“FOMC、およびヘッジファンドのネット・エクスポージャー”
- 12/15-16に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、FRB(連邦準備制度理事会)が長期金利の上昇を抑えるために長期国債買い入れ枠を増額するかに注目が集まっていたなか、月額1,200億ドル規模の現状の債券買い入れを維持するにとどまった。この点は以下の2点を示唆するものと考えられる。
- 先ず、長期金利を現状よりも強く抑制することは考えていない可能性があるという点である。「名目金利=実質金利+期待インフレ率」であることから、期待インフレ率が上昇する場合であっても名目金利上昇を抑制すれば実質金利の低下によりグロース株が復活しやすくなる面も出てくるが、その可能性はやや遠のいたかも知れない。12/21にテスラ(TSLA)がS&P500構成銘柄となった後のナスダック総合指数の動きは要注意だろう。その一方、世界経済の全般的な商品価格動向とインフレを示す先行指標とされる「S&P500 GSCIトータルリターン指数」のS&P500株価指数に対する倍率が0.5倍台と過去最低水準にとどまるなか、同倍率は過去に、1973-74年の石油ショックや90年の湾岸危機、2008年のリーマンショック直前に7-9倍台まで上昇している。グローバル投資資金が「コモディティ・シフト」の様相を強める展開になることが考えられよう。
- 次に、債券買い入れの規模を維持することにより、FRBのバランスシートの対GDP比率は着実に上昇するとみられることから、基軸通貨である米ドル安を通じて法定通貨の価値が相対的に毀損されることを意味する。その一方、「デジタル・ゴールド」と称される暗号資産のビットコインは発行上限枚数が2,100万枚となるように設計され、今年5月の「半減期」に増加した発行枚数は、従来の累計1,575万枚に対し上限までの残枚数の半分となる262万5千枚にとどまりった。また、マイニング報酬も半減することで供給減が期待される。そのため、決済大手のペイパル・ホールディングス(PYPL)の新規参入といった需要増の要因があることで一気に需給がタイトとなって価格が上昇しやすくなると言えるだろう。
- なお、12/4発表のゴールドマン・サックス・グローバル・インベストメント・リサーチのデータによれば、ヘッジファンドのエクイティへの配分比率を表すネット・エクスポージャーが2017年12月に82%近辺まで上昇後、2019年前半に55%近辺まで下落。そして今年12月に17年12月を超えて85%近辺まで上昇しており、ビットコインの価格動向と類似している。これらは、3年単位で見た場合、投資家のリスクテイクが行き過ぎている可能性を示唆している面があろう(笹木)
- 12/22号では、カプリ・ホールディングス(CPRI)、データドッグ(DDOG)、ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS)、マイクロン・テクノロジー(MU)、ニューコア(NUE)、携程旅行網[トリップドットコムグループ](TCOM)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(12/18現在)
主要企業の決算発表予定
12月22日(火) | カーマックス、シンタス |
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12月23日(水) | ペイチェックス |
主要イベントの予定
12月22日(火) |
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12月23日(水) |
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12月24日(木) |
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12月25日(金) |
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12月28日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
カプリ・ホールディングス(CPRI)市場:NYSE ・・・2021/2/5に2021/3期3Q(10-12月)の決算発表を予定
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データドッグ(DDOG)市場:NASDAQ ・・・2021/2/12に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS)市場:NYSE ・・・2021/2/4に2021/9期1Q(10-12月)の決算発表を予定
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マイクロン・テクノロジー(MU)市場:NASDAQ ・・・2021/1/7に2021/8期1Q(9-11月)の決算発表を予定
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ニューコア(NUE)市場:NYSE ・・・2021/1/28に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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携程旅行網[トリップドットコムグループ](TCOM)市場:NASDAQ/ADR ・・・2021/3/18に2020/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
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- (※)決算発表の予定は12/18現在であり、変更される可能性があります。