米国では11/28(木)の感謝祭の祝日から年末商戦に突入します。今年は、雇用の堅調、株式市場の回復、住宅価格の上昇、高水準の消費者信頼感など年末商戦が活況となる条件が揃っていると考えられます。米国の年末商戦で注目できる銘柄をご紹介いたします。
図表1:注目銘柄のリスト
銘柄 | 株価(11/12) | 52週高値 | 52週安値 |
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アマゾン ドットコム(AMZN) | 1778.00ドル | 2035.80ドル | 1307.00ドル |
カーマックス(KMX) | 95.26ドル | 96.47ドル | 55.24ドル |
ターゲット(TGT) | 108.35ドル | 114.83ドル | 60.15ドル |
アップル(AAPL) | 261.96ドル | 262.79ドル | 142.00ドル |
ロク(ROKU) | 135.35ドル | 176.55ドル | 26.30ドル |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
米国では11/28(木)の感謝祭の祝日から年末商戦に突入します。小売店の売上が1年で最も多いとされる11/29(金)のブラックフライデーや、これに次ぐ12/2(月)のサイバーマンデーの動向が報道され、株式市場で小売関連への注目が高まる時期を迎えます。
そこで今回は、米国の年末商戦についてマクロ環境、業態別の動向、人気商品などを検討し、注目企業をご紹介いたします。
まず、米商務省の統計で小売市場の動向を確認してみましょう。
米小売売上高の前年比伸び率は、図表2の通り18年末から19年初にかけて株価の急落などを受けて1%台まで落ち込みましたが、その後は徐々に持ち直して8月、9月は前年比4%台まで回復、改善基調にあります。
米国の消費を取り巻くマクロ環境は、以下に挙げる通り良好で、今年の年末商戦は好調となる可能性が高そうです。
マクロ環境
(1)雇用者数の増加が続いて失業率は3.6%まで低下、雇用市場は堅調を維持。
(2)消費動向に影響する株価、住宅株価とも前年比で上昇している(図表3)。
(3)「ミシガン大学消費者マインド」は過去10年の最高値に近い水準にあり、消費者心理も良好。
全米小売業協会が10/3(木)に発表した年末商戦(11月と12月の売上合計、自動車・ガソリン・レストランの売上を除く)の売上見通しは、7,279億〜7,307億ドルで、前年比3.8〜4.2%増との予想です。
昨年実績の同2.1%増、過去5年平均の同3.7%増を上回る堅調な伸びが見込まれています。良好なマクロ環境から今年も好調な年末商戦が期待できそうです。
図表2:米国の小売売上高は改善歩調
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表3:株価、住宅価格とも前年比プラスを維持
- 注:住宅価格は、S&Pコアロジック住宅価格指数によります。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
米国の年末商戦は好調が見込まれることを確認しましたが、これを牽引すると期待されるサブセクターや人気商品を探ってみましょう。
米商務省の小売統計から
商務省の小売統計には、サブセクター別の動向も掲載されていますので、ここから好調なものを探ってみます。
19年9月の米小売売上高は前年比4.1%増ですが、これを上回る伸びとなっているのが「非店舗販売」「自動車および部品ディーラー」「飲食店」で、一方、家具販売、家電販売、ホームセンター、食料品店、衣料販売店などの業態は平均を下回る伸びとなっています。
この傾向は19年1月から9月の累計値でも変わらず、安定した関係のようです。「非店舗販売」の中心となるインターネット販売が伸びて、その煽りが幅広い分野の店舗販売を抑える結果になっていると考えられます。
「自動車および部品ディーラー」「飲食店」はネット販売になじみにくいことから、消費の好調が素直に出ているということでしょうか。ただし、平均を下回る伸びの業態でも企業単位では、店舗販売は伸びていないけれども自社サイトのネット販売が伸びているので平均を上回っている、ということもあるでしょう。
これを踏まえて、「非店舗販売」で注目できるのは、やはりネット販売に特化したアマゾン ドットコム(AMZN)でしょうか。また、「自動車および部品ディーラー」の銘柄としては、カーマックス(KMX)やオートネーション(AN)があります。
業種別株価指数のパフォーマンスから
業種指数の動きからも好調サブセクターを探ってみます。
図表4で小売サブセクターの株価をみると、いずれもS&P500指数を上回って推移してきたことがわかります。
昨年より製造業を中心とした経済減速、米中通商摩擦が市場の懸念材料となる中、直接的な影響を受けにくい小売業は全般的に選好対象になったとみられます。また、米国の消費が堅調に推移していることも市場平均を上回るパフォーマンスをあげた要因とみられます。
パフォーマンス上位から順にみていくと、アマゾンが時価総額の大部分を占める「インターネット・カタログ販売」は18年に大きくアウトフォームした後、19年は市場平均並みとなっています。アマゾンに対して独禁法違反の調査が行われていることや最近2四半期の利益が配送期間を短縮するための先行投資で抑えられていることが要因とみられます。
「複合小売」は、スーパーのターゲット(TGT)や1ドルショップのダラー ジェネラル(DG)が中心的な銘柄で、19年のパフォーマンス好調が目立ちます。9月に市場の物色傾向が「グロース/ディフェンシブからバリュー/シクリカル」にシフトしてからもアウトパフォームを維持しており、今後も注目できそうです。
「専門小売」は、ホームセンターのホーム デポ(HD)やロウズ カンパニーズ(LOW)が中心的な銘柄です。商務省の小売統計では、19年9月は前年同期比0.7%増と冴えない動きとなっていますが、両社ともeコマースを伸ばして企業単位では好調となっているようです。ただし、米長期金利が反発局面となっているため、回復基調となってきた住宅市場に頭打ち感が出る可能性があり、これは先行きの懸念材料となりそうです。
「食品生活必需品」は、ウォルマート インク(WMT)、コストコ ホールセール(COST)などが中心的な銘柄です。このサブセクターも株価動向は堅調です。市場の物色傾向が変わった9月以降も好調を維持しており、注目できるでしょう。
年末商戦の人気商品から
年末商戦で人気になるのではと注目されている商品からも探ってみましょう。
全国紙「USA TODAY」電子版の10/31(木)付「ベストギフト20 2019版」という記事から、年末商戦の注目商品で上場企業が提供しているものをピックアップしました。
アップルの「エアポッド」、アマゾンの「キンドルホワイトペーパー」「エコーショウ5」、フィットビットの「フィットビット チャージ3」、ロクの「ストリーミングスティック+」、ソニーの「ノイズキャンセリングヘッドフォン」などがあがっています。
まず、注目は筆頭にあがっているアップル(AAPL)のワイヤレスイヤホン「エアポッド」でしょうか。普通は数千円までのイヤホンが、16年発売の「エアポッド」は17,800円、今年発売の「エアポッドプロ」は27,800円(アップルのWEBサイトより)と高額な商品です。
「落として壊したり、無くしたりしたら痛いな」と考えて、様子見という方も多かったとみられますが、発売から時間が経過して評価が定まってきたところで人気化が予想されているようです。今年発売の「エアポッドプロ」はノイズキャンセリング機能も加わって、さらに高額、高機能になっています。
また、業績へのインパクトの大きさという点では、ロク(ROKU)の「ストリーミングスティック+」も注目できるでしょう。これはPCでなくテレビでネットフリックス、Hulu、アマゾンプライムTVなどの動画ストリーミングサービスを楽しみたいときにテレビに差し込んで使うドングル型の装置で、Wi-Fiの電波を受けてネットコンテンツをテレビに表示するものです。
「アマゾンファイアTVスティック」や「アップルTV」などと競合するものですが、ロクの製品は49.99ドルの価格でHD、4K、HDR(ハイダイナミックレンジ)に対応することから、割安感があって人気となっているようです。「Disney+」「アップルTV+」など新しい動画ストリーミングサービスが始まったタイミングでもあり、注目の商品のようです。
図表4:小売の業種指数はいずれも市場平均を上回って好調
- 注:S&P500指数の68セクター分類の業種指数によります。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
銘柄名 |
株価(11/11) |
1,771.65ドル |
予想PER(倍) |
45.3 |
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ポイント |
【年末商戦での売上拡大に注目】 |
銘柄名 |
株価(11/11) |
94.16ドル |
予想PER(倍) |
17.7 |
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ポイント |
【全米最大の中古車ディーラーで業績好調】 |
銘柄名 |
株価(11/11) |
110.45ドル |
予想PER(倍) |
17.8 |
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ポイント |
【店舗改革等により持続的な利益成長フェーズへ】 |
銘柄名 |
株価(11/11) |
262.20ドル |
予想PER(倍) |
20.2 |
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ポイント |
【年末商戦シーズンを含む10-12月の売上高見通しが好調】 |
銘柄名 |
株価(11/11) |
129.21ドル |
予想PER(倍) |
− |
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ポイント |
【動画ストリーミングサービスのアグリゲーター】 |
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