年夏には東南アジアの高温乾燥により天然ゴム先物価格が上昇。
穀物メジャーのアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)や穀物ETFヴァンエック・ベクトル・アグリビジネス(MOO)などが注目されよう。
農作物相場の天候リスクに注意〜2019年夏のエルニーニョ現象の再来?
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半導体製造装置の各工程における高シェア企業の中でも、株価の推移には格差が見られる。日本のレーザーテックは半導体EUV(極端紫外線リソグラフィ)に係るフォトマスク欠陥検査装置で世界シェアを独占。米ラムリサーチ(LRCX)は、エッチング工程において難易度が高いとされるドライエッチング装置を強みとしている。蘭ASMLホールディングス(ASML)は、高価格の露光装置で独占に近い世界シェアを握っている。製造工程の最後となる半導体検査の装置では日本のアドバンテストのメモリー検査装置がデファクト・スタンダードの位置を占める。
その一方、米アプライド・マテリアルズ(AMAT)および日本の東京エレクトロンは、連続する多くの製造工程に関わっている総合力を強みとしている。
半導体製造装置の各工程〜各工程別高シェアメーカーに注目が集まる
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