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2024-03-29 07:54:49

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新型コロナ禍で半導体市場の回復も一服!?打撃が小さい銘柄は?

2020/5/20
投資情報部 榮 聡

昨年後半から売上が回復基調にある半導体業界ですが、さすがに新型コロナ禍による景気悪化の打撃は免れない見込みです。5G、IoT、自動運転などの普及を背景とした中期的成長に対する期待は継続しているとみられるものの、当面はやや警戒的にみておいたほうが良さそうです。そこで、今回は新型コロナ禍の打撃が小さそうな半導体関連銘柄をご紹介いたします。

図表1:注目銘柄リスト

銘柄 株価(5/19) 52週高値 52週安値
ASML ホールディングス NYRS(ASML) 306.25ドル 319.22ドル 186.31ドル
アプライド マテリアルズ(AMAT) 55.47ドル 69.44ドル 36.64ドル
インテル(INTC) 60.29ドル 69.29ドル 42.86ドル
マイクロン テクノロジー(MU) 45.12ドル 61.19ドル 31.13ドル
クアルコム(QCOM) 78.09ドル 96.17ドル 58.00ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1半導体業界への新型コロナ禍の影響

世界の半導体売上は19年6月に底入れ(前年比の減少率が17%で最大となった)、その後回復の動きが続いてきましたが、さすがに今回の新型コロナ禍による景気悪化の打撃は免れないとみられます。

当初懸念された中国での感染拡大によるサプライチェーンへの影響は、中国経済の再開が順調に進みつつあることから、さほど心配はいらないとみられます。

一方、欧米での感染が深刻化したことで米国の4-6月期GDPは前期比年率28%減が予想され、また、外出規制からの経済活動再開も徐々にしか進まないことが明らかになりつつあることから、当面は半導体需要について警戒的にみておいたほうがよさそうです。

業績の悪化を受けて企業のIT投資が低調と見込まれるほか、スマホへの需要が後退、5G基地局の展開にも遅れが出る可能性がありそうです。また、自動車生産の低迷や産業機器市場の落ち込みの影響も大きいと考えられます。

一方、在宅勤務が増えたことや巣ごもり消費によってデータセンターの増強が必要となったり、パソコンには特需が発生するなど、新しい環境への対応が需要増につながっている分野もあります。そういう意味では、銘柄の選別が重要な局面と言えるでしょう。

銘柄選別を考える前に、まず、半導体市場全体の動きを確認しておきましょう。

世界の半導体売上の動向をみると、年初来売上の伸びは3月に前年比8%増と、依然プラスが維持されています(図表2)。しかし、今後は伸び悩むと見込まれ、先行きは前年比マイナスに転じる可能性が高そうです。ただ、昨年からのシクリカルな回復サイクルの途上にあることから、大幅なマイナスとなることは避けられそうです。

フィラデルフィア半導体株指数で株価の動きをみると、半導体売上の回復を受けて19年半ばから20年初にかけてS&P500指数を大幅に上回るパフォーマンスをあげていました(図表4)。

株式市場の急落時には市場平均以上に下げたものの相場回復時の上昇も大きく、5G、IoT、自動運転などを支える産業として中期的な成長に対する期待は維持されていると言えそうです。

ただ、年初来では、S&P500指数が11.4%下落したのに対して8.0%下落と市場平均並みの動きにとどまっています。

図表2:新型コロナ禍の影響で半導体市場の回復は一服?

  • 注:世界の半導体の月次売上高の推移です。最後のデータは20年3月分です。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表3:アウトパフォームの傾向も、年初来では市場平均並み

  • 注:フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数とも呼ばれる)は、米国のフィラデルフィア取引所が発表している、米国に上場する半導体メーカー、半導体製造装置メーカーで構成される単純平均株価指数です。最後のデータは5/15(金)です。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

2明暗を分ける個別企業への影響

つぎに企業ごとの売上見通しをみてみましょう。

図表4は主要半導体企業の四半期売上の前年同期比伸び率と年初来の株価騰落率を並べたものです。さらに、幅広い分野の半導体需要を反映する、世界最大のファウンドリーである台湾セミコンダクターの動向を図表5にグラフ化しています。

台湾セミコンダクターの20年1-3月期は「ハイパフォーマンスコンピューティング関連の需要や引き続き5Gスマホ向けの増産が続いた」ことにより、前年同期比42%増と驚くような高い伸びとなりました。

ただし、前年同期の落ち込みが大きかった反動の面が大きく、今後は伸びが鈍化する見通しです。売上の実数でみると20年1-3月期実績の3,106億台湾ドルから4-6月期予想3,074億台湾ドル、7-9月期予想3,075億台湾ドルと横ばい圏が想定されています。通常は季節的に強い時期ですので、新型コロナウイルスによる景気悪化の影響が見込まれていると言えそうです。

図表4の売上推移を見渡してわかる分野ごとの特徴として、まず、ASMLホールディング、アプライドマテリアルズ、ラムリサーチの半導体製造装置メーカーの売上が下期もプラス維持が見込まれていることがあげられます。

半導体業界の設備投資は、比較的長いスパンを見据えて行われること、および、新型コロナ禍の打撃はあっても半導体の需要を後ずれさせるだけで、中長期に成長していく市場だという見方は損なわれていないからだと思われます。

また、データセンターでのサーバー需要拡大やパソコン特需の恩恵を受けるインテル、AMD、エヌビディア、マイクロンテクノロジーについてはプラス成長が維持されたり、落ち込む場合でもマイルドと言えるでしょう。

スマホ関連は需要の停滞が見込まれて下期は前年同期比マイナス基調であるものの、大幅な落ち込みは避けられるとの見方となっています。

一方、自動車や産業機械向けのマイコンやアナログ半導体の売上構成比が高い、テキサス・インスツルメンツ、アナログ・デバイセズ、NXPセミコンダクターズ、ザイリンクスなどは10〜20%の減収が見込まれています。もともと産業景気の低迷から売上の伸びは小さかった分野ですが、新型コロナ禍の打撃がさらに追い打ちをかける形です。

株価については、年初来の騰落率がS&P500指数の11.4%下落を下回るものが15銘柄中10銘柄となっています。フィラデルフィア半導体株指数が8.0%下落と市場平均を若干上回っているのは、時価総額が大きい一部銘柄の上昇の貢献によるものであることがわかります。

以上を踏まえて、次節で売上予想が増える見込みのもの、または、落ち込みが限定的なものを中心に注目銘柄をご紹介いたします。

なお、売上見通しが非常によいエヌビディアに関しては、年初来株価が大幅に上昇していること、および、5/21(木)に決算発表を控えていることから今回は取り上げていません。

図表4:主要半導体企業の四半期売上推移(前年同期比伸び率)

銘柄 19年
10-12月期
実績
20年
1-3月期
実績
20年
4-6月期
予想
20年
7-9月期
予想
株価騰落
年初来
(%)
台湾セミコンダクター 9.5 42.0 27.6 4.8 -14.3
インテル 8.3 23.5 11.9 -7.1 -2.6
エヌビディア -5.2 40.8 34.8 24.8 44.3
ASMLホールディング 28.4 9.5 29.7 13.4 -1.1
ブロードコム 6.0 1.2 3.3 4.5 -17.6
テキサス・インスツルメンツ -9.9 -7.4 -20.7 -20.9 -15.6
クアルコム 4.9 4.7 -2.8 19.1 -14.1
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ 49.9 40.4 20.7 27.0 18.2
マイクロン・テクノロジー -35.0 -17.8 2.3 5.7 -17.4
アプライド・マテリアルズ 10.9 11.8 17.0 15.3 -14.7
アナログ・デバイセズ -6.0 -15.4 -14.4 -10.0 -14.3
ラムリサーチ 2.4 2.6 13.2 22.7 -13.9
KLA 34.8 29.8 11.6 -3.9 -6.0
NXP セミコンダクターズ -4.2 -3.5 -18.8 -17.3 -28.9
ザイリンクス -9.6 -8.7 -18.8 -15.3 -14.9
  • 注1:フィラデルフィア半導体株指数の時価総額上位15銘柄です。
  • 注2:20年1-3月期実績は、エヌビディア、ブロードコム、アナログ・デバイセズについては19年11月-20年1月期、アプライド・マテリアルズについては20年2-4月期、マイクロン・テクノロジーズについては、19年12月-20年2月期をあてはめています。
  • 注3:クアルコムの20年4-6月期は前年同期のアップルとの係争和解金47億ドルを除いた伸び率で、これを含んだ伸び率は-50.2%です。
  • 注4:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表5:台湾セミコンダクターの四半期売上は20年1-3月期をピークに減速

  • 注:20年2Q(4-6月期)以降は、Bloomberg集計のコンセンサス予想によります。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

3半導体セクターの注目銘柄をご紹介

ASML ホールディングスNYRS(ASML)

・半導体の回路焼付けに使われる露光装置に特化する、オランダの半導体製造装置メーカーです。半導体の露光装置では世界シェアが9割を超えると言われ、最先端のEUV(Extreme Ultra-Violet:極端紫外線)露光技術に対応できる唯一の露光装置メーカーとなっていることから中期的にも安定的な業績拡大が期待されています。

・EUV露光装置はロジック半導体(スマホのチップセットやパソコンのCPUなど)の微細化に使用され、2025年まで市場は10〜15%のペースで拡大する見通しです。さらに、いずれはメモリーでも使用されると想定され、同社の成長を牽引すると見込まれます。半導体の前工程装置の市場シェアは、現在アプライドマテリアルズがトップで18.9%、ASMLが18.7%の2位となっていますが、半導体の微細化が進むことで露光装置の重要性が高まると、トップが逆転する可能性もありそうです。

アプライド マテリアルズ(AMAT)

・世界最大の半導体製造装置メーカーで、液晶、有機ELなどのフラットパネルディスプレイ製造装置も手掛けます。19年の半導体製造装置の世界シェアは18.9%でトップを維持、半導体業界の拡大に連れて成長が期待されます。ただ、17年までシェアの拡大が続いてきましたが、18年、19年の売上拡大は業界平均を下回って、シェアは低下となっています。

・5/14(木)に発表の20年2-4月期決算は、半導体システムの売上が前年同期比18%増とけん引して売上が前年同期比12%増、調整後EPSが同27%増と業績の回復が続きました。CEOは決算リリースで「状況は依然として流動的ながら、現在われわれが見えていることに基づくと、サプライチェーンは回復しつつあり、半導体製造装置とサービスに対する需要の基調は引き続き強い」と楽観的な見通しを示しました。

インテル(INTC)

・CPU(中央演算装置)中心の半導体メーカーです。19年12月期の売上で52%を占めるパソコン向けCPUがテレワークの増加で需要増、33%を占めるサーバー向けCPUがテレワークの増加や巣ごもり消費によりデータセンターの増強から恩恵を受けると期待されます。残り15%を占めるIoT、不揮発性メモリー、プログラマブル半導体などは景気悪化の影響を受けるものの、全体として新型コロナ禍による業績下振れのリスクは小さいと考えられます。

・20年4-6月期の業績ガイダンスは、売上が前年同期比12%増、EPSが同4%増と、1-3月期から鈍化ながら堅調となる見通しです。予想PERが12倍台と低く、スタンダード&プアーズ(S&P)の長期発行体格付けが「A+」と財務体質が良好であることも現在のような不透明感が強い環境下で安心感があるでしょう。

マイクロン テクノロジー(MU)

・半導体メモリーの大手です。直近四半期の売上構成比が、「コンピュート&ネットワーキング」が41%、「モバイル」が26%、「ストレージ」が18%、「組み込み」が15%となっています。「コンピュート&ネットワーキング」はデータセンターやノートブックPC向けの需要拡大の恩恵を受けています。「組み込み」は産業景気の落ち込みから打撃が大きいものの、全体として落ち込みは限定的と期待できそうです。

・19年12月-20年2月期は、DRAM価格の下落を主因に売上が前年同期比18%減、調整後EPSは1.53ドルから0.40ドルへ同74%減でした。売上の64%を占め同四半期を底に売上の64%を占めるDRAMの売上は前年同期比26%減、同32%を占めるNANDの売上は同9%増です。20年3-5月期のガイダンスは、売上が前年同期比4%減〜同9%増です。売上・EPSとも19年12月-20年2月期を底に前四半期比で回復が見込まれています。

クアルコム(QCOM)

・無線通信技術を世界的にリードする企業で、5G(第5世代移動通信システム)に使われるOFDMA(直交周波数分割多元接続)でも中心的役割を果たしています。4Gから5Gへの移行期にある現在は、同社の強みが発揮されやすい環境と考えられます。中国のスマホメーカーにチップセットを供給するため、米中関係の悪化は懸念材料であるものの、同社製品の代替は比較的難しいと考えられます。

・20年4-6月期は新型コロナ禍の影響で4G端末の販売が低迷するため、同社の売上も低調となる見込みです。しかし、5Gチップでの強固な市場ポジションにより、20年7-9期以降21年にかけて増収増益に転じると期待されます。価格が高い5Gチップセットの構成比上昇、端末価格上昇によるロイヤリティの単価上昇、高周波部品への展開が成長ドライバーになると見込まれます。

図表6:半導体セクター主要企業の投資指標

銘柄(コード) 株価
(5/15)
(ドル)
予想
PER
(倍)
今期
予想EPS
(ドル)
来期
予想EPS
(ドル)
目標株価
(ドル)
台湾セミコンダクター 49.80 18.8 79.37 87.83 50.77
インテル 58.28 12.2 4.78 4.84 64.10
エヌビディア 339.63 45.6 7.45 8.93 314.37
ASMLホールディング 292.54 37.8 7.16 10.05 307.23
ブロードコム 260.41 12.1 21.60 23.78 295.28
テキサス・インスツルメンツ 108.24 26.6 4.07 4.97 119.63
クアルコム 75.77 20.7 3.66 5.74 90.88
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ 54.20 52.7 1.03 1.51 51.82
マイクロン・テクノロジー 44.41 20.7 2.14 4.61 58.74
アプライド・マテリアルズ 52.04 13.7 3.81 4.35 68.30
アナログ・デバイセズ 101.80 23.6 4.32 5.10 118.49
ラムリサーチ 251.84 16.5 15.22 17.87 306.64
KLA 167.43 17.1 9.81 10.13 174.35
NXP セミコンダクターズ 90.45 18.6 4.86 7.04 114.18
ザイリンクス 83.23 28.8 2.89 3.69 94.45
  • 注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
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