“郵便投票は波乱相場のベルを鳴らす?”
- 9/29のオハイオ州クリーブランドでの米大統領候補同士による第1回討論会を皮切りに米大統領選挙戦が本番モードに突入する。それに引き続き、10/7の副大統領候補による討論会、10/15および10/22の大統領候補による第2回および第3回討論会を経て、11/3の投票日を迎える予定だ。ところが、既に始まっている郵便投票の存在が大統領選の行方に暗雲を投げかけている。新型コロナウイルスの感染拡大で3密を避けるため郵便投票の利用が大幅に増える見通しのなか、有効票かどうか確認する作業に手間がかかることのほか、慢性的赤字が続く米郵政公社の経費削減策として封書やハガキを仕分ける機械の廃棄が進んでいることから、結果判明に期間を要する可能性が強まっている。
- 2000年大統領選ではフロリダ州の結果が判明するまで期間を要し、最終的には選挙結果をめぐり法廷闘争(ブッシュ対ゴア事件)が展開され、連邦最高裁はフロリダ州全域での再集計を命令すると同時に、憲法内で定められた期間内(「セーフ・ハーバー」期間)に再集計を終わらせることも要求したため、12/12に作業途中のまま再集計が終了。ブッシュ候補の当選が確定した。今回のセーフハーバー最終日は12/8とされているが、多くの州が2000年のフロリダ州と同様の事態に見舞われる懸念があるだけでなく、セーフハーバー期間で決着が付く保証もなく、2000年を超える異常事態となることも懸念されよう。
- トランプ大統領は9/26、連邦最高裁判事に保守派のバレット氏を指名し、万が一の「来たるべき」時に備えているように見受けられる。また、11/10には医療保険制度改革法(オバマケア)廃止か存続かの審理が連邦最高裁で開始される予定であり、大統領選の結果が出ないまま保守派の増員を追い風に廃止の判決が出されるとすれば、政局は混迷を増すだろう。そのような事態となった場合、株式市場は短期的には厳しい展開で推移することは避けられないだろう。
- また、当ウィークリー2020年9月1日号(FRBの新戦略と8/31からの新展開)および2020年9月8日号(バフェットに学ぶ〜インフレ・ドル安シフトか?)で述べた通り、9月の相場動向から、8/31の週より相場が新たな局面にシフトしたこと、および、テクニカル面で今年のS&P500指数推移の2000年との類似性や9/3のダウ平均株価の動きで達成感が出やすかった点などについてある程度の妥当性が示されつつあるように見受けられる。現時点から10月以降の大統領選挙モードにどのように株式市場が受け継がれるのか、警戒が必要だろう。(笹木)
- 9/29号では、アプライド・マテリアルズ(AMAT)、 バークシャー・ハサウェイ(BRK/B)、キャタピラー(CAT)、イーライリリー(LLY)、ピン多多 ADR(PDD)、タンデム・ダイアベティス・ケア(TNDM)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(9/25現在)
主要企業の決算発表予定
9月29日(火) | マイクロン・テクノロジー、マコーミック、IHSマークイット |
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10月1日(木) | コナグラ・ブランズ、コンステレーション・ブランズ、ペプシコ |
主要イベントの予定
9月29日(火) |
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9月30日(水) |
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10月1日(木) |
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10月2日(金) |
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10月5日(月) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アプライド・マテリアルズ(AMAT)市場:NASDAQ・・・2020/11/12に2020/10期4Q(8-10月)の決算発表を予定
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バークシャー・ハサウェイ(BRK/B)市場:NYSE・・・2020/11/2に2020/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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キャタピラー(CAT)市場:NYSE・・・2020/10/27に2020/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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イーライリリー(LLY)市場:NYSE・・2020/10/27に2020/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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ピン多多ADR(PDD)市場:NASDAQ(ADR)・・・2020/11/20に2020/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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タンデム・ダイアベティス・ケア(TNDM)市場:NASDAQ・・・2020/11/4に2020/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定
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