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2020-08-07 20:47:15

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ピンチはチャンス!?米国上場の中国ADR銘柄

2020/7/29
投資調査部 榮 聡

米中対立がエスカレートする中、米国市場に上場する中国ADR銘柄は上場廃止の可能性が懸念されています。一方、これらの中国企業は米国に上場しているものの、米国で事業を行っているものは少なく、業績への影響は限定的です。このため上場廃止が懸念されて該当銘柄が売られるときには、投資のチャンスとなる可能性がありそうです。そこで今回は、そのような局面に備えて主要な中国ADR銘柄をご紹介いたします。。

図表1:注目銘柄リスト

銘柄 株価(7/28) 52週高値 52週安値
ピン多多 ADR(PDD) 83.77ドル 98.96ドル 21.22ドル
TAL エデュケーション ADR(TAL) 78.69ドル 79.34ドル 30.78ドル
ZTO エクスプレス ADR(ZTO) 35.15ドル 38.99ドル 16.97ドル
テンセント音楽(騰訊音楽娯楽集団) ADR(TME) 15.77ドル 17.97ドル 9.22ドル
GSXテクエデュ(跟誰学教育科技) ADR(GSX) 85.33ドル 92.00ドル 11.72ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1上場廃止が懸念される中国ADR銘柄

米中関係の悪化を受けて米国市場に上場する中国ADR銘柄が上場廃止になるのではとの懸念が昨年からあり、最近では再び米中関係の悪化が目立つため、今回はこれを取り上げます。

株式市場がこの問題を最初に意識したのが、19年9月に「トランプ米大統領が中国株の上場廃止を検討していることが、複数の関係者の話でわかった」という一報でした。このときアリババグループ、JDドットコム、バイドゥなど主要銘柄の株価は4〜7%の値下がりとなりましたが、具体的にどのような理由で上場廃止とされるのかは不明でした。

しかし、今年5月に米国の上院は中国企業の米国上場禁止につながり得る法案を可決しています。同法案は外国政府の管理下にないことを企業に証明することを求め、企業がそれを証明できないか、米公開会社会計監督委員会(PCAOB)が3年連続で会社を監査して外国政府の管理下にないと断定できない場合、当該企業の証券の上場は禁止されるというものです。

このような米国側の具体的な動きを受けて、中国企業も自衛に動いています(図表2)。

半導体ファウンドリーのSMICは19年7月に米国での上場を停止して(店頭市場での取引は残っています)、香港市場へ上場しました。また、中国ADR銘柄の中でも時価総額が大きい、アリババ グループ ADR(BABA)網易(ネットイーズ)ADR(NTES)JD ドットコム ADR(JD)が香港市場への重複上場を行って、米中関係の悪化に備えています。

先週には米国がヒューストンの中国総領事館を閉鎖し、その報復措置として中国が成都の米国総領事館の閉鎖を命じるなど、両国の対立がエスカレートしています。

また、ポンペオ国務長官の演説では、中国共産党が支配する国家体制を否定し、自由主義諸国が結束して共産主義の中国を変えなければならないとして、一段と核心に踏み込んだ内容となっています。中国共産党にとっては、とうてい容認できないもので、対立の激化が懸念されます。

このような事を背景に、中国ADR銘柄に対する投資家の懸念は続きそうです。

図表2:中国ADR銘柄の中国回帰の動き

銘柄(コード)

アクション

米国の上場市場

SMIC(00981)

米国上場を停止して香港上場 19年7月

アリババ グループ ADR(BABA)

香港への重複上場 19年11月

ニューヨーク

網易(ネットイーズ) ADR(NTES)

香港への重複上場 20年6月

ナスダック

JD ドットコム ADR(JD)

香港への重複上場 20年6月

ナスダック

  • ※各種資料をもとにSBI証券が作成

2しかし、ピンチはチャンスにもなる!?

しかし、前節でご説明したような中国ADR銘柄の「ピンチ」は、投資の「チャンス」になる可能性もありそうです。

というのも、米国に上場する中国ADR企業が米国市場に上場する目的は、世界の投資家がアクセスする米国市場に上場することで高い評価を得て有利な条件で資金調達することと考えられます。

一方、上場はしているものの米国では事業を行っておらず、米中関係が決定的に悪化した場合でも、業績への影響は限定的なものがほとんどです。

このため、「中国ADR銘柄が上場廃止へ」との悪材料で該当銘柄がファンダメンタルズによる妥当価格を大きく下回って売られるときには、投資のチャンスとなる可能性もありそうです。

その場合に考えられるリスクとして、米国市場に単独上場のまま上場廃止となった場合、香港市場や中国本土市場などに再上場するまでの期間、保有株式の売却機会がなくなることが考えられます。再上場までの期間は数ヵ月に及ぶ可能性もあるとみられ、その点は留意が必要でしょう。

また、可能性は小さいと考えられるものの最悪の場合、再上場されず市場での換金の機会がなくなるケースも考えられます。また、再上場した場合でも売却の手続きが非常に煩雑になるなどのリスクも考えられるでしょう。

このようなリスクを勘案しても投資がチャンスになるような局面に備えるため、主要な中国ADR銘柄を抽出したのが図表3です。当社が取り扱う中国ADR銘柄で時価総額100億ドル以上、米国市場への単独上場、または、最近まで単独上場だった銘柄です。

中国の伝統的な大企業で香港市場での上場が重要と考えられるもの、例えば、中国人寿保険 (チャイナ・ライフ・インシュアランス)、中国石油天然気 (ペトロチャイナ)、中国電信 (チャイナ・テレコム)などは除いています。

上場廃止に対して備えるという意味では、第1節でご説明したように時価総額上位の1、3、4位がすでに香港市場で上場しています。また、バイドゥも香港上場の準備を行っているとされ、大手の企業については対策が進んでいると言えそうです。

しかし、それ以下になると事業を始めて間もない会社で社内のリソースが十分でないものも多く、なかなか対策が進まない可能性もありそうです。

株価パフォーマンスは、インターネット関連の銘柄が多く、COVID-19のパンデミックの影響を背景としたインターネット関連の物色に乗って年初来の株価騰落率は良好なものが多くなっています。ただ、足もとでは米中関係の悪化を受けて調整気味です。

これら銘柄から、株価のパフォーマンスが好調でここ2年間に新たに上場してきたものを中心に次節でご紹介いたします。

図表3:主要な中国ADR銘柄

銘柄名(コード)

事業内容

時価総額
(億ドル)

予想増収率(%)

株価
(ドル)
(7/24)

予想
PER
(倍)

年初来
株価騰落
(%)

アリババ グループ ADR(BABA)

中国のネット通販最大手

6,680

30.3

249.00

29.2

17.4

ピン多多 ADR(PDD)

SNSを活用するネット通販

1,077

62.3

78.95

-

108.8

JD ドットコム ADR(JD)

中国のネット通販2位

947

24.0

60.88

46.6

72.8

網易(ネットイーズ) ADR(NTES)

ポータルサイト運営

620

18.8

448.33

24.9

46.2

TAL エデュケーション ADR(TAL)

教育サービス提供

455

40.9

75.74

89.5

57.1

百度(バイドゥ) A ADR(BIDU)

中国のネット検索

410

1.1

119.02

18.5

-5.8

ZTO エクスプレス ADR(ZTO)

特急配達サービス

273

15.1

34.88

34.1

51.0

テンセント音楽(騰訊音楽娯楽集団) ADR(TME)

音楽配信

262

16.8

15.62

39.4

33.0

ニューオリエンタル エデュケーション ADR(EDU)

教育サービス提供

219

15.7

138.05

45.1

13.9

ベイジーン ADR(BGNE)

バイオ医薬品

201

-23.5

224.44

-

35.4

GSXテクエデュ(跟誰学教育科技) ADR(GSX)

オンライン教育サービス

194

225.5

81.20

192.2

271.5

愛奇芸 ADR(IQ)

動画配信サイト

150

8.7

20.40

-

-3.4

トリップドットコム グループ ADR(TCOM)

旅行サイト運営

161

-42.7

27.10

-

-19.2

蔚来汽車( ニオ ) Inc ADR(NIO)

電気自動車メーカー

141

71.6

11.82

-

194.0

ビリビリ ADR(BILI)

動画共有サイト

139

61.3

40.10

-

115.4

唯品会(ビップショップ) ADR(VIPS)

ブランド品などのネット通販

137

4.5

20.43

15.9

44.2

フアジュ グループ ADR(HTHT)

エコノミーホテルチェーン

100

-9.8

33.56

-

-16.2

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

3中国ADR銘柄の注目銘柄

斬新なビジネスモデルで注目を集める

  • ピン多多(ピンドォドォ、Pinduoduo)は、中国のECサービスを展開している企業です。元Googleのエンジニアであるコリン・ファン氏が2015年に設立した会社でわずか3年でナスダックに上場、テンセントから出資を受ける「テンセント銘柄」(発行済株式の17%を保有)のひとつでもあります。「ピン」は日本では使われない漢字ですが、「まとめる」という意味です。
  • 同社が運営する共同購入のプラットフォームでは「一人で購入すると高いが、複数人で購入すると安くなる」ため、ユーザーは商品を買う前に、SNSを利用して同じ商品が欲しい人を探して「一緒に買いませんか」と誘うことができます。ユーザーに他の購入者を探させ宣伝させる「ソーシャルEコマース」の仕組みを立ち上げ、商品を安く購入できる上、SNSの楽しさを同時に提供しています。
  • 20年1-3月期は売上が前年同期比44%増、過去12ヵ月の総取引額が前年比108%増、ユーザー当たり年間支出額が1,842.4人民元へ47%増加と急拡大が続いています。マーケティングや研究開発費用も大幅に増やしているため営業赤字が続いていますが、売上の拡大とともに数年後には黒字化が期待されます。20年3月末の過去12ヵ月のアクティブ・バイヤーは6億2,800万人に達しています。

オンライン授業への投資でライバルと差別化

  • 中国で小中高校生向けに学習塾など教育サービスを提供している企業で、ラーニングセンターは50におよぶ中核都市で700ヵ所以上を展開しています。中国ではここ20〜30年で豊かになった人々が次世代に豊かさを継承するには教育が重要と考えられているため、中国の教育産業は成長産業として注目を集めています。このため同社以外にも同業のニューオリエンタルエジュケーションが米国に上場しています。
  • オンラインの教育サービスでは人工知能を使うなど技術面でライバルのニューオリエンタルエジュケーションと差別化できると期待されています。4月末にはオンライン授業の技術に1千万ドルの投資を行うと発表しており、遠隔授業の重要性が高まっているタイミングでもあり、注目を集めています。
  • 20年2月期は期末にかけてCOVID-19の影響を受けたほか、事業拡大のためにマーケティング費用を増やしたことから減益となっています。一方、21年2月期は売上が前年比41%増、営業利益が同2.6倍の予想で、増益基調に戻ると見込まれます。4-6月期の決算は、7/30(木)に発表予定で、売上ガイダンスは現地通貨ベースで35〜38%増を見込んでいます。

ネット通販の利用増から恩恵の宅配

  • 2002年創業の宅配企業で、中国全土のネットワークを通じて宅配サービスを提供するほか、他の付加価値物流サービスを提供します。荷物の引き取りおよびラストマイルの配達はパートナー事業者を組織することで賄い、幹線輸送と配送センターでの仕分けは自社で行っています。
  • 中国は世界最大のネット通販市場ですが、引き続き成長が続いており、同社も成長が期待されています。アリババグループ、JDドットコム、ピンドォドォなどとの取引を主に行う中国宅配業界大手の1社で、1-3月期の小包の取り扱い個数シェアは18.9%です。
  • 20年1-3月期は、取り扱い個数は前年同期比4.9%増となったものの、売上はパートナー事業者に対する支援のために価格を引き下げたために、同14.4%減、純利益は同34.4%減でした。一方、COVID-19のパンデミックの影響が和らぐことを前提に、4-12月期の小包取り扱い個数は前年同期比37〜42%増、純利益は同10〜20%増への回復を目標としています。

中国のオンライン音楽サービス大手

  • 中国のオンライン音楽サービス大手です。「QQ Music」「Kugou Music」「Kuwo Music」「WeSing」などのアプリを通じて、音楽ストリーミング、カラオケ、ライブストリーミングなどのサービスを提供しています。同社のプラットフォームは共有、リンク、コメント、フォローなどの機能を含んで、ソーシャルネットワークの要素も併せ持っていることが特徴です。テンセントが株式の54%を保有しています。
  • スポティファイやアップル・ミュージックなどグローバルな音楽ストリーミングの企業と異なり、サブスクリプション収入は20年1-3月期に全売上の19%に過ぎず、現在の主な収入はライブストリーミングやオンラインカラオケなどのソーシャルエンタテイメントからなります。
  • 一方、サブスクリプション収入は前年同期比70%増と伸びており、今後は構成比が高まってくると予想されます。音楽ストリーミングのユーザーは6億5,700万人いるのにたいして有料ユーザーは6.5%の4,270万人にとどまっていることから、サブスクリプション収入の長期的な増加が期待されます。

オンライン授業に特化した旬な企業

  • 中国で小中高校生向けに放課後にオンライン授業を提供している企業です。TALエデュケーションのところで述べたように中国の教育産業は成長産業として注目されているうえ、COVID-19のパンデミックによってオンライン授業への需要が拡大したことでさらに注目が高まっています。19年7月に新規上場した会社です。
  • 20年12月期の業績は売上が21.1億人民元で前年比5.3倍、営業利益が2.2億ドルで同10.3倍と高成長です。20年1-3月期は、売上が13.0億人民元で前年同期比4.8倍、営業利益は0.9億人民元で同2.1倍でした。COVID-19のパンデミックを受けて武漢の住民向けに0.2億人民元相当のオンライン授業を寄付したほか、全国の13万4千以上の教育機関がオンライン授業に移行するための支援を行ったとしています。
  • このような対応は20年1-3月期の売上の伸びを抑えたり、追加の費用がかかったとみられますが、中長期の事業拡大に向けた投資としては非常に効果が高いものと考えられます。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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