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2020-05-29 18:13:59

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“経済活動再開に向けて前向きな話が増え始めた”

2020/4/21
提供:フィリップ証券株式会社
リサーチ部:笹木 和弘

“経済活動再開に向けて前向きな話が増え始めた”

  • 4/15、ドイツのメルケル首相が4/20より800平米以下の小・中規模商店の営業再開を認めることを発表したのに続き、4/16に米トランプ大統領が各州の知事の判断で3つの段階に分けて制限の緩和・解除を進めるとするガイドラインを発表。これに歩調を合わせるかのように、ギリアド・サイエンシズ(GILD)の新型コロナウイルス治療薬候補「レムデシビル」の投与が重症患者の急速な回復につながったとのレポートが米医療関連ニュースサイトに掲載された。更に、スタンフォード大学の研究者らが米サンタクララ郡の住民から採取した血液サンプルでウイルス抗体を検査したところ、確認された感染者数の50倍から85倍に当たる全人口の2.5%から4.1%が感染していることが推定されるとした研究結果が4/17に公表された。これによると実際の致死率は0.2%未満となり、従来予測よりも広く拡散しそれほど致死率も高くなく、パンデミックの恐怖が誇張されている可能性を示唆するのではないかという見方も出てきた。投資の観点では、科学的な確からしさよりも欧米主要国が経済活動再開に向けた動きを正当化するようなデータが表に出やすくなり、株式市場を動かす要因となる面があるということが重要であろう。米国株式市場もダウ工業株30種平均株価(NYダウ)の4/17終値が前日比704ドル高の24,242ドルで引け、2/12の高値(29,568ドル)から3/23の安値(18,213ドル)までの下落幅の53%を回復する上昇となった。
  • 4/14より始まった米国主要企業の1-3月決算発表では主要金融機関が軒並み大幅減益であるが、これは2020/1から導入された貸倒引当金計上の基準変更による面が大きく新型コロナウイルスの影響だけではない点は要注意だろう。また、ウイルス検査薬や消費者向け医薬品、トイレタリー商品を扱うヘルスケアや一般消費財メーカーの業績が好調であることも示されている。ファクトセット調査によれば、4/9時点におけるS&P500株価指数構成企業の1-3月の予想平均増益率は前年同期比▲10%である。この水準を下回るようであれば、米国株式市場の戻り上昇相場が調整局面を迎える可能性もあろう。ただし、米国株式市場を見る場合、特にS&P500とナスダックは時価総額加重平均の株価指数であり、マイクロソフト(MSFT)アップル(AAPL)アマゾン・ドット・コム(AMZN)アルファベット(GOOGL)などの時価総額が大きい銘柄の中に好業績銘柄がある場合、その特定少数銘柄が割高に買われることにより、指数全体がある程度まで下支えされる余地がある点には留意が必要だろう。
  • 4/21号では、アボットラボラトリーズ(ABT)ブラックロック(BLK)ゴールドマン・サックス・グループ(GS)ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)プロクター・アンド・ギャンブル(PG)ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)を取り上げた。

ウィークリーストラテジー

S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(4/17現在)

主要企業の決算発表予定

4月21日(火) ネットフリックステキサス・インスツルメンツフィリップ・モリス・インターナショナル、ロッキード・マーチン、コカ・コーラ、エマソン・エレクトリック、HCAヘルスケアトラベラーズ、チポトレ・メキシカン・グリル
4月22日(水)AT&Tサーモフィッシャーサイエンティフィックバイオジェン、キンダー・モルガン、デルタ航空、ラムリサーチ、ナスダック、ザイリンクス、ラスベガス・サンズ
4月23日(木)インテル、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、ユニオン・パシフィック、イーライリリー、ベリサイン、Eトレード・ファイナンシャル
4月24日(金)ベライゾン・コミュニケーションズアメリカン・エキスプレス
4月27日(月) PPGインダストリーズ、F5ネットワークス、セラニーズ、ユニバーサル・ヘルス・サービシズ

主要イベントの予定

4月21日(火)
  • 米中古住宅販売件数 (3月)
4月22日(水)
  • 米 FHFA住宅価格指数 (2月)
4月23日(木)
  • 米新規失業保険申請件数 (18日終了週)、新築住宅販売件数 (3月)
4月24日(金)
  • 米耐久財受注 (3月)、ミシガン大学消費者マインド指数 (4月)
4月27日(月)
  • ダラス連銀全米活動指数(4月)
  • ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成

銘柄ピックアップ

アボットラボラトリーズ(ABT)市場:NYSE ・・・2020/7/17に2020/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定

  • 1900年に設立。多角化されたヘルスケアカンパニーとして「エンシュア」や「EAS」といった栄養剤製品のほか、後発医薬品、診断薬、免疫学的測定装置、医療機器など広範囲な製品を提供する。
  • 4/16発表の2020/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比2.5%増の77.26億USD、純利益が同16.0%減の5.64億USD。継続事業のNon-GAAPの調整後EPSは同4.8%増の0.65USD。為替の影響を除く内部売上高では、栄養剤、検査薬、後発医薬品、医療機器の全事業が増収となった。
  • 新型コロナウイルス感染拡大の影響が不透明であることから2020/12通期の会社業績予想を取り下げた。3/27に米食品医薬品局から新型コロナウイルスの陽性反応が5分で確認できる新検査キットの承認が下りた。また、4/15に同ウイルス感染の抗体を調べる血液検査キットの生産を6月までに月間2,000万個に拡大する計画を発表。これらの米国経済活動再開への貢献が期待されよう。

ブラックロック(BLK)市場:NYSE ・・・2020/7/20に2020/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定

  • 1995年に投資ファンドのブラックストーンの債券部門が分離独立。資産運用やアドバイザリー業務を提供する世界最大の企業。世界最大のシェアを持つETF「iShares」シリーズを主力商品とする。
  • 2020/12期1Q(1-3月)は、営業収益が前年同期比10.9%増の37.10億USD、純利益が同23.5%減の8.06億USD。Non-GAAPの調整後EPSは同横ばいの6.60 USD。期末運用資産額が同0.7%減だったが、技術サービス収入が増収に寄与。自社株買いに伴う株数減少が調整後EPS増益に貢献。
  • 資産運用業界は同社、バンガード、ステート・ストリート(STT)の寡占状態であり、高い利益率を維持することが期待できよう。また、資産運用についてのニュースやポートフォリオ分析、注文、コンプライアンスチェックなどの最新情報を提供するシステムである「アラディン」を利用する金融機関や機関投資家が増加しており、資産運用業界のプラットフォーマーとしての長期的成長が注目されよう。

ゴールドマン・サックス・グループ(GS)市場:NYSE ・・・2020/7/15に2020/12期2Q(4-6月)決算発表を予定

  • 1869年に創業した世界有数の金融機関。投資銀行業務、証券業務、投資運用業務を中心に、企業、金融機関、政府機関、個人など様々な顧客に、幅広い金融サービスを提供する。
  • 4/15発表の2020/12期1Q(1-3月)は、総収益が前年同期比0.7%減の87.43億USD、純利益が同48.5%減の11.23億USD。トレーディング収入は同27.8%増と堅調だったが、2020/1より貸倒引当金を計上する基準が変更されたことにより貸倒引当金が同4.2倍の9.37億USDとなったことが響いた。
  • 同社の貸倒引当金は、JPモルガン・チェース(JPM)、シティグループ(C)、バンク・オブ・アメリカ(BAC)、ウエルズ・ファーゴ(WFC)と比較すると消費者向け融資事業の比重が低いことから相対的に低水準にとどまった。トレーディング収入および株式・債券の引受業務など同社が強みを有する分野の活況が2Q(4-6月)も続けば、業績面で競合他社より優位となる可能性もあろう。

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)(JNJ)市場:NYSE ・・・2020/7/16に2020/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定

  • 1887年設立。世界60カ国に250以上のグループ企業を有する世界最大級のヘルスケアカンパニー。一般消費者向け製品から医薬品、高度な医療機器まで、数万点に上る製品を提供している。
  • 4/14発表の2020/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比3.3%増の206.91億USD、純利益が同54.6%増の57.96億USD、Non-GAAPの調整後EPSが同9.5%増の2.30USDだった。新型コロナウイルス感染拡大による買いだめ需要が追い風となり、市販薬・日用品部門が同9%の増収となった。
  • 新型コロナウイルス感染長期化を見込み、通期会社計画を下方修正。M&Aや事業売却を除く増収率見通しを前期比▲3.0-0.5%(従来計画:5.0-6.0%)、調整後EPSを7.50-7.90USD(同:8.95-9.10 USD)とした。同社は風邪ウイルスを使用してワクチンを作る技術を有し、新型コロナウイルス向けワクチンの開発を急いでいる。治験開始見込み時期が当初より2ヶ月早まっているのは朗報だろう。

プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)(PG)市場:NYSE ・・・2020/7/30に2020/6期4Q(4-6月)の決算発表を予定

  • 1905年に設立された世界最大の一般消費財メーカー。洗剤、掃除用品、紙、美容品、食品、ヘルスケアなど多様な製品を製造し、地域の量販店、食品雑貨店、薬局などを中心に販売する。
  • 4/17発表の2020/6期3Q(1-3月)は、売上高が前年同期比4.6%増の172.14億USD、純利益が同6.3%増の29.17億USD、Non-GAAPの調整後コアEPSが同10.4%増の1.17USD。新型コロナウイルス感染拡大で外出規制が広がる中、米国を中心にトイレタリー商品や家庭用洗剤の販売が伸びた。
  • 業績見通しを取り下げる企業が相次ぐなか、2020/6通期の会社計画を一部上方修正。内部売上高を前期比4-5%増(従来計画と変わらず)、調整後コアEPSを同8-11%増(従来計画:8-10%増)とした。3Qは米国の販売が大幅増となったが、中国の販売が落ち込んだ。4Qは米国での家庭用クリーニング用品への需要の強さに加え、中国での需要リバウンドの業績への寄与が期待されよう。

ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)市場:NYSE ・・・2020/7/17に2020/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定

  • 1974年設立。米国内外で管理医療システムを保有・運営。雇用主に対し従業員医療給付を提供するユナイテッドヘルスケア事業、およびヘルスケア情報・データを提供するオプタム事業を営む。
  • 4/15発表の2020/12期1Q(1-3月)は、営業収益が前年同期比6.8%増の644.21億USD、純利益が同2.5%減の33.82億USD、Non-GAAPの調整後EPSが同0.3%減の3.72USD。新型コロナウイルス感染拡大に伴う同社の医療保険関連サービスの業績への反映は1Q終盤の僅かな期間のみである。
  • 業績見通しを取り下げる企業が相次ぐなか、2020/12通期の会社計画を据え置いた。EPSが前期比7.8-9.9%増の15.45-15.75USD、Non-GAAPの調整後EPSが同7.5-9.5%増の16.25-16.55USD。国民皆保険制度の実現を訴えていたサンダース氏が米大統領選の民主党指名候補争いから撤退。民間医療保険を担う同社事業への不透明感が払拭された点は中長期的に業績下支え要因となろう。
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